サイバーセキュリティ評価の最前線へ──JQAエンジニアが挑む新たな認証
安全電磁センター 認証部認証課で柴田は、サイバーセキュリティに係る評価 ・認証サービスの開発や兼務する総合製品安全部門計画室での品質管理 、部門広報など、幅広い業務を担当しています。これらの中でとくに2020年から注力しているのが、サイバーセキュリティの評価・認証サービスの開発です。
JQAでは古くから、家電製品や医療機器などについて、電気的・機械的な観点での各種の安全基準に基づいた安全性を確認する試験・認証を手掛けてきました。一方で、近年、これまではネットワークに接続されなかったような機器がネットワークに接続されるようになり、サイバー攻撃やウイルス感染への対策など、産業サイバーセキュリティの重要性がますます高まっています。JQAでは、このような背景によりサイバーセキュリティ規格に基づいた評価・認証サービスに日本の認証機関としてはいち早く開発に乗り出したのです。
「欧州ではすでに規制が始まっており、お客さまからの問い合わせも多く寄せられています。サイバーセキュリティの評価ではお客さまの多くの機密情報を扱うため、とくに日本企業は、日本の機関での評価・認証を望む声が強くあります。
JQAでは、主に工場やプラントで使用される製品やIoT機器、医療機器などの評価に取り組んでおり、さまざまな業種に関係する社会的に重要な業務となっています」
また、JQAでは国際的な認証制度であるIECEE CBスキームでの認証・適合性評価も行っています。CBスキームは国際的な相互認証の制度で信頼が高く、顧客にとってニーズの高い制度となっています。
「第三者認証機関として、使用者側でも製造者側でもない公平中立の立場を保つことが重要です。安全性を追求しすぎると新しい製品開発や技術革新の妨げになる可能性があるため、お客さまと対話を重ね、客観的・合理的に基準への適否を判断することを心がけています」
評価・認証業務は複数名のチームで進められ、評価担当者と検証担当者など、役割分担をしながら協力して業務を遂行しています。
現在のチームにはさまざまなバックグラウンドを持つメンバーが在籍しており、知恵を出し合いながら業務を進めています。
「海外出身の方も在籍しており、さまざまな人材が活躍できる職場です。多様な視点を持つメンバーと共に、より良いチームを作っていきたいと思っています」
また計画室では、品質技術管理グループと部門広報グループにも所属。技術文書のチェックやWebサイトの改訂なども担当しています。
「部門広報グループでは、各部署の業務内容を理解した上で、ベースとなる文章や構成を作成し、評価担当部署と連携して修正を行っています。私はエンジニアなので、技術的な観点から広報業務をサポートできていると、上司からもフィードバックをいただいています」
アーチェリーに匂いセンサー研究、フーリエ変換ゼミ──大学時代のすべてが今に活きる
大学時代は工学部通信工学科で「匂いセンサー」の研究に携わっていた柴田。複数のセンサーを組み合わせて高齢者の見守りユニットを開発するプロジェクトに取り組んでいました。
「匂いは時間とともに変化してしまったり、その時の体調によっても変わってしまったりと、単純な成分分析では分類が難しい面もあります。その代わり、プライバシーに配慮して人の行動を把握する情報を入手できるという利点があります。監視カメラだと見えすぎてしまう問題がありますから」
高齢者の行動把握のために、匂いセンサーと他の複数のセンサーを組み合わせ、ニューラルネットワークを活用したシステムの構築をめざしたと言います。
「センサーから得た情報をニューラルネットワークで学習させてフィードバックし、その人に合わせた見守りシステムを作ろうという研究のうち、ユニット製作の担当をしていました」
また、大学時代は部活動にも励んでいた柴田。
「部活動ではアーチェリー部に所属していました。練習は厳しかったのですが、一生の仲間や恩師との出会いを得ました。またアーチェリーは体力だけでなく精神力や勘のようなものも必要ですが、その特性が私に合っていたように思います」
また大学3~4年にかけて実施したフーリエ変換の自主ゼミが現在の仕事にも活きていると語ります。
「高校の先生や大学の学科の先生から『学校はフル活用しなさい』と教えられ、卒論の担当教官とは別の先生に個別指導をお願いし、友人と一緒に毎週フーリエ変換の教科書を一緒に解く時間を作りました。
今の仕事でも時には数十ページになる書類をチェックすることもありますが、大学時代に培った集中力が活きているように思いますね」
そんな柴田とJQAとの出会いは、就職活動時の事業所見学だったと言います。
「JQAの仕事は堅実そうで、自分に合いそうだと思いました。また当時は就職氷河期で就職することが厳しい時代だった中、一番に内定をいただいたことと、良い人が多そうな印象を受けたことで入構を決めました。さらに、父方の祖父が現役時代に同じような検査・標準化業界にいたことを知り、縁を感じたことも後押しとなりました」
