文学研究との出会いが導いた、言葉と向き合う仕事への道
学生時代は江戸時代に出版された浮世草子の研究に取り組んでいました。崩し字で書かれた本文を一文字ずつ解読し、当時の文化的背景を踏まえながら語釈や現代語訳を作成していく作業は、緻密で根気のいるものでした。数行の本文を読み解くために、何種類もの辞典を確認し、複数の図書館やデータベースを活用することも日常茶飯事です。時には数か月かけて一つの箇所を解釈することもありました。そうした作業を通じて、江戸時代の様相や流行、当時の人々の考え方が見えてくることが面白く、文学の研究に魅了されていきました。
特に印象深かったのは、「根性引き」と呼ばれる作業です。古語の用例を調査する際、索引のない書物の内容全てに目を通して目的の単語を探すという、まさに根性が試される地道な作業でした。しかし、最初は全く意味のわからなかった文章が、一つ一つ言葉を調べていくことで意味のわかる文章になっていく過程には大きな達成感がありました。最終的に一つの現代語訳というゴールにたどり着けたときは、すごく嬉しかったです。文学からその時代の様相を読み解けることの面白さ、最適な意味を探し出して現代語訳を作り上げる楽しさ。そして浮世草子ならではの非現実的な話や笑い話、教訓から、当時の人たちの娯楽を知ることができる喜び。文学の研究を通じて、色々なことを学ぶことができました。
こうした経験から、就職活動では「文字や言葉にかかわる仕事」を軸に企業を探していました。大学で学んだことを活かせる仕事がしたい。学生時代に感じた文字や言葉の面白さを、一人でも多くの人に伝えたい。そんな思いを持って企業研究を進める中で出会ったのが、この公益財団法人でした。「漢検を提供している組織」というイメージが強かったのですが、まさに私が求めていた「文字にかかわる仕事ができる」場所だと感じました。さらに、公益財団法人という性質上、利益だけでなく人々に公益を与えられる仕事ができるという点にも大きな魅力を感じました。社会貢献の意識を持ちながら働けることが決め手となり、入社を決意したのです。
配属から4年、検定運営の全体像を知った日々
新人研修を終え、業務部 業務課(現在のCS推進部 サービスデザイン課)に配属されたのが私のキャリアのスタートでした。配属後は、まず検定運営の流れについて丁寧な説明を受けました。その後、受付、請求書発行、問題配送、答案確認、結果発送といった個別の業務について、具体的なレクチャーを受けて理解を深めていきました。お客様の大切な個人情報を扱う仕事でもあるため、個人情報保護研修も定期的に受講しています。最近では、時代の変化に対応する、DX人材の育成のためDX研修にも参加させてもらい、新しい学びの機会をいただいています。
入職前の私にとって、この協会は漢検を提供している組織というイメージが強かったのが正直なところです。しかし実際に働き始めると、検定運営に関わる部署、データを管理する部署、普及活動を行う部署、問題を作る部署など、様々な部署が連携しながら協会を支えていることを知りました。検定という一つのサービスの裏側には、これほど多くの人々の努力と工夫があることに驚きました。
配属された当初は、検定運営業務の具体的な内容自体を知らなかったので、業務そのものが新鮮でした。入職前に想像していた仕事とのギャップというよりも、すべてが初めて知ることばかりで、毎日が学びの連続だったことを覚えています。サービスデザイン課に配属されてから4年、検定運営業務全般に携わりながら、各種制度の申請対応やサービスの改善、協会の業務運用負荷軽減等にも取り組んできました。お客様により良い価値を提供するために、日々の運営業務と並行してサービス改善にも力を入れています。この4年間で、検定運営の全体像が少しずつ見えてきたように感じています。
丁寧な仕事を積み重ねて気づいた、能動的に働くことの難しさ
現在、私はCS推進部サービスデザイン課の団体班に所属し、団体受検の検定運営業務全般と、各種サービス改善、新規サービスの企画・実行を担当しています。この部署のミッションは、信頼される検定であり続けるために商品品質と業務品質の向上に取り組むこと、そして顧客課題を発見して新たな価値を創出することです。
