三者三様のバックグラウンド。それぞれが今、組織の一員として担う役割
株式会社CCイノベーションのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)部で働く久保出 薫乃、株式会社北國銀行オペレーション部オペレーションセンターで働く南 憲治と井原 悠輝。異なる背景を持つ3名ですが、今に至るまでにどのような経験をし、現在はどのような仕事に取り組んでいるのでしょうか。
南は、オペレーションセンターで、北國銀行の窓口で収納するトータルコレクションサービスの統括業務、財形業務、センター内の経費事務などを担当し、組織の運営を支えています。
南:私は生まれつき脳性小児麻痺となり、幼少期はずっと歩くことができず、当時は障がいのある子どもたちが通う施設で、治療と機能訓練に専念する日々を送りました。長い訓練の結果、若い頃は杖を使わずに歩けるまで回復した時期もありましたが、現在は杖を使用して生活しています。
こうした状態で入社した当時は、「温かく迎え入れてもらえるだろうか」という強い不安がありました。しかし実際に入社してみると、皆さんが本当に温かく、右も左もわからない新人の私に親切に教え、サポートしてくれました。そのおかげで今日まで働くことができ、本当に感謝しています。
BPO部でお客さまの会計業務を担当している久保出。お客さまが少しでも安心して会計を任せられるように、正確さと丁寧さを大切にしながら、日々仕事に向き合っています。
久保出:もともとは病院で理学療法士として働いていましたが、3年前にうつ病と診断され退職しました。当時は心身ともに余裕がなく、半年ほどは家から一歩も出られない状況でした。食事や入浴など、当たり前のことが思うようにできず、布団の中で「自分は世の中に必要とされていないのかもしれない」と感じていた時期もありました。
その後、就労移行支援事業所などを経て少しずつ生活を整え、2024年9月に入社しました。今こうして働けていることは、私にとってとてもかけがえのないことだと感じています。
オペレーションセンターでカード加盟店チームに所属する井原。主に自治体の入金通知書の作成などを行っています。
井原:私の障がいは、「二分脊椎」という先天性の病気です。生まれて数日以内に手術をしなければ助からない状態で生まれ、すぐに手術をして現在に至ります。普段は車椅子を利用して仕事をしています。自分にとっては28年間、この身体が日常なので、働けていることを当たり前に感じてしまう時も少なくありません。
ただ、周りの方々からは「ここまで成長できたことが奇跡だ」とよく言われます。 そう言われるたびに、今こうして働けている環境にありがたさを感じています。
日々の業務に込める工夫。チームメンバーやお客さまを通じて感じるやりがい
背景の異なる3名は、どのように仕事と向き合い、何に喜びを感じているのでしょうか。井原が重視するのは、自身の得意分野を活かした「業務の効率化と標準化」です。
井原:私はExcelが得意なのですが、チームには苦手なメンバーもいます。そこで、Excelが苦手な方でも作業ができるようなマニュアルを作成し、誰でも同じように作業ができるよう工夫しています。
こうした取り組みを通じて、自分の得意分野が仕事に活きることはもちろん、私のサポートによって相手のできることが増えたり、助けになったりすることが、私にとって大きなやりがいになっています。
久保出は、自身の経験を通して「感情と丁寧に付き合うこと」を大切にしています。
久保出:仕事をしていると、驚きや不安、焦りなどいろいろな感情が湧いてきます。自分の中に湧きあがった感情に対して無理に蓋をせず、「今、私はこんな気持ちなんだな」と、まずはそのままの感情を受け止めるようにしています。
その上で、「上司や先輩ならどう考えるかな」「どう声をかけるかな」とお手本になる人を思い浮かべながら、少しずつ真似をしています。自分の気持ちを自分で整理し、落ち着かせることで、チームやお客さまにやわらかな雰囲気が伝わればいいなと思っています。
そんな日々の積み重ねの中で 、お客さまやチームの皆さんから「ありがとう」と言っていただけることは、とても励みになります。また、以前は日常を送ることさえ難しかった自分が、今こうして仕事を通して人と関われていること自体が、何より嬉しいことだと思っています。
南は、営業店の後方支援だけでなく、時には直接お客さまと接することもあるからこそ、常に「相手の立場」に立ち、優しく丁寧な対応を大切にしています。
南:私たちの部署は、基本的には営業店の社員からの問い合わせ対応が中心ですが、案件によっては直接お客さまと電話でお話しすることもあります。 社員からの問い合わせであっても、その向こうには必ずお待たせしているお客さまがいらっしゃいます。ですから、直接お話しする場合もそうでない場合も、いかに速く、わかりやすく伝えられるかを常に考えています。
丁寧な対応を心がける中で、とくに嬉しかった出来事があります。過去に、複雑なご相談に対して時間をかけて対応・直接ご案内をした際、後日お客さまから「ありがとう」とお褒めの言葉をいただいたことがあるんです。その時、自分の対応は間違いではなかったと確信でき、本当に嬉しかったですね。
働く中で見つけた考え方と職場の魅力。それぞれが手にした前向きな変化
それぞれのキャリアの中で、仕事観や働き方はどのように変化してきたのでしょうか。44年という長いキャリアの中で、南の価値観も大きく変化しました。
南:若い頃は「自分一人でやらなければ」と肩肘を張っていた時期もありました。しかし、年齢を重ねるにつれ、人は一人では仕事ができないし、それは障がいの有無に関わらず同じなのだと気づきました。今では、できない時は素直にサポートを求められるようになりました。これが、これまでで一番変わった意識の変化です。
