何かを「やりたい」人に寄り添い、挑み続けた20年──経理財務でのキャリアの原点と系譜
福井のキャリアの出発点は、2005年に新卒で入社した日立の工場。そこから20年以上にわたり、一貫して経理財務の領域で専門性を磨き続けてきました。
「最初の工場勤務では、原価計算をはじめ経理財務の基礎を徹底的に叩き込まれ、今でも私の原点となっています。とくに印象深かったのは入社3〜4年目に経験した、企業の資源を一元管理するシステムへの移行プロジェクトです。経理だけでなく工場全体のシステムを刷新し、2つの生産ラインを1つに統合するという大規模なものでした。
当時、専門性の高い上司や先輩たちが他部署と綿密に連携し、複雑な課題をクリアしていく姿を見て、『この会社には、優秀な先輩たちがたくさんいるのだな』と圧倒されたことをよく覚えています」
その後、2010年からは米国シリコンバレーのグループ会社に出向し、4年間ファイナンスマネージャーを務めた福井。そこで、最先端のビジネスと優秀な人財に囲まれて受けた刺激が、キャリアを大きく動かすことになります。
「シリコンバレーで多様なプロフェッショナルと働く中で、自分の可能性をもっと違う環境で試してみたいという想いが強くなりました。そこで、一人ひとりの裁量や影響力が大きい組織でチャレンジしたいと考え、2014年に日立よりも規模の小さなSIerへ転職したのです。
転職先では本社財務部門にて、管理会計や子会社の設立プロジェクトなど、多岐にわたる業務に携わりました。また、オーストラリアへの駐在時には、M&A前のデューディリジェンスやその後の組織統合プロセスまでを一貫して担当しました。大企業では担当領域が限定されることも多い中、幅広い経験を積むことができ、大きな手応えを得ました」
その後、シリコンバレー発のベンチャーキャピタルにコントローラーとして参画し、半年後にはCFOに就任して財務責任者を任されるに至った福井。長年にわたって経理・財務のキャリアを歩んできた中で仕事の醍醐味として挙げるのは、数字の先にある人の想いに携われることだと言います。
「とくに、新たな挑戦に踏み出す人の想いや熱意に寄り添い、それを数字の面から支えて実現していく。お金というリソースを使って人々の想いを具現化していくことこそが、財務部門の仕事としての大きなやりがいです。何かに挑戦する人と一緒に物事に取り組みたいというのが、自分の中の軸としてあるんだと思います」
外に出たからこそ痛感した価値。元上司との縁がつないだ、マネジメント層での再入社
ベンチャー企業でCFOとして大きな裁量と責任を持ち、充実した日々を送る一方で、福井の心の中には新たな課題感が芽生え始めていました。
「ベンチャー企業では事業拡大に伴い体制構築を進めていたのですが、急成長する組織においてCFOとして自分に足りないものが明確になりました。それは、不足している人財やリソースを外部から引っ張ってくるような、真のマネジメント力です。人員や体制の強化と仕組みづくりを並行して進める中で、自身の力不足を痛感し、こうした高度なノウハウをもう一度体系的に学び直したい、実力をつけたいと強く思うようになりました。
そんな時、米国駐在時代にともに苦楽を共にした元上司との継続的な関わりの中で、新たな挑戦の機会を得ました。やめた後も気にかけて連絡を取り合っていた信頼できる方でした。43歳という年齢を考えれば、大手企業への転職はこれが最後のチャンスかもしれないという想いもありましたが、信頼関係がすでにあり、 パフォーマンスを発揮しやすい日立に戻ることを決断しました」
日立への再入社するにあたって、懸念はなかったと福井は振り返ります。
「日立には、一度外に出た経験を貴重な価値として捉えてくれる温かい風土があります。私のように課長・マネジメント層として再入社する場合でも、周囲のサポートは手厚く、すぐになじむことができました。
現在は本社財務部で、CFOやDeputy CFO(財務部門副責任者)の下、連結全体の業績管理を担うチームの中で、本社各部門の投資案件の評価・予算配分および経営意思決定支援、戦略投資管理などを担当しています。足元では、全社的なAI推進プロジェクトなど、経営判断に直結する最前線の業務に携わっています。
