自然言語処理研究から防衛分野の最前線へ。責任とともにあるやりがい
三浦のキャリアの原点は、大学院での研究生活にあります。情報系を専攻し、自然言語処理の分野に没頭していました。
「AIが注目され始めた時期で、自動文章生成などへの興味から、短い文章同士の類似度を測る研究に取り組んでいました。自分が作ったアプリケーションが実際に動き、結果が出るのを見るのが何より楽しくて。そのためには、裏側のシステムをしっかり構築しなければならないという想いが原動力でした」
就職活動では「研究内容を生かせること」に加え、「日本のメーカーであること」「社会基盤を支えるインフラ系や官公庁向けの仕事」を軸に企業を探しました。
「自身を通してイメージしやすい個人向けの製品やサービスよりも、あえて未知の世界である公共性の高い分野に挑戦したいと思ったんです。日立は、リクルーターや就活イベントを通じて多くの社員と接する機会がありました。学生一人ひとりの専門性を尊重し、自分にマッチする部門や会社をともに考えてくれる姿勢に惹かれたことを覚えています。
当初、防衛分野はあまり意識していませんでしたが、自身の研究が生かせる場があること、そして落ち着いて仕事に取り組める環境が私の性格に合っていると感じ、選考を受けました。
ただ、石橋を叩いて渡る慎重派なこともあり、実際に内定が出た時には特殊な分野でやっていけるのか不安が湧いてきて。研究室の恩師に相談したところ、『おもしろそうな分野だし、良いと思うよ。挑戦してみたら?』と背中を押してもらい、新たな世界へ踏み出す決心がつきました」
こうして2016年に新卒入社した三浦。現在は防衛省向けシステムの提案から保守までを一貫して担っています。
「扱う技術は、民間のシステムと大きく変わりません。しかし、情報の機密性はきわめて高く、データの取り扱いには常に緊張感が漂っています。一歩間違えれば大きな影響を及ぼす分野だからこそ、チームとして品質保証を徹底しています。機密保持と品質、この2つが私たちが背負うべき重要なミッションです」
プレゼンでの悔しさをバネに。場数を踏み生まれた自信とお客さまとの信頼関係
三浦の希望が叶い、入社後の2年間は、学生時代の知見を地続きで生かせる言語処理関連の自社アプリケーション開発チームに所属することになりました。
「テキスト情報を分析してさまざまな情報を抽出する技術の開発に携わりました。学生時代の研究は個人作業でしたが、仕事ではどんな課題に対してもチームで考え抜きます。コードの書き方ひとつにも厳格なルールがあることに、当初は驚きましたね。これはすべてお客さまに納めるものとして品質を担保するため。複数人で開発する重要性や責任の重さを身をもって学びました」
開発の基礎を固めた三浦は、3年目からお客さまと直接やり取りするプロジェクトマネジメントの道へ進みます。
「1~2年目の頃から、先輩についてお客さま先に行く機会がありました。自ら手がけたソフトウェアについて説明し、完成後の活用まで見届けられる様子を間近で見て、提案活動に魅力を感じたんです。先輩が率いるプロジェクトにサブリーダーとして入り、納品までの実務の流れを学んでいきました。
もともと引っ込み思案な性格で、当初はお客さまと話すだけでとても緊張していましたが、それでは仕事は回りません。『少し無理をしてでもしっかり自分の意見を伝えよう』と、上司の振る舞い方に学びながら、意識的に自分を変えていきました」
三浦にとって、今でも忘れられない光景があります。
「長期プロジェクトに参加して3年目の頃、定期報告プレゼンを私が担当することになりました。上司から『私や部長が同席してサポートできる今のうちに、経験を積んでおくといいよ』と背中を押されたんです。相手は、約30人にわたる国防を担う立場のお客さま。緊張感漂う空気の中、私は資料に書いてあることを喋るのが精いっぱいで、お客さまの視線は後ろに控える上司のほうに向いていました。自分はただのスピーカーで、信頼を得られていないんだと痛感しましたね。
しかし、その悔しさをバネに何度も場数を踏んだことで、しだいに自分の頭で考えながら話せるように。今ではお客さまの方から直接相談してくださるようになりました」
他の省庁の案件も担当しながら経験を重ね、2021年からはプロジェクトリーダーを任されるようになりました。
「以前は『ミスは絶対に許されない』と考えすぎて、自分を追い詰めてしまうこともありました。しかし今は、できることに全力を尽くした上で、『万が一の時は周囲の力を借りればいい』と良い意味で割り切れるようになり、心に余裕が生まれました。長く同じ案件に携わってきたことで、お客さまが重視されるポイントも分かるようになり、大きく成長できたと感じます」
制約下で最適解を形にする。国防を支えるやりがいと多様性で変わる新たな風土
