「やりたいこと」の言語化に悩んだからこそ見つけた、自社開発という選択
学生時代は情報学部に所属し、ITに関する基礎知識を幅広く学びました。卒業研究では機械学習を用いた画像処理に取り組み、白黒の線画をカラー写真に変換するシステムの開発に挑戦しました。機械学習とは、大量のデータをコンピューターに学習させることで、人間が明示的にルールを書かなくても自動的にパターンを認識できるようにする技術です。研究を通じて、技術が「見えないものを見える化する」可能性を実感したことは、今でも印象に残っています。
授業や研究と並行して、ゲーム作成サークルにも所属していました。サークルでは音楽に合わせてリズムよく操作する、いわゆる「音ゲー」を数人のチームで開発しました。一人では作れないものがチームの力によって形になっていく過程はとても刺激的で、そこで初めてチーム開発の楽しさと醍醐味を知りました。この経験が、後の就職活動における「開発に携わりたい」という思いの原点になっています。
就職活動では、情報学部出身ということもあり、当初はIT職を中心にSIer(顧客の依頼を受けてシステムを開発・運用する企業) やコンサルティング企業、自社開発企業など幅広く検討していました。しかし、さまざまな企業説明会に参加する中で、自社開発という形態に強く惹かれるようになりました。理由は、システムの企画から設計、開発、運用・保守まで、一連の流れに継続して関われる点に魅力を感じたからです。上流から下流まで携われる環境こそ、自分が求めているものだと確信しました。
一方で、就職活動は決して順調だったわけではありません。当初は自分のやりたいことをうまく言語化できず、面接でも思いを十分に伝えられないまま内定をいただけない時期が続きました。「やりたいこと」は漠然とでも持っていましたが、それを言葉にして相手に伝える難しさを痛感したことを覚えています。
そうした経験を経て出会ったのがJ:COMでした。入社の決め手となったのは、システム開発の上流工程から下流工程まで幅広く経験できることに加え、アジャイル開発を取り入れている点です。アジャイル開発とは、短いサイクルで開発と改善を繰り返しながら価値を提供していく開発手法です。学生時代にチーム開発のおもしろさを知った自分にとって、チームで連携しながら柔軟に素早く開発を進めるアジャイルの考え方は大きな魅力でした。上流から下流まで携われる環境と、現代的な開発スタイル。その二つが重なり、「ここで働きたい」という思いが固まりました。
基礎を積み重ね、システム開発の全体像を学んだ日々
入社後最初の1カ月は、新入社員全員で社会人研修を受講しました。社会人としての基礎を学ぶ大切な期間だったと感じています。その後、5月からアジャイル開発(仕様や設計を固定せず、小さな単位で開発・改善を繰り返すソフトウェア開発手法) を行う部署へ配属され、半年間にわたるIT基礎研修が始まりました。
研修では初歩的なプログラミングから学び、最終的には座席予約システムを一から構築しました。画面設計やデータベース設計(システムが扱うデータの構造や保存方法を定める設計) など、システム開発の基礎となるスキルを実践を通して身につけることができた経験は、今でも自分の土台になっています。
また、技術面だけでなく、わからないことを整理し、自分の言葉で質問する力もこの研修期間中に養われました。相手の時間を無駄にしないために、論点を整理したうえで質問することを意識し続けた経験は、現在の業務にも活きています。
11月からは実際の開発チームに配属され、WEBサイトのマイページ開発を担当しました。最初は文言修正や軽微な機能改修からのスタートでしたが、2年目には問い合わせフォームの開発も担当するようになりました。設計から他部署との仕様調整、開発まで幅広く携わる必要があり、大変さを感じる場面も多くありました。しかし、先輩社員やチームメンバーの支えを受けながらリリースまでやり遂げることができました。
3年目から4年目にかけては、基幹システム(企業の中核となる業務を支える大規模なシステム) の刷新プロジェクトに携わる部署へ異動し、新しいマイページの開発を担当しました。開発言語や開発手法も変わり、当初は不安もありましたが、Next.js(Reactをベースにしたモダンなウェブアプリケーション開発フレームワーク) を活用したモダンな開発やAIを活用した開発手法に触れられることへの期待もありました。
この4年間を振り返ると、上流から下流まで携わることのおもしろさと難しさの両方を実感しています。自分が企画や設計の段階から関わったシステムが無事にリリースされ、実際に利用されていることを知ったときの達成感は大きなものがあります。一方で、多くの関係者と連携しながら開発を進める難しさも身をもって経験しました。その一つひとつの経験が、現在の自分の成長につながっていると感じています。
