需要が高まるJQAへの校正依頼。汎用機から高精度機器まで、計測の現場を陰で支える
計量計測センターの計量計測部 電子計測課に所属する金子と上島。共に電子計測器の校正業務を担当し、金子はソフトウェア開発や新人育成にも携わっています。
金子:私は主に汎用機の校正業務を行っています。汎用機は、電子計測器の中でも中程度の精度を持ち、幅広い業界で使われているため数と種類が多いのが特徴です。依頼数も多く、1日あたり10〜15台の機器を校正しています。
また、IT推進グループを兼務して機構内新システムの開発に携わっております。高専時代は情報工学科にいたため、この知識を活かしてプログラムの仕様変更や機能追加などソフトウェア開発も行っています。電子計測課では証明書などのデジタル発行システムの改良やメンテナンスをすることが私の役割の1つです。
これと並行して、新しく入構した職員や経験者採用の職員の教育も担当しています。
上島:私は高精度のマルチメーターや電圧電流発生器の校正を担当しています。これらの機器は、製造業だけでなく校正業務を行う会社でも使用されていて、お客様の中には、自社内で校正を行うために当機構で校正された高精度機器を基準として使用しているケースもあります。
高精度な機器の校正には、汎用機と比べて高精度な標準器が必要になり、校正の手順も増えるため、1日に校正する台数は2〜3台です。お客様の要望によって作業内容や所要時間が変動し、追加の校正項目があるときは1〜2日ほどかかることもありますが、2時間程度で終わる作業もあります。
校正の依頼は、年々増加する傾向にあります。需要の高まりと共に、JQAへの信頼も高まる一方です。
金子:電子計測課は20代、30代の若手が多く在籍しています。デジタル化の波を受けて、半導体などを管理する必要がある現場が増えていることが推測され、年々需要が増え続けている状況です。
とくに自動車業界、航空業界、医療機器業界などで規制が厳しくなっていることから、校正業務を外部委託する動きが増えているのではないでしょうか。
上島:そうですね。さまざまな業界でISOなどの規格への適合が求められるようになったことが影響していると思います。JQAが選ばれている背景には、そういったこともあるかもしれません。
高い精度と信頼性が求められる校正業務に取り組む上で、2人には大切にしていることがあります。
金子:私が重視しているのは、基本的な確認を怠らないことです。証明書を発行しているため、間違いは許されません。とくに新しいメンバーを指導する際には、単に手順を教えるだけでなく、「なぜこの作業が必要なのか」という理由も説明するようにしています。
上島:私の担当する高精度クラスの機器は、社内に1台しかない場合も少なくありません。そのため、機器を絶対に壊さないよう細心の注意を払っています。上限を超えた電圧や電流を入力してしまうと機器を損傷させてしまうので、設定している値が正しいかどうか確認を徹底しています。
また、効率も大切ですが、精度の高い測定には十分な時間が必要なこともあります。測定時間をむやみに短縮せず、正確な結果が確実に得られるまで待つことも心がけています。
同じ高専、同じ部活動を経てJQAへ。共通の経験が育んだ絆と成長の道のり
偶然にも同じ高専に通っていた2人ですが、進学先を決めた理由は対照的でした。
上島:中学生のとき、技術の授業でラジオのハンダ付けをして電子工作に興味を持ちました。将来仕事をするために早い段階から専門的なことを学びたいという気持ちもあり、高専を選びました。
金子:私はとにかく縛られるのが嫌で、高専に決めたのは校則がゆるい点に魅力を感じたからです。上島さんとは逆ですね。また進学先でこれまでと同じような人が集まるようなところではなく、まったく新しい人に出会いたかったんです。
入学後、金子は情報工学科で組み込み工学やアプリケーション開発に、上島は電子工学科で筋電図測定の研究に取り組みましたが、もうひとつ意外な共通点がありました。
金子:高専時代、友人と一緒に演劇同好会を立ち上げたんです。私が担当していたのは音響と演出。当時はメンバーが少なく、なんとか人を集めて運営していました。
上島:びっくりなんですが、実は私も演劇同好会に所属していたんです。JQAに入ってから金子さんが演劇同好会を立ち上げた人物だと知って、驚きましたね。私が入ったころは、各学年に3〜4名ほどのメンバーがいて、全体で15名くらいの立派な組織に成長していました。音響をやりたくて入会したので、私も裏方の役割が中心でした。
金子:私もびっくりしました。また、7年下の上島さんが同好会にいたと聞いて、「まだ続いていたのか」という驚きもありました(笑)。
同じ高専に通い、同じ部活動に所属した2人。入構を決めた理由も同じでした。
金子:高専時代にインターンシップに参加し、職員の穏やかな人柄に惹かれ、入構を決めました。ただ、当時は高専卒業生の採用枠がなくて。いったん大学に進学し、情報デザインや認知工学を学んだ上で応募し、現在に至っています。
上島:私は医療分野で手を動かす仕事を探していてJQAと出会い、一般財団法人という特殊な立ち位置に興味を持ちました。入構を決めたのは、インターンシップに参加し、丁寧に説明してくださる職員の姿や穏やかな雰囲気に魅力を感じたからです。