入構後は新鮮な驚きの連続だったと語ります。
「最初は安全試験部に配属となり、家電製品の安全試験に従事しました。わざと故障させて行う試験では火花や大きな音がでることもあって、本当に驚きながらやっていたのですが、普段当たり前に使っている製品の構造や仕組みを知ることができ、勉強になりましたね。
当初は測定器の使い方もわからなかったのですが、JQAの良いところは、質問すると誰でも親身になって教えてくれること。納得いくまで話し合える環境があるところは魅力ですよね」
既存の方法に疑問を持つ──製品の本質を見極める試験とは何かを問い続ける
柴田は、仕事における失敗体験として、入構4年目頃に起きたできごとを挙げます。
「小さなミスが私の所属する事業部門全体に影響を及ぼす可能性があるほど重大な問題に発展してしまったことがありました。でも、JQAでは個人を責めるのではなく、会社の仕組みの問題として捉える文化があり、逆に周囲が私を励ましてくれました。
それ以降、どんな小さな作業でも、なぜそうするのか、その判断は正しいのかを常に見直すようになりました。さまざまな視点から物事を見ることができるようになり、問題解決の幅が広がったように感じています」
一方、成功体験としては、試験方法の改善を提案し、実現できたことだと言います。当時、柴田が担当していた製品は、外気温が低くなると作動する凍結防止用のヒーターでした。
「従来の試験方法では、室温での試験が求められていました。ところがこの製品は外気温が低い時に作動する仕組みなので、室温では本来の機能を確認できない状況だったんです」
その状況に疑問を感じた柴田は、委員会で改善提案を行うことを決意します。
「法律の解釈や標準的なやり方が決まっている中で、理論と実際の試験に乖離があることに気づきました。それで、製品が想定される使用環境の温度で試験を行うべきだと提案。この提案は、役所などの関係団体にも認められ、試験方法の解釈が変更されることになりました。
目的に適した試験方法に改善することができ、この経験を通じて、既存の方法に疑問を持ち、改善を提案することの重要性を学びましたね」
お客さまとの関わりの中でも印象に残っている経験があります。
「お客さまの製品が基準を満たさない時、基準の趣旨を論理的に説明したことで最終的には納得していただいて。そういうことが何度かあったのですが、やりがいを感じる瞬間ですね。第三者認証機関として、使用者側でも製造者側でもない、公平中立の立場で評価を行うことを大切にしています」
女性エンジニアのロールモデルとして──描く未来とサイバーセキュリティの可能性
4年前からサイバーセキュリティという新しい分野に挑戦している柴田。これまでの安全試験とは異なる領域で、日々新たな発見があると言います。
「サイバーセキュリティは本当に奥が深い領域です。この先もずっと自分で興味を持って、新しい仕事を見つけながらやっていければと考えています」
技術の進歩が速い分野だけに、常に学び続ける必要があります。柴田は後輩からも積極的に知識を吸収しています。
「どの分野でも『私が一番わかっていない』という気持ちで素直に聞きますし、お客さまにも教えてもらいます。私がわかると他の人もわかるようになると思っているので、いつも底を上げていく感じで取り組んでいます」
また、女性エンジニアとしてのロールモデルとなることも意識していると言います。
「私自身、2回の産・育休を経験し、働き続けていますし、まだまだ女性の技術者が少ない中で、若い人が私を見て、『どんな人でもやっていけるんだな』と思ってもらって、もっと女性のエンジニアが増えるといいなと思っています」
とくにサイバーセキュリティ評価の仕事は、体力的な制約が少ないことも魅力の1つです。
「安全試験だと力仕事が必要な大型の製品の評価もありますが、サイバーセキュリティの分野ですと、そういう体力的な制約がありません。そのため性別や年齢に関係なく活躍できる仕事です」
JQAの強みは、国籍問わず、多様な人材が活躍できる環境があること。柴田は、その土壌を大切にしながら、今後も成長を続けていきたいと考えています。
「JQAにはさまざまな仕事があり、それぞれの人のいいところを発揮して、よい仕事をしていくという土壌があります。またメーカーと違って製品が固定されないので、毎日さまざまなことを学べます。
たとえば、普段家庭で使っているような有名ブランドの家電製品だけでなく、普段目にしないような特殊な機械の部品も試験します。また、製品の評価には電気回路だけではなく、筐体などの材料やソフトウェアに対する知識も必要となるので、日々勉強をしています。
入構されたら、ぜひいろいろな方と一緒に働いて、さまざまな考え方を業務に活かしてもらいたいです。業務の内容を知れば、きっと興味を持っていただけると確信しています。ぜひJQAに来てもらえたら嬉しいです」
※ 記載内容は2025年2月時点のものです