ディフェンスシステム事業という特殊な領域ならではのやりがいを、三浦は独自の視点で捉えています。
「機密性がきわめて高い制約下で要件定義を行い設計する難しさは常にありますが、どうヒアリングすべきか細心の注意を払い、限られた情報から最適解を形にしていく過程は非常に刺激的です。苦労の末に無事納品し、自衛隊の方々が実際にシステムを操作している姿を目の当たりにした時は、国防という重要なシーンで大きな役割をやり遂げたのだと実感できました。
また、提案から納品、そして保守まで一貫して自社で責任を持つのが私たちの事業部の特徴でもあります。若手のうちから、日立が手がけるシステムの全工程を経験できることは大きな強みになると考えています」
日本の安全保障を支えるという重責を担い続ける一方で、組織のあり方は、三浦の入社当時から大きく変化していると語ります。
「ここ数年はキャリア採用で入社したメンバーが非常に多く、新卒入社の社員と変わらず活躍しています。他社でキャリアを積んできた皆さんのこれまでの経験や仕事のやり方を聞くのは楽しく、勉強になります。上司も彼らの話に熱心に耳を傾け、部署のやり方を改善していこうとする風通しの良い雰囲気があります。
私も入社前は『防衛』という言葉の響きから組織に対して厳格なイメージを持っていましたが、実際に入ってみると驚くほど柔軟でした。キャリア採用で入社した皆さんも同じ意見で、想像以上に馴染みやすい職場だと思います」
この柔軟さは、若手の裁量権や個人の働き方など、日立全体の魅力でもあります。
「プロジェクトの進め方は、自分の考えに委ねられていると感じます。若手のうちから主体的に意見を述べることが歓迎され、評価される雰囲気が根付いているんですよね。
私自身、今年チームに加わった新人の指導を担当していますが、上司からの助言もあり、あまり細かく指示しすぎず、信じて任せるよう心がけています。ただ、依頼した仕事は最後は自分が責任をもって確認するようにしています。
また、業務フェーズに合わせて在宅勤務を柔軟に組み合わせられる点も魅力です。もちろん開発など根幹に関わる業務は、セキュリティ担保のためオフィスで行いますが、軽微な作業は在宅で行うことが可能です。納品前の時期でなければ、週1~2回程度の出社で円滑に業務が回り、場所を問わず効率的に働けています」
粘り強さと協調性で未来を守る。分野を超え日立の知見を結集させ、より良い提案を
この先、三浦がめざすのは、確かな信頼と知見でさらなる品質を提供できるプロフェッショナルです。
「お客さまからもチームからも『相談しやすい人財』をめざしたいです。気軽になんでも言い合える雰囲気があれば、公式なヒアリングの場では出てこないようなお客さまの本音を拾えます。万が一社内でトラブルが起きた場合も、言い出しにくいと抱え込むことなく早期に報告してもらえます。リスクを早く察知して処置できることは、品質を維持する上での大きなメリットだと考えています。
また、日立は大規模な組織ゆえに、社内に多様な知見が蓄積されており、そこには類似のシステムや技術も存在します。それらに横串を刺し、分野を超えて活用できるよう整え、取捨選択したノウハウをもとにお客さまに最適な提案をしていきたいと考えています。生成AIなどの先端技術も、制約の多い防衛分野にどう取り入れられるか、数年後まで見据えて考えていきたいですね」
こうした挑戦の基盤になっているのは日立の環境の良さだと、あらためて語る三浦。
「私が入社した当時、女性は同期に1人いるかいないかでしたが、最近はキャリア採用での入社を含め、女性社員が大幅に増えています。キャリアプランを話し合うワークショップでお子さんがいる人の働き方を聞ける機会もあり心強いです。ただ私自身、仕事をする上であまり性別を意識したことがなくて。それほどフラットな環境ということが魅力の1つではないでしょうか。
そのような環境下で仕事に打ち込めることは、私が日立で働き続けている理由でもあります。会社としての安定感や、適度な距離感を保ちつつ何かあった時には全力で助けてくれるという周囲への信頼感があるからこそ、目の前の仕事に集中できるんです」
最後に、未来の仲間に向けて三浦は穏やかに、そして確かな口調でエールを送ります。
「自分の意見をしっかり言えることが、仕事の進めやすさに直結します。機密性と品質が求められる防衛事業では、壁にぶつかっても『他にどういうやり方があるだろう?』と最後まで諦めない粘り強さも欠かせません。また、チームワークが肝になるので、協調性を持って人の意見を聞けることも大切です。
最初は不安でも、上司など周囲の仕事ぶりを見て学び、成功体験を積み重ねることで自信がついてきます。そのサイクルを楽しみながら、より良いシステムを追求できる方と共に働ける日を心待ちにしています」
※ 記載内容は2026年3月時点のものです
