インターネット広告の会社から転職。「社会活動は当たり前」がチームの共通認識
山﨑は、大学卒業後にインターネット広告の会社に入社し、31歳の時にJリーグ所属チームのマーケティング担当へと転職しました。現在はモンテディオ山形でマーケティング部兼運営部統括補佐として働き、その業務の一環として社会活動に取り組んでいます。
「モンテディオ山形は、スポーツチームの価値を競技以外の社会や地域に対して還元することは当然のことと考えています。当初はトップである社長がアイデアを考え、私は実行する役割を担っていたため、必然的にその意識が高まっていきました」
「シャレン!があるから社会活動」ではなく、自発的に考え、活動し、そこに対して人やコストを投資することはチームの共通認識になっています。
少子高齢化が課題。地域で若者が循環する仕組みに
モンテディオ山形が取り組んだ「U-23マーケティング部」は、昨年実施した「高校生マーケティング探求プロジェクト」に続き、2年連続で「2024Jリーグシャレン!アウォーズ」の「クラブ選考賞」を受賞しました。県内外から高校生・大学生総勢40人を集め、第一線で活躍するマーケターや起業家が外部講師となる全41回300時間のプログラムです。
「地域の特性として少子高齢化が進んでいるため、若者を対象にした取り組みをやろうと昨年始めました。実施してみて、地域で若者が循環する仕組みがつくれると実感し、今回は大学生にまで広げました」
プロジェクト名からマーケティングに特化した活動をイメージしますが、実態はそうではありません。
「マーケティングのスキルを身につけてほしいわけではなく、その思考プロセスは社会で生きていく上で重要なことが詰まっていると実体験から感じます。
学生が主体的に考えて、動き、それによる成長を重視したプログラムです。プログラムの最後は、私たちにとってもチャレンジでした」
モンテディオ山形の試合の企画・集客・運営を学生主導で実施して、成功を収めました。解散式では、学生一人ひとりが学んだことを泣きながら語ります。
「ゴールに向かって真剣に取り組む大切さを学んだ、自分の強みや弱みがわかったなど、いろいろな声を聞きました。これから社会に出ていく彼らに働くことの楽しさが伝わったかなと思います」
終了後に、学生は他企業のインターンシップに参加するなど、活動の幅を自ら広げています。
部署横断で、選手や監督もいかに巻き込めるかを常に考える
モンテディオ山形は、運営部門だけでなく横断的に各部門が連携し、選手も一丸となってチーム全体で社会活動を行っています。
「全員で目線を合わせることはとても重要です。通常、そこはホームタウンの部署で考えるところですが、私のいるマーケティング部も営業部も積極的に関わるようにして、巻き込み方を常に考えています」
実際に、「U-23マーケティング部」は渡邉監督と学生と2時間ディスカッションする場面や、選手も活動に参加するなどチーム全体でプログラムを成功させようとする姿がありました。
学生主導で運営を行った最後の試合ではチームが勝利をおさめ、選手が学生たちに「みんなのおかげで勝てた!」と叫んだシーンは印象的だったと振り返ります。この体験を通して、社会活動を成功させるポイントについて山﨑は次のように考えています。
「運営側が目先の利益を求めると、リソースとして学生を使うという形になりがちです。そうではなく、学生の成長を第一に考えて、中長期的にそれがクラブに還元されるという視点を持つことが大切だと思います」
社会活動は継続が大事。キラキラする1年目だけで終わらないこと
社会活動や地域活動を行う上で、山﨑は「継続することが大事」と話します。
「1年目はキラキラしているものですが、2年目からは課題が出てきて終わってしまうケースが多々あります」
今回の取り組みから見えた課題としては、集客や具体的な地域課題の解決への結びつきがあり、現在はその観点を意識しながらU-23マーケティング部の2期目に入っています。
また、地域の課題を解決するために自治体とのコミュニケーションもさらに重視していくことも考えています。
「今も、県下35市町村それぞれに選手がアンバサダーとなり連携していますが、さらに強化していきたいですね」
スポーツに興味がある人へのアプローチだけでなく、社会と密接に関わることでクラブチームの価値をより大きくしていくために、これからも活動を続けていきます。
(文章:廣田喜昭)
※ 記載内容は2024年5月時点のものです