「本当に必要なものは何か」を考え続ける設計者へ
現在は次期フロントシステム開発部に所属し、基幹システム刷新に伴う社内外向けシステムの設計業務を担当しています。以前は開発者として仕様に沿った実装を行うことが中心でしたが、現在は他部署との仕様調整や要件整理を行いながら、案件を主体的に推進する役割を担っています。
その変化を強く実感したのは、設計業務を本格的に担当するようになったときです。当初は設計書(システムの仕様や動作を文書化したもの) の作成方法がわからず、何をどの順番で整理すればよいのか全く見当がつきませんでした。先輩社員や上長に何度も相談しながら試行錯誤を重ね、初めて一本の設計書を完成させたときの達成感は今でも忘れられません。
この経験を通じて学んだのは、設計書作成に必要なのは文章力だけではないということです。利用者が本当に実現したいことを理解し、それをシステムとして実現可能な形に落とし込む力が求められます。「なぜこの機能が必要なのか」「例外ケースはないか」といった視点で掘り下げていくことで、初めて本当に必要な要件が見えてきます。
他部署との調整においても同様です。業務部門からの要望は「この画面を追加したい」といった具体的な解決策として示されることがあります。しかし設計者として大切なのは、「なぜその画面が必要なのか」「何を解決したいのか」まで確認することだと考えています。作業工数を削減したいのか、入力ミスを防ぎたいのかによって、最適な解決策は変わるためです。そうしないと、本当に必要な要件は見えてこないためです。
入社当初と比べて大きく成長したと感じるのは、要件を整理する力と関係者との調整力です。業務部門や開発部門、他システム担当者など、それぞれの立場を理解しながら仕様や運用方針を調整できるようになりました。また、設計書についても「誰が読んでも理解できるか」「記載漏れはないか」という視点を常に意識するようにしています。
最近はAIも活用しながら、要件整理や設計書作成、レビュー観点の洗い出しを効率化しています。限られた時間の中でより品質の高い成果物を作れるようになったことも実感しています。自分が携わったシステムがリリースされ、実際に利用されていることを実感できたときは、この仕事の大きなやりがいを感じます。
「要件定義のスペシャリスト」をめざして
今後の短期的な目標は、要件定義や仕様調整のスキルをさらに高めることです。 関係部署との打ち合わせを主体的にリードするためには、事前に論点をしっかり整理しておくことが欠かせません。認識のズレを早い段階で発見し、要件の漏れや例外ケースを洗い出しながら、合意形成まで丁寧に推進できる人材になりたいと考えています。
中長期的には、上流工程(システム開発の初期段階で行う、業務課題の整理や要件定義、システム化方針の策定などの工程) のスペシャリストになることが目標です。業務部門との要件定義を主体的にリードし、システム全体の最適化という視点で設計判断を行いながら、将来的には大規模プロジェクトの要件定義を担える責任者になることが目標です。
そのために今後さらに伸ばしていきたいのが業務知識です。要件定義の現場では、システム要件だけでなく業務ルールやその背景まで理解することが求められます。課題の本質を正しく捉えるためにも、業務理解を深めていきたいと考えています。
また、合意形成やファシリテーション(会議の進行役として議論を整理し、合意に導くスキル) の力も重要だと感じています。要件定義には唯一の正解がないからこそ、関係部署ごとの意見や要望を整理し、共通認識を作りながら方針を定めていく必要があります。論点整理や説明資料の作成、意思決定の支援といったスキルを磨くとともに、システム全体を俯瞰する視点も身につけていきたいと考えています。他システムとの連携やデータの流れ、将来の拡張性まで見据えた判断ができるようになることが今後の課題です。
最後に、社員訪問を検討している学生の皆さんにお伝えしたいのは、「ITの仕事はプログラミングだけではない」ということです。J:COMには企画、要件定義、開発、データ活用、AI活用、インフラなど、多様な仕事があります。「プログラミングが好きだからITを選ぶ」という方もいれば、「人と関わりながら課題解決をしたい」という方もいる。そのどちらにも応えられる環境があると思っています。
社員訪問では、仕事内容だけでなく、キャリアや働き方についてもぜひ質問してみてください。実際に働く姿を具体的にイメージできる貴重な機会になるはずです。皆さんの進路選択のヒントになればうれしく思います。

