単一設備ではなく、工場そのものを最適化できる環境に惹かれて
前職では制御機器メーカーにて、自動車業界のお客さまを中心に生産ラインの課題解決に携わってきました。コントローラーとソフトウェアを軸に企画・開発・導入までを一貫して担当し、「どんな制御ならラインを停止させず生産性を向上できるか」「ソフトウェアを標準化することで、どれだけ設計・立上げの期間を短縮できるか」といった現場課題に向き合い続けました。担当顧客の中にはデンソーもあり、外部パートナーとして現場に入り込む中で、生産技術力の高さと改善スピードの速さを強く実感。外から見ても日本トップクラスのモノづくり企業であると感じ、デンソーとの仕事にやりがいを持っていました。
一方で、自身の立場には限界も感じていました。あくまで外部パートナーである以上、自社製品の枠を超えた提案や、工場全体の最適設計、意思決定そのものに踏み込むことは難しかったのです。「同じ視点に立てたら、もっと大きな価値を生み出せるのではないか」——その思いが転職を考えるきっかけになりました。自社製品という制約から解放され、デンソーのモノづくり力を軸に必要な技術やパートナーを掛け合わせながら、工場全体のあるべき姿を描いていける。単一設備ではなく工場そのものを最適化できる環境に、大きな可能性を感じました。さらに、その取り組みが労働人口不足や労働生産性の向上といった社会課題の解決にも繋がっていく点に強く惹かれました。
『総合ラインビルダー』として産業課題に挑む
現在、製造業では生産技術人財の不足が大きな課題となっています。熟練技術者の引退が進む一方で、新たな人財の確保が追い付かず、多くの企業で生産体制の維持そのものが難しくなりつつあります。さらに、物流の2024年・2025年問題に象徴されるように、ドライバー不足や荷役作業の人手不足も深刻化しています。今や問題は工場の内部だけにとどまらず、物流や供給網まで含めた全体最適を考えなければ解決できない段階に入っています。この課題を解決するため、デンソーのFA事業としての貢献を試行錯誤した結果、“総合ラインビルダー”という構想に辿り着きました。設備単体の提供ではなく、生産ライン全体、工場内物流、そしてそれらを繋ぐ情報システムまでを含めて、工場をまるごと設計・構築・最適化する存在を目指しています。
自社工場130拠点で培った生産技術や自動化ノウハウを外部企業へ展開し、工場の持続可能性を高めていくことが、FA事業の使命だと考えています。重要なのは、自社技術だけで完結しない点です。工場全体を最適化するためには、搬送機器や倉庫システムに強い企業、ITやクラウドに強い企業、AIやデジタルツインの技術を持つ企業、大規模生産ラインを請け負う能力を持つ企業など、さまざまなパートナーとのアライアンスが必要になります。そのための私の役割は、総合ラインビルダーとして必要なケイパビリティを定義し、アライアンスやM&Aを通じて、既存のFAグループ会社とともにさらなる成長を描くことです。具体的には、候補企業の探索から関係構築、交渉、意思決定支援、実行までを一貫して担当しています。前職で培ったFA業界構造への理解をベースに国内外の企業を幅広くリストアップし、公開情報の分析や経営層との対話を通じて技術力や事業ポジション、企業文化まで多角的に見極めていきます。そのうえで、戦略的提携・出資・買収といった選択肢の中から、事業にとって最適な関わり方を検討し、実際の交渉から実行フェーズまでをリードします。構想を描くだけではなく、事業として成立させるところまで責任を持つ点が、一般的なコンサルティングとの大きな違いであり、この仕事ならではの特徴です。こうして多様なプレイヤーを束ねながら、工場という“現場”を起点に新たな価値を再構成していく。それこそが、デンソーFA事業が掲げる総合ラインビルダーとしての役割だと考えています。
日本のモノづくりが国際競争力を維持していくためには、単にコストを下げるだけでなく、高度な自動化とデータ活用によって、少ない人数で高い付加価値を生み出せる生産体制への転換が不可欠です。デンソーFA事業が目指しているのは、その土台となる工場全体の再設計です。自社工場で培ってきた生産技術や自動化ノウハウを事業として外部に開き、日本のモノづくりを足元から支えていく。事業づくりを通じて産業全体に貢献できる点に、大きな使命感とやりがいを感じています。
