お客様が抱える課題に共感し、支援するビジネスプロデューサー

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▲ビジネスプロデューサーとして、お客様のDXに取り組む木下

2022年3月現在、Mobility事業本部 第一システム事業部でシニアマネージャーを務める木下。2021年には、アジャイル・DXビジネスの拡大を目指し、ビジネスプロデューサーとSEが同じチームに属する「製販一体」の組織を立ち上げました。

木下 「私の部署では、主に大手自動車メーカーに向けてアジャイル・DX化を進めています。元々はビジネスプロデューサー部門・SE部門にわかれていましたが、『お客様のDXを推進する』という共通の目的を掲げ、現在は製販一体となって臨んでいます。この動きも富士通の変革の一部と言えますね」

ビジネスプロデューサーとして、激しい変化の渦中にある自動車メーカーの課題に向き合う木下。同じ大企業の変革活動には、共感する部分も多いと話します。

木下 「自動車業界はまさに、DXという変革の波にさらされ、社内の制度や仕組みを再構築しているフェーズにあります。私たち富士通にも言えることですが、縦割りや年功序列が残る日本の大手企業では、巨大組織にメスを入れるのがとても難しい。
まずは発注者/受注者の立場を超えて課題に共感し、変革のための手法やマインドセットをご提案しているところです」 

そんな木下は、フジトラが始動した当初からさまざまな関連プロジェクトに参画。そして現在、フジトラを支える「FUJITRA Crew(フジトラ クルー)」としての活動も開始。 そこには、自身が抱えていたある想いがありました。

木下 「私は富士通に入社して20年近くになりますが、その間、仕事を進める上で『どうしてこんなやり方をしないといけないのだろう?』と疑問を持つことがありました。でも、それを自ら発信したり改善したりするには至っていなかったんです。
フジトラのプロジェクトは、自ら参画を決め、新たな挑戦ができる貴重な機会。さまざまなプロジェクトがあるので、いろんな方の考えに触れ、共感できる環境でもあります。これまで、自分のなかで考えていたことを実現させたいという想いがあり、Crewとして活動しています」

変革に欠かせないパーパスの言語化──対話によって生まれる新たな気づき

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▲Purpose Carving の活動中の様子

フジトラがスタートして以来、複数のプロジェクトに参画してきた木下。なかでも力を入れているのが、社員一人ひとりのパーパスを彫り出す対話型プログラム「Purpose Carving(パーパス カーヴィング)」というワークショップをベースとした活動で、木下はメインファシリテーターを務めています。 

木下 「Purpose Carvingとは、対話を通して個人のパーパスを言語化する活動のこと。3人1組のグループを作り、それぞれが聞き手・話し手・メモを取る係を交代で務め、幼少期や学生時代、社会人になってからの話などをインタビューのように進めていきます。
そのなかで、話し手が大事にしている価値観や存在意義のようなもの=パーパスが見えてくる。自分のパーパスに気づくことはもちろん、一緒に働く仲間のパーパスを理解することで、より良い組織を作ることも可能です。
最近は同じチーム内でも、互いのバックボーンや価値観について話す機会が減ってきていると感じています。Purpose Carvingを通じてその人が好きなこと、得意なこと、大事にしているものなどを分かち合えれば、チームビルディングやキャリア形成にも役立つはずです」

また、Purpose Carvingの活動を社内にとどめず、お客様に対しても実践しているという木下。その反応や効果について、次のように語ります。

木下 「普段人には語らない価値観や内省的な話もするので、気恥ずかしさを感じるという方もいらっしゃいます。でも、そうした深い話をした後には、お客様との関係性が一歩前に進むような感覚がありますね。『富士通の木下とA社の○○さん』というお互いに看板を背負った状態から、より近しい個人対個人の付き合いに変わるというか。それは、今後も関わっていく中で、とても大切なことだと思っています」