また、日立グループ全体の財務部門を横断して全体最適をめざす『Hitachi One Finance』プロジェクトにも参画しています。スイスにいるグローバルリーダーと密に連携しながら、世界中のグループ会社が参加する隔週のワーキンググループの活動に参画し、グローバルな組織統合を協議して進めています」
日本にいながら世界とつながる。歴史ある大企業が本気で推進するグローバルな変革
福井が再入社後にあらためて目を見張ったのは、日立が持つグローバル企業としての圧倒的な規模感と、蓄積された仕組みの完成度でした。
「日立を離れたからこそ、その価値の大きさをあらためて実感しました。例えば、日立は世界に約600社以上のグループ会社を抱え、連結売上高は10兆円規模に上ります。これほど複雑で巨大な組織でありながら、決算期にはわずか30日以内に連結決算をまとめ、情報開示まで行っています。これは他社から見れば驚異的なスピードです。
ベンチャー時代に自分自身の手でルールやシステムを構築しようと身を削ったからこそ、100年以上の歴史の中で先人たちが苦労を重ねて作り上げてきた規則や業務の適正性を確保するための社内体制が、いかに洗練された仕組みであるかが理解できました。以前は当たり前だと思っていた規則や日々のオペレーションの一つひとつが、今ではすべて輝いて見えます」
さらに、かつての新卒時代と比べ、日立のグローバル変革への本気度が一段と高まっていることを福井は実感しています。
「環境面での変化は劇的です。現在の海外売上高比率は6割を超えており、本社勤務であっても、日本にいながら外国籍のメンバーと議論を交わすのは日常茶飯事です。複数の部門のトップも外国籍の役員が務めていますし、先日は私自身もHitachi One Financeの活動の一環としてイタリア・ナポリを訪れ、現地で開催されたワークショップに参画するなど、グローバルな財務変革の取り組みに携わっています。
経営陣も本気で『悪い部分は変えよう』と変革を推進しており、その最前線で動くプロジェクトに携われるのは非常に刺激的です。一人のプロフェッショナルとして、超一流の経営層のリーダーシップや意思決定のプロセスを間近で見ながら学べる環境は、他では絶対に得られない贅沢な成長機会だと実感しています」
挑戦と育成の風土が整う場所で、枠にとらわれない「ハブ」として貢献していく
外の世界を経験し、自らの課題を見据えて日立に帰ってきた福井は今、組織への恩返しと自らの新たなキャリア像を明確に描き始めています。
「40代のうちは、この日立というフィールドで徹底的に学び、自らをアップデートしながら会社に貢献したいと考えています。私ならではの強みは、海外での経験や、社外や他業界とのつながりです。日立のような歴史ある大企業は、ともすれば従来通りのプロフェッショナルファームや大手パートナーに依存しがちですが、現代は高い専門性や機動力を持つフリーランスやスタートアップなど、多様なリソースを組み合わせながら事業を推進できる時代です。
これまで日立がリーチしてこなかったような社外の知見や力を積極的に取り入れ、企業全体としての組織的な能力や強みを向上させていく。AIなど最先端の情報がどんどん入ってきて、それを動かさなければいけないのは大変ですが、新しい環境や考え方に触れることを楽しめる性格なので、多様な選択肢が広がる今の時代をとても刺激的に感じています。日立と外の世界とを結ぶ『ハブ』のような存在になることが、私の描く今後の展望です」
最後に、どのような人財に日立の門を叩いてほしいか、福井は採用候補者へ向けて力強いメッセージを送ってくれました。
「本当に多様なバックグラウンドを持つ人たちに挑戦してほしいと思っています。日立は特定の人財しか活躍できないような閉じた会社ではありません。私のように一度外へ出た人間も温かく迎え入れ、多様なキャリアパスを許容してくれる圧倒的な『懐の深さ』があります。
そして何より、日立は『人を育てる能力』がきわめて高く、やりたいことができる組織です。どんな状態からスタートしても、手をあげれば大きな裁量と機会が与えられ、周囲の優秀な仲間たちが徹底的にサポートして成長させてくれます。私自身、現在進行形で多くの学びを得ています」
経理財務のプロフェッショナルとして圧倒的に成長したい。そして、グローバルな変革の当事者として日本から世界を動かしてみたい──そんな熱い想いを持った人財と共に働ける日を楽しみに、今日も福井は変革への挑戦を続けます。
※ 記載内容は2026年7月時点のものです
