富士通との出会いと、社内での挑戦
2020年現在、私は富士通グループの事業部門とスタートアップをマッチングし、新しいソリューションの開発・提供につなげる「FUJITSU ACCELERATOR」の代表を務めています。
私は大学時代に、機械システム工学科に在籍していました。そこで、飛行機の空気力学シミュレーションや材料強度計算などについて勉強していました。その後、大学院では光ファイバーをはじめとした光関係の研究をして過ごします。
2000年ごろの就職活動は一般的に研究室からの推薦が多かったのですが、富士通ではちょうど自由応募が始まったタイミングでもありました。友人が富士通に応募していたのを見て、私もエントリーしたことがきっかけで入社に至ります。そのころからスタートアップで働くことに興味を持っており、実際にスタートアップからも内定が出たのですが、周囲からの反対もあり富士通に入社しました。
入社後は、これまでの研究の知識を生かせる光ファイバーを使った通信装置を開発する部署に配属となります。そこがネットワークエンジニアとしてのキャリアの始まりです。入社当時、とくに北米通信分野は絶頂期を迎えていましたが、2001年ごろにITバブルが弾け、市場が一気に4分の1にまで縮小するような状況になってしまいました。
2002年ごろに富士通社内でも積極的な再配置が行われる中で、私は企画職に異動することになります。私自身、技術者からスタートし、ゆくゆくは事業開発のキャリアを積みたいと思っており、新しいことを立ち上げてチャレンジしたい気持ちから異動しました。企画部では優秀な人たちと一緒に働く機会を得られ、サーバやストレージなどのプロダクトの企画にも関わっていくようになり、富士通の戦略企画に携わるようになります。
その後、2006年〜2007年ごろは「クラウド」という言葉が一般化していませんでしたが、コンピュータリソースやサービスをネットワーク越しに使うコンセプトが出始めました。富士通もクラウドビジネスに参入するという方針のもと、私はクラウドビジネスの立ち上げに関わりました。
新たなビジネス創出への挑戦
これまで富士通でのキャリアでビジネスモデルの変革や、ゼロから新しい事業をつくり、それを10や100まで広げていく経験をできたことは貴重でした。
クラウドビジネスに関わっていて感じたことは、ビジネスモデル変革を目指したエコシステムの重要性です。1社だけでは実現できない事業も、クラウドをプラットフォームの基盤としたエコシステムをつくりあげ、技術を結集することで実現できます。
そういったことを考えているときに、周囲にも同じ価値観を持ったメンバーが数名いました。そこでオープンイノベーション、エコシステムをキーワードとした新規ビジネス創出ワーキンググループが立ち上がったのが、2012年ごろでした。
スタートアップとの協業は新しいビジネスを生み出す手段のひとつです。それだけでなく、社内イントレプレナーを育てるしくみづくりや他のパートナーと新しいビジネスづくりにチャレンジするなど、さまざまな検証をしていきました。その中のひとつが「FUJITSU ACCELERATOR」です。
前任者の徳永 奈緒美とは「FUJITSU ACCELERATOR」立ち上げ前から議論を続けていました。「FUJITSU ACCELERATOR」が立ち上がった2015年、私は事業部門の立場でスタートアップとの協業検討を推進する立場で関わっていました。
そこから数年たち、10年以上関わり続けたクラウドビジネスを自分自身の中でひと区切りつけ、「FUJITSU ACCELERATOR」に戻り、同時に協業を後方支援する立場でチャレンジしようという決断をします。そこで、代表を引き継ぐ形となったのです。
代表としてチームのため、会社のためにできること
代表になってからは、一番の課題であった社内の巻きこみ強化に着手しました。
社内の事業責任者を回り、丁寧にこのプログラムについて説明していき、2019年に新社長に就任した時田 隆仁にも内容を伝えました。その結果、2020年2月10日に開催した第8期ピッチコンテストに、富士通の社長として来てもらうこともできたのです。社内関係者一人ひとりに理解を得ていくことで活動を拡大してきました。
その際に注意していたのは、私たちは事務局であり目立ちすぎることも良くないということ。あくまで主役は事業部門の協業推進メンバー。その人たちがスタートアップと対等に関わってビジネスをつくる環境を整えることが重要だと考えていました。
また、協業だけでなくスタートアップへ出資をすることも含めてやっていく必要があります。有機的な協業活動をどのようにすればいいか、また、どのような組織として活動することが理想的なのかも、社内で侃々諤々議論をしています。
そこにこぎ着けるまでかなり苦労がありました。スタートアップや自社にも新しい価値を提供しながら、関わるメンバーにも意識変革が求められており、これまで在籍していた事業部側の視点も役立っています。事業部にいたからこそ、事業部の気持ちもわかるので、チームメンバーにも粘り強く関係者と調整することを求めています。
今までこのプログラムが築いてきたものを踏襲しながら、さまざまな改善・改革に着手しています。代表として事務局のチーム全体をリードし、人員強化も積極的に行っています。チーム内だけでなく、会社内での関係性の再構築にも取り組んでいます。また、最近では新しく海外との取り組みにもチャレンジし始めています。
答えのないところを目指して──新たな価値提供への挑戦
まずは、「FUJITSU ACCELERATOR」のチームとして新たなチャレンジや出資などで新しい価値をつくり上げていきたいと考えています。そうすることで、このプログラムの見せ方・見られ方も変わってきます。これまでにない価値提供をできるチーム・プログラムにしていかなくてはいけません。
そしてグローバル化についても取り組みを進めています。ガバナンスを考えると、地域によってマネジメントの仕方は変わってきますが、現時点での「FUJITSU ACCELERATOR」チームとしては、日本+アジアでプレゼンスを発揮していきたいです。
グローバル化に向けてはチームメンバーの強化を進めるなど積極的に動き出しています。事務局メンバーにも、プロモーション強化や出資の観点でプログラムの強化に向けて日々勉強をしてもらっています。
私は少し飽きっぽい性格なのかもしれないですが、新しいことをやっていくことはワクワクする瞬間ですし、仕事の原動力になっていると思います。この仕事でなくても当てはまると思いますが、答えのないところを突き進んでいくことが好きですね。「まだ専門家のいない、確立されていないところをやりたい」という気持ちを持っています。
私自身だけでなく、チームメンバーにも仕事を通して貢献していきたいですね。自分たちがやりがいを感じられる仕事に取り組み、そしてプロジェクトを成功させて各自が達成感を得られる。そういった仕事にしたいです。
日々の業務の中での苦労はもちろんありますが、「終わり良ければすべてよし」。最後に全員が笑顔になれれば良いと思っています。
代表として、チームメンバーに明るい未来を届けられるよう、これからも挑戦を続けていきます。