また、医療機器を含むさまざまな業界に関わる手仕事ができるという点も、私にとっては大きな魅力でしたね。
2015年入構の金子と、2022年入構の上島。それぞれ異なるキャリアパスを歩んで成長を遂げてきました。
金子:熱・力学計測課で力学量や熱学量の校正業務を担当し、5年目に電子計測課へ異動しました。新人がどこでつまずきやすいかなど、業務上だけでなく、新人育成の面でも前の課での経験が生きていると感じます。
上島:1年目は金子さんと同じく汎用機を担当し、2年目から高精度の機器も手伝うようになり、2024年からは高精度な機器を専門に扱っています。高精度の機器では、ちょっとしたノイズや、使用するケーブルの品質によって測定値が大きく変わってしまうため、汎用機を扱っていたときには気にしていなかったことにも細心の注意を払って、作業しています。
現場で感じる誇りと責任。さまざまな産業を陰で支えることがやりがいに
普段は異なる種類の電子計測器の校正業務を担当する金子と上島。2人が協働し、大きな成果を上げた出来事がありました。
金子:以前、電子計測課には、新人教育のために標準化された資料がなかったんです。そこで、上島さんをはじめ課のメンバーが力を合わせて、新人のための研修資料を作成したことがありました。
研修プログラムの最後にアンケートを取ったところ、「電子計測課の研修がとてもよく準備されていてわかりやすかった」という感想をもらいました。とても充実感がありましたし、新しい仲間のために積極的に動ける人材が増えたことがとてもうれしかったです。今後、こうした取り組みが広がっていくことを期待しています。
上島:そうですね。私にとってもその資料作成はとても思い出深い出来事でした。また、見学用の資料をつくったときのことも印象に残っています。
JQAでは、外部向けに施設見学を実施しています。以前は、電子計測課の説明をすべて口頭で行っていましたが、口頭のみでは伝わりにくい点が多かったため、金子さんの提案で見学用の資料を作成することになったんです。
マルチメーターの写真や機器の説明を載せたものを作成した結果、金子さんを含めさまざまな先輩から「資料がわかりやすくて助かる」といった声をもらいました。些細なことでも、こうして評価してもらえるのは自信につながっています。
計測の信頼性と精度を保証する校正業務。多くの産業の基盤を支える重要な役割を担う責任と誇りが、2人の原動力となっていきました。
上島:私は頻繁に出張に出かけ、お客様の工場で校正作業を行うこともあります。自分が校正した機器が、実際にどのように使われているのかを目の当たりにできることが、仕事へのモチベーションにつながっています。
以前お客様からお褒めの言葉を直接いただいたときのことをいまも鮮明に覚えています。作業が終わって最後の挨拶をするときに、「テキパキと作業されていて良かったです」とおっしゃっていただき、また頑張りたいという気持ちになりました。
金子:私も計測現場で自分たちの手で校正したものが基準になっていることに喜びを感じます。さまざまな業界を陰で支えられていることは本当にうれしいですね。
また、私はこれまで異動のたびに新しい業務に慣れるのに苦労してきました。そのため、後輩たちには同じ苦労を味わわせたくないと思っています。彼らを支援し、成長する姿を見られることは、私の大きなやりがいです。
楽しく仕事ができる環境で、社会に役立つJQAの仕事の魅力を感じてほしい
金子と上島にはそれぞれ、めざす姿があります。
金子:後から入ってきた人たちの見本になるような存在になりたいです。皆の活力となり、支えになれるような人材になることをめざしています。ロールモデルにはなれなくても、それぞれが自分のゴールに近づくためのヒントを提供できるようになることが目標です。
新しく入ってきた方々には、楽しく仕事をしてほしいというのが私の願い。だからこそ、どんな些細なことでも遠慮なく聞いてほしいといつも伝えています。
上島:本当に金子さんのおかげで、「こんなこと聞いていいのかな」とためらうような内容でも、安心して質問できる雰囲気があります。私も金子さんのように、新しく入った方が気軽に話しかけられるような存在になりたいです。
また、現在はすべての高精度機器の校正を担当しているわけではないので、より精度の高い校正も任されるよう、業務に誠実に取り組んでいきたいと思っています。「この機器のことならこの人に聞けば大丈夫」と思ってもらえるような存在になりたいです。
そして最後に、未来の仲間に向けて2人はこんなメッセージを送ります。
金子:街中を歩けば、至るところに「JQA」の文字を見つけることができるはずです。自分の仕事がどのように社会の役に立っているのかを実感できるのは、JQAならではの魅力だと思います。
校正業務には同じ作業を繰り返す側面もありますが、自分で新しい手法を考えたり、新しいものを探求したりできる環境も整っています。細かい作業を丁寧に続けることを楽しめる方はもちろん、研究熱心な方にも向いている仕事です。
上島:私も金子さんと同じ意見です。地道な作業をコツコツと進めていくことにおもしろさを感じられる方であれば、きっと楽しんで取り組めると思います。
出身分野は問いません。少しでも興味を持たれた方はぜひインターンシップに参加して、JQAの魅力を直接感じてみてください。
※ 記載内容は2024年10月時点のものです