数千億円規模の、新たな事業の柱をつくる挑戦
FA事業は、“2030年に売上数千億円”という目標を掲げています。デンソー全体の規模や、非車載領域に求められている役割を考えると、必要なチャレンジだと頭では理解しつつも、初めて聞いたとき、そのスケールの大きさに驚きました。しかし同時に、それは単なる売り上げ目標ではなく、非車載領域に新たな事業の柱を築くというデンソーの意志そのものだと感じました。自動車産業が大きな転換期を迎える中で、次の成長を担う事業を自分たちの手で形にしていく——その挑戦の中心に関われることに大きな魅力を感じています。FA事業はまだ発展途上にあり、事業の方向性や成長シナリオを自分たちで描いていく段階にあります。そのため私たちの仕事は、既存の枠組みに沿って施策を進めることではなく、将来の姿を見据えながら事業の成長プロセスそのものを設計していくことです。扱う案件は、数十億円規模に及ぶこともあり、一つひとつの判断が将来の事業構造に大きな影響を与える責任の大きい仕事です。完成した戦略を実行するだけではなく、戦略そのものを構想し、実際の事業として成立させていく。そのプロセスに当事者として関われることが、この仕事の大きな魅力だと感じています。数千億円という目標に向けた取り組みは、単なる数字の達成ではなく、デンソーの新たな価値創出に直結する挑戦です。非車載事業の成長を通じて、会社の未来を形づくっていく。その過程に携われていることに、大きなやりがいを感じています。
非車載成長領域の中心で、事業をつくる
デンソーに入社して感じているのは、FA事業が当社の成長戦略の中で中核として位置付けられているということです。自動車業界が電動化・自動運転・コネクテッドと大きく変化する中で、従来のパワートレイン関連だけに依存しないポートフォリオ構築を進めています。その中でFA事業は、非車載領域を牽引する拡大貢献領域として戦略投資の対象となっており、会社としての成長戦略の“ど真ん中”にいる事業だと感じています。
このポジションの魅力は、“事業をつくる側・伸ばす側”に立てることです。これは、私の過去の業務経験の延長で完結する仕事ではありません。私自身、前職とは異なる分野に飛び込み、FA業界やモノづくりに関するより深い知識に加え、事業戦略やM&Aに必要なファイナンスなど、日々新たな領域について学び続けています。事業を形にする当事者として関わる以上、挑戦する意欲と同時に、地道に学び続ける姿勢が求められる環境だと感じています。一方、事業部内には生産技術・生産調査、調達、企画など社内の各部門やFA事業グループ各社の経験者に加え、私のように他社から集まった多様なバックグラウンドを持つメンバーが在籍しています。わからないことは誰かに聞ける環境にも助けられています。そして、それぞれが専門性を持ち寄り、「どのように事業として成立させるか」を日々議論しています。部長や室長、課長との距離も近く、役職に関係なく意見を交わす文化があり、議論が白熱することも珍しくありません。また、役員との距離の近さも特徴です。自分が主担当の案件について役員に直接報告し、フィードバックを受ける機会があります。「誰が言うか」ではなく「何を言うか」が重視される風土があり、この規模の企業でありながら、若手やキャリア入社者の提案でも良いアイデアであれば採用される。“事業をつくる側”として非常にありがたい環境だと感じています。
アドバイスして終わりではなく、最後までやり切り、結果まで見届けられることも大きな魅力です。自分たちが描いた戦略が、実際の生産ラインや工場の姿として現れていく。その変化を現場で実感できることに、この仕事ならではの醍醐味があります。
事業を自分の手でつくることは、未来をつくることだと思っています。工場全体の自動化やデータ活用を通じて、人の力をより創造的な領域へシフトさせていく。描いた構想を夢物語で終わらせず、現実の産業として形にしていく——それが、今私が向き合っている仕事です。
■これから仲間になる方へ
事業創造に挑む仲間を歓迎します
デンソーは、過去の経験に留まらず、新たな領域や事業創造に挑戦したい方が活躍できる環境だと思います。とくにコンサルティングやM&Aなど、多様な視点で事業を見てきた方であれば、その経験を活かしながら、次の事業の柱づくりに大きく貢献していただけると思います。ともに事業創造に挑む仲間をお待ちしています。