検定運営業務において私が最も大切にしているのは、「ミス・トラブルがない」状態を実現することです。顧客がスムーズに検定を申し込み、正しく検定運営が行われ、検定結果が届けられる。全ての受検者に高品質なサービスを正しく提供できたとき、当たり前のことではありますが、心から安心し、やりがいを感じる瞬間です。そのために日々意識しているのは、この業務の影響範囲はどのくらいか、目的は何か、リカバリーがきくか、ということです。慣れてきたと感じても必ずマニュアルを見ながら業務を行い、イレギュラー対応も随時メモしてマニュアルを常に最新化することで、次回自分が業務に取り組む際の安心材料となるように工夫を重ねています。
一方で、ルーティン業務に取り組む中で感じている課題もあります。たくさんの種類がある業務を間違いなく行いたいという気持ちが強く、反対にその業務を効率化できるかという視点を持つことが難しいと感じています。教えられた手順や脈々と受け継がれている業務の手順についても、ときには批判的な視点で確認し、抜本的に業務改善ができるような人間になりたいと思っています。業務を定期的に見直したり、別の人に引き継ぐ際に業務負荷を確認したり、改善できるところがないか確認するようにしています。業務の目的に立ち返り、この目的を果たすためにどの手段が最も効率的かを考えるように意識しています。
学生時代と比べて成長したと感じるのは、調整力が身に付いたことです。特に、検定運営に関してイレギュラー対応が発生したときは、他部署に突然お客様対応をお願いしたり、採点業務を短納期で依頼したり、ホームページの更新を急ぎで依頼したりすることが多々あります。他業務もある中で関係各所に相談し、お互い合意のうえで効率的に業務を進めることができるよう、調整力が必要になる場面が多いと感じています。
また、顧客課題を発見し新たな価値を創出するために、現状のサービスを見直してよりお客様に提供できる価値を増やすため日々検討・工夫を重ねています。お電話で聞けたお客様のお声や、お客様がどういうところで課題を感じているかにアンテナを張り、検定運営業務の中で改善できる部分はないかを考えて日々業務に取り組んでいます。
入社当初は、仕事は教えてもらうことを待つばかりで受動的でした。しかし今では、仕事は自分で考えて動くもので、そこに楽しさがあるということを学ぶことができました。今では、これまでよりずっと能動的に仕事に取り組むことができていると思います。引き続き努力していきたいです。
成長を重ね、仲間と共に未来を描いていく
ルーティン業務にも慣れてきた今、私が次に目指しているのはイレギュラー対応にも強くなることです。日々の業務を確実にこなせるようになったからこそ、予期せぬ状況にも柔軟に対応できる力を身につけたいと考えています。自分ならどこまでできるのか、どこまで受益者の方々の役に立てるのか。その可能性をもっと広げていきたいと日々感じています。
中長期的な目標としては、専門的な知識も身に着けたいと考えています。最近はWEBフォームを作る機会が多く、デジタルでできることの多さと便利さに感動することがあります。IT関連の知識を身につけることで、もっと効率的に業務を進められるのではないかと感じています。また、契約書の締結などで法務部門の方々に助けていただくことが多いため、法務的な知識もいつか習得したいと思っています。まだまだできることが少ないからこそ、自分で判断できる範囲を広げていきたいです。
サービスデザイン課は業務量が多い部署なので、働くうえでは優先順位の付け方やマルチタスクのこなし方、クリティカルシンキングの実践方法、他部署やメンバーとの協働の仕方などを意識すべきだと思っています。自分が先輩方から学んだことを、次の世代にも引き継いでいきたいです。
学生の皆さんにお伝えしたいのは、この組織には入職して3、4年目でも大きな仕事に携わることができる環境があるということです。部署同士の風通しもよく、協働して大きな成果を目指すことができます。年間休日も多く、メリハリをつけて働ける点も魅力です。責任感を持って自分の仕事をきちんとこなし、報連相ができる方であれば、きっと活躍できる場所がたくさんあると思います。素直に物事を学び、他の人と協力しながら働ける方は、ぜひ一緒に働きましょう。私たちと共に成長していける仲間を心からお待ちしています!