井原は、見えない障がいゆえの葛藤を乗り越え、考え方を変化させたことで、仕事への集中力が高まったと言います。
井原:私の場合、足が不自由で車椅子を使用しているため、その点については周囲の皆さんに理解してもらえていると思います。しかし、体の内側にも障がいがあり、その影響で業務に支障をきたすこともあります。
こうした見えない障がいについて、仕事をする上で話した方が良いと考えたこともありました。しかし、私自身、説明が得意ではないため、うまく伝わらないと感じることがこれまで多々ありました。そこで気づいたのが、「無理に伝えようとしない」という選択です。そうすることで、伝わらないことによるもどかしさを感じることなく、業務に集中できるようになりました。
久保出の視線は、「今」から「未来」へと変化しました。
久保出:入社したばかりの頃は「今日を無事に終えること」で精一杯でした。でも、最近は「こんな人になれたらいいな」「こんなことを学んでみたいな」と少し先の自分を思い描けるようになってきました。それは、尊敬できる上司や仲間に囲まれて働けているからだと思っています。
個人の変化を支える土壌として、3人は現在の会社やチームの空気感をどう感じているのでしょうか。久保出にとっては、今のチームは安心して過ごせる場所でもある、と言います。
久保出:「今日大丈夫?」「無理してない?」とさりげなく声をかけてもらうことがよくあります。そうしたひと言に、日々支えられているなと感じています。お互いに感謝を伝え合う雰囲気があって、視野が広く、視座が高いメンバーなのも、このチームの好きなところであり、私の自慢です。安心できる空気があるからこそ、自分のペースで働けているのだと思います。
井原は、「フラットな環境」を魅力として挙げます。
井原:今の部署には私だけでなく、障がいのある社員が多く働いています。障がいのある方々と一緒に働くということが日常の風景になっているため、自然に溶け込めるフラットな環境が心地よいです。
南は、44年間の「変化」そのものへの感謝を語ります。
南:44年前と比べると、社会や会社の障がいのある方への理解は劇的に進みました。手すりなどの設備も意見を取り入れて整えてくれますし、街中でも会社でも、サポートしてもらうことが増えました。これだけ長く、区別なく良いポジションで働き続けられていることに、感謝しかありません。
それぞれの場所で描く未来と、届けたい想い
働く中でさまざまな想いを抱いてきた3人。それぞれ今後の展望を次のように語ります。
南:入社当時と比べて一人ひとりが担う業務範囲が広がってきましたが、それは今後も続いていくはずです。だからこそ、私のキャリアの残りの時間で、後輩たちが困らないよう、誰でも業務ができる全体最適な仕組みやわかりやすいマニュアルを残したいと考えています。
井原:現在の部署だけでなく、得意なExcelスキルを活かして、他の事務領域にも挑戦していきたいです。自分の強みを活かして、キャリアの可能性を広げていけたらと考えています。
久保出:目標は、チームの中で「安心感のある人」になることです。場の雰囲気が和らいだり、ほっとできたりするような存在になれたらいいなと思っています。それから「育てる人」にもなりたい気持ちがあります。誰かを引っ張るというより、一緒に考えたり、横で伴走したりするような関わりができる人をめざしています。
そのためには、まず自分を育てることからだと思い、今は少しずつ簿記の勉強に取り組んでいます。お客さまから安心して仕事をまかせていただけるよう、できることを一つずつ増やしていきたいです。
最後に、3人にはどんな伝えたい思いがあるのでしょうか。久保出は、自身の経験を通じて「生きる」ことへの想いを語ります。
久保出:私は成功者でも、特別な人でもありません。ただ、日常を一度失って、その大切さを知った一人の人間です。人生には、うまくいかないことやもう無理かもしれないと感じる瞬間もあると思います。
それでも、人生は続いていきます。特別な何者かになれなくても、自分の人生を自分の歩幅で歩んでいけたら、幸せなんだろうなと思っています 。この文章を手に取った方が、少しでも自分のことを大切にしてみようかなと思っていただけたら嬉しいです。
井原は、今感じる切実な願いを言葉にしました。
井原:日頃から、さまざまな配慮をしてもらいながら働けていることに、心から感謝しています。もしかすると、なぜそのような配慮が必要なのか、イメージしにくい方もいらっしゃるかもしれません。
私自身、お願いする側として心苦しく感じることもありますが、していただいている配慮は決して「特別扱い」を求めているものではなく、私たちが働く上で必要な“土台”のようなものとして受け止めてもらえるとありがたいです。
サポートが必要な場面もありますが、目に見えない事情も含めて、一緒に働く仲間として、これまで通り自然に接してもらえたら嬉しいです。
南は、44年の経験を振り返り、新たな仲間へ呼びかけます。
南:talentbookで発信する機会を設けてもらい、ありがとうございます。皆さんに助けてもらいながら、現在まで長く働き続けることができました。感謝しかありません。
オペレーションセンターには、私たち以外にも障がいのある方が働いていますが、障がいの程度や育ってきた環境も違います。同じ会社で働く皆さんの考え方や想いをお聴きできたことは、たいへん貴重な時間となりました。
CCIグループで働いている皆さんの中には、障がいのある方と一緒に働いている方、接する機会のある方もいると思います。この企画を通して、私たちの想いをお伝えできることをありがたく思いますし、さらに理解を深めてもらうきっかけになったとしたら、嬉しく思います。
三者三様の背景を持ちながらも、それぞれの場所で輝く南、久保出、井原の姿は、働く喜びと、互いを尊重し合う組織の強さを静かに物語っています。
※ 記載内容は2025年12月時点のものです
