日産量200トンを支える重責。アスファルト合材設備の安定稼働を担う機械課の使命
埼玉県、栃木県、群馬県、茨城県に計9カ所の合材工場を展開する北関東支店。このうち神山は茨城県の土浦合材工場に所属しています。
「機械課の係長として、アスファルト合材を製造する設備の保守点検を担当しています。日々の小さな修繕だけでなく、大規模な設備の改修のための中長期計画の立案にも携わっており、それにともなう行政への申請業務なども行っています。
工場長を中心に、営業担当、品質管理担当、事務担当、協力会社のメンバーから構成される比較的コンパクトな組織です。大きな工場ではチームで設備の保守点検を行っている場合もありますが、当工場では私が単独で作業に当たっています」
土浦合材工場が出荷するアスファルト合材の量は1日当たり約200トン。常に稼働している設備の管理を神山はひとりで支えてきました。
「機械は継続的に稼働しているため、予期しない故障やトラブルが発生する可能性が常にあります。保全計画を事前に立てた上で、工場の安定稼働を確保することが私の役割です。具体的には、大型設備の高所点検を実施し、グリースを注入しながら異常箇所の早期発見に努めています。
当工場で製造するアスファルト合材は、道路舗装や駐車場など、インフラ整備に不可欠な材料です。その主成分である骨材は、乾燥機で精密に温度管理された状態で加熱されます。特性上、長期保存が困難であるため、製造したアスファルト合材は原則として当日中に出荷しなくてはなりません。
そのため、出荷量が多い日は早く出勤することもありますし、交通量の多い道路の舗装工事など夜間作業が必要なときは、遅くまで作業が続くこともあります」
キャリア13年目を迎える神山。これまで数々の現場経験を積み重ねながら、徐々に業務の幅を広げてきました。
「機械職にはさまざまな専門資格が欠かせません。もっとも基本的なものが危険物取扱者乙種第4類です。アスファルト合材の製造プロセスでは、燃料を用いた加熱や脱水工程が含まれるためです。私は入社後にこの資格を取得しました。
また、設備点検の大半は稼働停止時にしか実施することができません。安全確保の観点から、点検作業中に機器が不意に動き出すことを防ぐために、給電系統の遮断が必要となります。この操作を適法に行うためには、低圧電気取扱者の資格が不可欠です。
さらに、機器の種類によって修理が可能なものとそうでないものがあります。工場内で対応する場合は、溶接作業をともなうこともあり、こうした作業にも適切な資格が必要です。
これらの資格を段階的に取得しながら、現在も技術者としてスキルの向上に励んでいます」
プライドよりも、責任感。日本の道路を縁の下で支える機械技術者の哲学
2012年に入社した神山。インフラ業界をめざした背景には、未曾有の大惨事がありました。
「私が就職活動をしていたのは東日本大震災の直後。災害を通じて道路や鉄道などライフラインの重要性を思い知り、インフラ業界を志すようになりました。
前田道路を選んだ決め手はふたつあります。ひとつは、道路会社であれば、デスクワークだけでなく屋外で体を動かしながら働く機会があると思ったことです。工業高等専門学校の卒業研究でプログラミングに従事した経験から、フィールドワークとオフィスワークにバランスよく取り組める仕事が自分に適していると考えていました。
もうひとつが、待遇面の良さです。給与水準もさることながら、福利厚生が充実していることは非常に魅力的でした。
建設業界特有の長時間労働への不安はありましたが、実際には19時以降の残業はほぼありません。設備点検のため土日出勤が必要な場合もありますが、その際は代替休暇の取得が強く推奨されるなど、非常に働きやすい職場だと感じています」
本店機械センターでの約半年間の研修後、神山は群馬合材工場へ。その後、土浦合材工場、館林合材工場を経て、2022年から再び土浦合材工場機械職で勤務しています。神山にとってこれまでのキャリアは、自律的な成長の過程でした。
「私の経験は、後輩たちとは少し違っています。今は通常であれば、新入社員は先輩社員の指導のもとで業務を学びますが、私の場合は配属先に機械職の先輩がいなかったため、正式な見習い期間は設けられておらず、自ら進んで仕事を覚える必要がありました。
各工場長には機械職のバックグラウンドがありますが、皆さんとても多忙ですから、直接的な指導を受けられる場面は限られていました。まずは自身で業務に取り組み、必要に応じて工場長の支援を受けるというのが基本的な進め方です。試行錯誤を重ねながら、時に先輩たちに助けてもらいながら、実践的に技能を習得してきました。
また、すべての作業を自社で行うわけではありません。協力会社に依頼することも多々あるため、そうした機会を利用して熟練の技術者の作業を熱心に観察することも、私の学習方法のひとつでした」
