切り拓く次世代の保全、TOPPANが提案する既存設備のスマート化
私たちは、建物や施設内にある機器・設備を対象としたデータ収集や分析を行う「施設DX」事業を展開しています。
私の主な業務は、施設DXプロダクトの一つである「e-Platch」のシステム開発とサービス運営、および取得したデータを分析して次世代プロダクトへ繋げるための試作開発の推進です。「e-Platch」は、排水処理場や電力設備等のユーティリティ設備を有する工場や倉庫の環境情報を無線通信「ZETA」を備えたセンサーを用いて自動収集・可視化するサービスです。
昨今SDGsが着目されている中、工場現場ではエネルギー利用状況や効率向上、資源の有効活用が求められています。しかし、現場では下記課題があります。
1)人手による巡回点検の負担が大きい。
2)既存設備のデジタル化に費用がかかる。
サービスを利用することで、日々工場や倉庫に設置されているメーターを巡回して、記録していた計測情報を一元管理できます。また後付けで、電力計等にセンサーを有線で接続し、計測情報を無線で送信できることや、アラート通知機能により異常を早期検知できるため保全活動の業務を軽減することが可能になります。
現在私はシステム開発と運用のリーダーを務めながら、データ分析の実施やグループメンバーへのアドバイスを行うことが私の重要な責務です。技術的な判断から進行管理まで、幅広い視点でグループ全体をマネジメントしています。仕事をする上で最も大切にしているのは、サービス利用者の視点です。「利用者が使いやすい画面や機能とは何か」を常に自問自答しながら開発に取り組んでいます。多種多様な業界に対してサービスを提案できるこの環境は、様々な価値観に触れることができる貴重な場だと感じています。
IoT開発との出会いで知った、ハードとソフトがつながる面白さ
IT業界での7年のキャリアのうち、約4年間は受託開発会社にて主にWebアプリケーション開発に従事してきました。
当時はエンジニアでありながらセールスエンジニアに近い立場で、お客さまとの要件定義、スケジュール調整、成果物の品質確認までを担当していました。
私のキャリアにおける大きな転換点となったのは、IoTを活用したシステム開発を担当した時のことです。それまで経験してきたWebサイトで完結するシステムとは異なり、ハードウェア(実機)と連携しアプリケーションからの制御を実現する必要がありました。このプロジェクトでは、検証機が自分たちとお客さまの拠点に1台ずつしかなく、また地理的にも離れていたためお客さま先へ直接訪問する機会が設けづらく、動作確認一つに多大な時間を要しました。
さらに、ファームウェアの書き換えは先方でしか行えないという制約があり、Webのようにコードを書き換えて即座に反映できる世界とは対照的な環境でした。画面デザインの調整よりも、ネットワーク遅延による予期せぬ挙動への対策や、Web・ハード間の通信要件を詳細に詰める泥臭い調整に多くの時間を割きました。しかし、この経験を通じてハードウェアとソフトウェアの両面を理解し、システムを組み上げていくプロセスに大きな楽しさを覚えるようになりました。
スマートスイッチや多彩なセンサーがアプリと連携するサービスが世の中に受け入れられ始めた時期であったこともあり、次第に、特定の個社向けの製品開発に留まらず「あらゆる機器の情報を収集・可視化できる、業界で広く利用されるシステムを手掛けたい」という強い想いが芽生え、自社プロダクトの開発を行う事業への挑戦を決めました。
受託経験を糧に、自社プロダクト開発でつかんだ手応え
受託開発の経験を経て入社5年目、現在も担当している開発プロジェクトに出会ったことは印象に残っています。LPWA規格である「ZETA」を活用した環境データ収集・可視化サービスの開発です。私はプロジェクトマネジメントの立場で、企画段階から要件定義、設計、PoC、そして運用まで全工程を手掛けました。
このプロジェクトでは、データフォーマットの仕様が多種多様な複数のIoT機器を、一つの可視化システムへ統合する必要がありました。各データの構造から共通点を見出し、インフラと処理フローを構築しきったこと、そして異なる仕様を共通のプラットフォームで扱うためのロジックを確立できた時の達成感は、今でも忘れられません。また、ハードウェアとソフトウェア両面の仕様を深く把握していたことで、新規の計測センサーを追加する際にもシステム側の改修を最小限に抑えられるようデータ定義を最適化できました。
このように、技術的なバックグラウンドを活かして将来の拡張性を見据えた設計・評価を行えたことは、プロダクト開発における自身の大きな強みになったと実感しています。受託開発とは異なり、自分が心血を注いだサービスが社会に展開され、多くのお客さまに活用されることは大きな喜びでした。
個の専門性を繋ぎ、チームで挑んでいきたい
今後は、現在注力している「データを活用したAI開発」に挑戦していきたいと考えています。単なるデータの可視化に留まらず、収集したデータから利用者に新たな「気づき」を与えられるようなサービスを創り出したいです。そのために、機械学習の実装やクラウドサービスを用いた生成AIの試作など、実践的な技術習得に日々励んでいます。
このような技術的な挑戦を個人で進めるだけでなく、中長期的にはプロダクト開発のノウハウをグループに還元し、開発全体をリードできる人財を目指していきたいです。グループメンバーが特定の開発範囲(フロントエンド、バックエンド、インフラなど)に精通するだけでなく、専門外のエンジニアとも円滑に意思疎通ができるよう取り組んでいます。具体的には、トレンドの開発手法や生成AI活用の勉強会を推進し、各分野に強いメンバーが双方向に技術的なアドバイスを行える環境づくりを意識しています。こうした取り組みを通じて、個々の開発領域を広げています。
幸いなことに、AI技術の進歩によって新しいことに取り組むハードルは下がっていると感じています。だからこそ、お互いに技術を補完し合えるような、強いチームを目指していきたいと考えています。

