いわき市職員からJリーグクラブへ。スポーツと行政の架け橋に
いわき市職員である野木は、昨年、いわきFCの母体である株式会社いわきスポーツクラブに出向してきました。行政とスポーツの両方を知る野木は、まさに社会連携活動に適任。選手とクラブ、地域を巻き込んだ活動を次々と仕掛けています。
「これまで、行政やプライベートでの市民活動を通じて、まちづくりやコミュニティ活性化に携わってきました。いわきFCでは、クラブが持つ発信力を活用して、新しい形の社会貢献活動にチャレンジしたいと考えています」
そう語り、微笑む野木。行政と市民の両方の視点を持ち、地域の悩みに耳を傾ける野木だからこそ、地域のニーズに合った活動が生まれるのかもしれません。
認知症サポーターを養成する。ここから「つながり」が連鎖し始めた
いわきFCでの最初の取り組みとなったのが、Jリーグからも表彰を受けた「認知症サポーターとしての活動」です。いわきFCでは地元自治体やNPO法人らと「認知症になっても、できる限り住み慣れた場所で、安心して、自分らしく暮らせるまちづくり」を実現したいと考えています。今回は第一歩として、認知症を受容する意識醸成を目的に、選手7人、クラブスタッフ5人が「認知症サポーター」の認定を受ける取り組みを行いました。
この活動は地元で話題になり認知症に対する市民啓蒙につながりました。さらに、オフシーズンは選手と地域住民が触れ合う機会を多くつくり、広野町と楢葉町でホームタウン感謝祭を実施。このあたりから「地域とのつながりに対する選手の意識が大きく変わった」と野木は言います。さらに、つながりが深まったのは選手と地域だけではありませんでした。
「選手とチームスタッフが同じテーマで活動することにより、お互いがつながりチームとしての連携も強くなりました」
野木は「シャレン!」の意外な効果に目を細めます。
フィールドの外での接点を数多く作る。選手は体験すれば動いてくれる
いわきFCの「シャレン!」活動の特徴は、選手もスタッフもおもしろがって意欲的に取り組んでいる点です。その成果は、他のチームからも注目されており、「どうやったら、こんなに選手が協力してくれるのか」と、尋ねられると言います。
「サッカーの場以外で地域との接点を数多く作り、つながりを全選手に体験してもらうことが大切なのではないか」
そう語る野木。いわきFCでは、先ほど挙げたように認知症サポーターの活動で若手選手の意識が変わり、選手が地域と直接関わることで選手たちの意識が変わりました。今では、こちらから呼びかけると多くの選手が笑顔で集まってくれるようになり、「シャレン!」活動だけでなく、他の活動にも快く協力してくれるようになったと言います。
関わる人が皆「おもしろい」と喜ぶ。そんな社会連携活動を実現したい
野木がよく口にするフレーズは「おもしろい」です。既成概念にとらわれず、自分が「おもしろい」と思ったことに次々とチャレンジしていき、その結果、関わってくれた人たちが皆「おもしろい」と喜んでくれる。そんな社会連携活動の形を野木はめざしていると言います。
「行政は意外と話を聞いてくれます。難しく考えずに小さなことでも気軽に相談しに行くといいですよ」
最後に、野木はこう教えてくれました。行政とスポーツの両方を知る野木だからこそ生まれる発想と、地域と活動する魅力を体感したいわきFCの選手。これを見て、野木が挑む「おもしろい」社会連携活動の手法はJリーグ全体に広がっていくのではないでしょうか。今後の野木の活躍に大いに期待しています。
(文章:戸田 敏治)
※ 記載内容は2024年5月時点のものです
