多様な人々が手を取り合い強固な絆を築いていく。「サガン」のように
井上がサガン鳥栖に入ったのは1999年。アカデミーの立ち上げ、広報、運営、ホームタウンなどに携わった後、ギラヴァンツ北九州、V・ファーレン長崎といった他クラブチームでも活動し、2021年に再びサガン鳥栖に戻ってきました。その間、一貫して持ち続けてきたのは、スポーツの枠を超えた社会貢献や地域連携への想いです。
「じつは、『サガン』という言葉には『砂岩』という意味があります。一粒一粒の砂が集まり固い岩となるように、多様な人々が手を取り合い、強固な絆を築いていく。サガン鳥栖のチーム名には、そんな想いが込められています」
この想いは、井上がめざす一人ひとりの違いを認め合い、お互いの強みを活かしながら助け合える社会像と重なります。
個人が持つ個性も企業や団体が持つ個性も、サガン鳥栖がつないで大きな力に変えていく
「地域の企業や団体と直接つながるだけでは駄目なのです」と井上は力を込めて言います。井上は、サガン鳥栖を地域のハブと位置づけ、さまざまな社会課題に向き合ってきました。
個人が持つ個性も、企業や団体などが持つ組織の個性も、一見接点がなさそうな者同士でもサガン鳥栖が仲介することにより、それぞれの個性を活かした新たな協働を生み出し、大きな力となる。井上が推進するこうした活動は、「サガン」の理念を地域社会全体で実践するものだと言えます。
「多様な背景を持つ人々が、お互いを理解し、助け合える社会をめざしています。そのためには、一人ひとりの個性を大切にし、違いを認め合うことが大切。
サガン鳥栖は、そのハブ的な役割を担っていきたいですね」
180名が集う「Sagan World Cup」。スポーツを通じた国際交流の場に
今回「2024Jリーグシャレン!アウォーズ」で受賞した「Sagan World Cup」は、昨年12月にサガン鳥栖が佐賀県国際交流協会とJICA九州と共催し、ホームスタジアムで開催されたフットサル大会です。佐賀県内企業に勤務する外国人技能実習生や留学生、日本人学生などが集い汗を流しました。
第1回の2022年大会では24カ国105名、第2回となる2023年大会は16チーム31カ国180名が参加しました。大会ではサッカーを楽しむだけではなく、国際色豊かな飲食ブースを設置したり、フィンランドの参加者からの「母国発祥のスポーツであるモルックをサッカー場でやりたい」との要望を実現させたりと、国際交流を楽しむ場にもなっています。
サッカーの枠を超えて平和な社会を築いていきたい
「Sagan World Cup」は、ウクライナ避難民の方々も参加し、スポーツが持つ「国境も言葉の壁も超える力」を実感する機会にもなりました。さらに、第1回大会に参加した外国人技能実習生の中には、大会後に再来日先として佐賀を選んだ方もいるそうです。
「外国人も住みやすい、顔が見える地域づくりの一助となるために企画した本大会ですから、とても喜ばしいことです」
井上の原点は「世界が平和であってほしい」という想い。サッカーチームが地域に根差し、多様な価値観を認め合い、共に生きる社会を作ること。その想いは、きっと多くの人の心を動かすはずです。
志高く、井上の挑戦はサガン鳥栖とともにまだまだ続くことでしょう。
(文章:戸田敏治)
※ 記載内容は2024年5月時点のものです