入社以来、一貫して機械職を担当してきた神山。豊富な経験を通じて培った職業哲学があります。
「機械職の扱う工場設備が停止すれば即座に生産ラインが停滞してしまい、多くの関係者に影響を及ぼすことになります。そのため、 日々緊張感を持って業務に臨んでいます。
私が常に心がけているのは、不要なプライドを捨てることですね。組織の一員として、求められる責務を確実に遂行することを最優先し、そこから先の余力を、自身や同僚の労働環境の改善に充てることができれば理想的だと考えています」
インフラ整備の裏側で磨いた経験。長丁場のプロジェクトが成長の糧に
神山にとってこれまでに在籍した期間がもっとも長かったのは群馬県の館林合材工場です。そこで機械職として大きな成長につながる出来事がありました。
「破砕施設の大規模改修をすることになり、その許可申請を任されました。ふたつの主要な改修工事から構成され、工期が約4年に及ぶ大規模なプロジェクトです。
破砕施設は、道路が再舗装される際に、古いアスファルトを再生化する重要な役割を果たします。この過程で生成される再生材は、耐久性に優れさまざまな用途に使える上、リサイクル可能であることから、現代のインフラ整備において不可欠な素材となっています。
許可申請に当たっては、多くの関係者からの情報収集、行政機関との度重なる協議など、さまざまな調整が必要でした。また、技術的なスキルの向上も必要で、正確な図面作成のために工事部門のスタッフから指導を受けるなど、試行錯誤を重ねながら進めていきました」
改修工事の実施には行政機関からの許可が不可欠。ところが、着工直前になっても許可が下りない事態に神山は直面しました。
「書類の不備によるものではなく、私自身の対応の遅れが原因でした。着工日が刻一刻と迫る中、最終的に許可が下りたのは着工のわずか2日前。最後まで気が抜けませんでしたが、無事に改修を終えられたことは、私にとって非常に貴重な学びとなりました」
一方、館林合材工場ではこんな経験も。
「東北自動車道の維持補修プロジェクトにおいて、アスファルト合材の出荷責任者を務めました。これも5年という長期にわたる大規模なもので、高速道路の補修工事という性質上、交通量の少ない夜間に作業が集中します。当時、稼働できる人員が限られていたこともあり、身体的にも精神的にも非常に挑戦的な取り組みでした。
これら一連の経験を通じて、プロジェクトの管理能力や対外的な折衝能力が向上したと感じています」
自由と責任が育むキャリア。機械職の醍醐味をより多くのメンバーと共有できる職場に
拠点の中でも中軸としての役割を期待される神山。めざす組織像があります。
「これから入社してくる新しい世代のために、より働きやすい職場づくりをすることが私の目標です。とくに建設業界には保守的な側面がありますが、たとえば、自動化をはじめとする最新の技術や設備を積極的に導入することで、個人の技術差による品質のばらつきを最小限に抑え、より均質で高品質な成果を生み出せる環境を整備したいと思っています。
さらに、ワークライフバランスのさらなる充実も重要な課題です。適切な勤務時間の管理、休暇が取得しやすい仕組みづくりなど、従業員にとっての働きやすさを重視した取り組みを率先して推進したいと考えています。現状には満足していますが、より効率的で働きがいのある職場にしていきたいですね」
そんな神山が考える、機械職の醍醐味とは。そしてその機械職にふさわしい人材像とは。自身のこれまでの経験を踏まえながら、前田道路の次世代を担う未来の仲間に向けて、次のように語りかけます。
「機械職の最大の魅力は、その多様性と自由度の高さです。個人の工夫や独自のアプローチが全面的に許されていますし、若手のうちから重要なプロジェクトを任せられる機会が非常に多いと感じます。自ら計画を立案、実行し、その改善の成果が目に見えるかたちで表れることは、この職種ならではの大きな醍醐味だと考えています。
また、個人のペースが尊重される点も機械職の特徴です。せっかちな性格の方でも、慎重に作業を進める方でも、それぞれの特性を活かしながら取り組むことができます。周囲の影響を受けることが少ないので、着実に作業を進めたい方に適した仕事だと思います。
私自身、以前は短気な面があったと自覚しているのですが、年次を重ねるにつれて、より柔軟で大らかな働き方ができるようになりました。年齢や経験に応じて柔軟に仕事との向き合い方を調整できる点も、この職種の大きな魅力だと感じています。
デスクワークだけでなく屋外での現場作業にも携わりたい方と一緒に働けることを楽しみにしています」
※ 記載内容は2024年7月時点のものです