変革を進めていく上で、パーパスを言語化していくことは欠かせないとしつつも、課題もあると木下は話します。 

木下 「今は機運が高まっている状態ですが、大事なのはこれを継続できるかどうか。どんなことでも、盛り上がりが大きいほど、早くに落ち着いてしまうところがあります。この活動をどうやって習慣化していくかが、今後の課題だと思っています」

Crewじゃなくても、日々の仕事のなかで小さな変革は起こせる

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▲FUJITSU Innovation Circuit の活動中の様子

木下がPurpose Carvingと並行して取り組んでいるのが、「FUJITSU Innovation Circuit(フジツウ イノベーション サーキット)」と呼ばれる新規事業創出プログラムのサポート役。

木下 「Innovation Circuitでの私の役割は、新規事業を立ち上げようとしているメンバーの支援。事業化を目指している案件についてアイデアを出したり、ユーザー目線からの意見を上げたり。自分自身が新規事業に挑戦するわけではないのですが、サポートする立場として、富士通にはチャレンジできる風土と支援体制がある、ということを根付かせていきたいと思っています」

FUJITRA Crewの活動は、いわば「社内兼業」。しかし木下は、普段の通常業務を本業、Crew活動を副業と捉えているわけではないと言います。

木下 「私は、プロジェクトに参加することだけが変革活動ではないと思っています。たとえば、普段の仕事のやり方を少し変えてみたり、組織横断的な関わり方を試してみたり……。そういう小さな試みも変革に含まれると思っているので、2つの仕事に垣根はないですね」

Crewであってもなくても、日々の仕事のなかで小さな変革は起こせる、と考える木下。ただし、これを全社的な大きな変革につなげるには、課題もあると感じています。

木下 「フジトラが目指すのは、あらゆる部門を横断した富士通グループ全体の変革、すなわち『全社DX』。一部の人たちだけが取り組むのではなく、関心の薄い人や反対する人もすべてを巻き込んでいく必要があります。そのために私たちCrewは、活動を続け、情報発信していくことが肝心だと思います」

「評価」は上がらなくても「評判」は上がる──Crew活動で得たもの

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▲仲間とともにフジトラに取り組む木下

FUJITRA Crewの一連の活動を通して、木下自身は2つの変化を実感しているといいます。

木下 「まず、フジトラを『自分事化』できてきたなと感じます。富士通がフジトラに取り組んでいることは社外でも比較的知られているので、その内容をお客様から聞かれることが多いんです。『全員参加』を標榜している以上、いち社員として自分の言葉で活動について語れることは、とても重要だと思っています」

もう1つは、「越境的なつながりが広がった」ことだという木下。

木下 「社内の部門を超えたつながり、組織・職能を超えたつながり、そして会社の枠を超えたつながりがかなり広がりました。そのおかげで、たとえば社内で新しい試みなどが始まるときに『木下さん、やってみない?』と誘ってもらえる機会がすごく増えましたね。
フジトラの活動が、直接的に昇給や昇進などわかりやすい『評価』につながるかはわかりませんが、周囲からの『評判』は確実に上がると思っていて。経験をどんな対価に代えていくかは自分次第ですが、フジトラに参加することは自分の経験値を高めることになり、ひいては市場価値の向上につながっていくはずです」

フジトラの取り組みが始まって約1年半。さまざまな場所でさまざまな人と対話してきた木下は、今後の活動に明るい兆しを見出しています。

木下 「各現場には、まだフジトラの活動に参加したことはないけど『業務や組織をこんな風に変えたい、良くしたい』という想いを持っている人がたくさんいます。そういう人たちが声を上げやすくするには、まずは私たちが『こんな活動やってるよ』と情報発信していくこと、そしてつながりを増やしていくことが重要なんだと思います。小さなことでもいいので、自分のアクションによってなにかが『変わる』という体験を積み重ねていくことが、組織全体の大きな変革につながっていくはずです」