店舗業務とデータをつなぐ”翻訳者”として、AI活用の土台を整える
私が所属するソリューションマネジメントチームは、AIを活用していく中でデータ定義や管理責任などの前提を揃える業務に取り組んでいます。AI活用と聞くと、最先端の技術開発をイメージされるかもしれませんが、実はその前提となるデータの整備こそが最も重要なのです。
目指しているのは、データを整備し、現場で使われ続ける形で定着させることです。私は特に、現場から挙がってくる曖昧な要望や暗黙知を、エンジニアやデータ人財が扱える「構造化された要件」へ翻訳し、開発が前に進む状態をつくることを大事にしています。これは一見地味に見えるかもしれませんが、この翻訳作業を行うことで、優れた技術が現場で活用されやすくなると考えています。
もう少し具体的に説明すると、現場の言葉を「データと設計の言葉」に翻訳し、合意形成していくことに取り組んでいます。例えば、店舗や本部で意味が微妙に異なるデータを整理し、「どの数字が正なのか」「なぜその定義なのか」を言語化しています。業務の「困りごと」を、開発が扱える「定義・条件・判断基準」に置き換える場面で翻訳が必要になるのです。用語と前提を揃えることで、議論が前に進む実感があります。
チームは少数精鋭の体制で、現場側の論点整理・要件化・データ定義の整備を軸に、エンジニアやデータ人財と密に連携して設計を進めています。業務理解を強みに持つメンバーと、エンジニア・データ人財が協業して取り組みを進めており、「なぜこのデータが必要なのか」「もっと良いやり方はないか」を率直に議論できる雰囲気ができつつあります。この率直な議論ができる環境こそが、複雑な課題を解決していく上で欠かせない要素だと感じています。
業務を知る人間がデータ設計に携わる意味。店長から橋渡し役へのキャリアチェンジ
AI活用を進める中で、成果を左右するのはデータの整備と共通化だと認識したことが、このチームが発足した背景です。データの扱い方や運用の仕組み、人や組織の前提が揃って初めて、現場の改善につなげられると考えています。その土台づくりを担う組織として立ち上がりました。
私自身は、チーム立ち上げ準備段階から関わっています。店長経験後、本部で店舗業務改善に携わってきましたので、「業務を深く知っている人間がデータ設計に関わること自体に価値がある」と捉え、業務と技術の橋渡し役として挑戦しています。現場での実務経験があるからこそ、データがどのように業務改善につながるのか、実感を持って考えることができると思いました。
ジョインしてからは、自らAIツールを積極的に使いながら、「業務改善にどう効くのか」「そのためにどんなデータが必要か」を検証するところから始めました。その上で、店舗業務や業務改善にどうつなげるかを整理し、活用の前提条件づくりを進めています。
特に印象的だったのは、散らばった情報から論点を整理し、定義すべき点や不確実な点を短時間で可視化できた時です。AIは整理と叩き台づくりを加速する役割として活用できると感じています。実際にツールを使ってみることで、可能性と限界の両方が見えてきました。
ただ、現場の業務と技術の橋渡しには難しさもあります。現場の感覚的な正解と、開発が必要とする再現可能な定義の間にはどうしてもギャップがあります。目的・前提・判断基準を言語化して揃えることで、すれ違いを減らしていけていると感じています。この言語化のプロセスこそが、橋渡し役としての私の重要な役割だと考えています。まだ前提や定義が揃いきっていない部分も多く、試行錯誤の中で少しずつ整理を進めているところです。
「わからない」を言いやすい雰囲気が、チームの質を高める鍵
メンバーの成長やマネジメントにおいて私が何より大切にしているのは、「わからない」を言いやすい雰囲気をつくることです。専門性を尊重しつつ率直に議論できる状態が、チーム全体の質を上げると感じています。特に、エンジニアやデータ人財といった専門性の高いメンバーと協働する上では、この「率直さ」が欠かせません。
実際、最近では関連するメンバーの間で「同じ言葉を同じ意味で使う」ことや、判断の前提を揃えることの重要性が共有され、少しずつ議論の質が上がってきていると感じています。以前は要望が「ふわっとした希望」のままで止まってしまうこともありましたが、今では「何を決めるためのデータか」「どこまでを今回やるか」といった論点が整理され、具体的な会話が増えてきました。この変化には、前進をしていると感じています。エンジニアやデータ人財とのコミュニケーションも深まり、より良い提案や改善が自然に生まれる状態を目指していきたいです。
マネジメントにおいては、「お客様のためになるのか」「店舗メンバーの業務改善につながるのか」を常に軸にしています。その上で、設計や進め方ではエンジニアやデータ人財の専門性を尊重し、良い提案は積極的に取り入れることを大切にしています。専門性を持つメンバーからの提案を真摯に受け止め、チーム全体でより良いものをつくっていく姿勢が、結果的にメンバーの成長にもつながっていると考えています。
この仕事のやりがいは、自分たちが設計したデータや仕組みが、現場の業務改善に直接使われている実感を得られる点にあります。フィードバックが早く、改善が次の設計にすぐ反映されるところにやりがいを感じます。特に印象的だったのは、「迷いが減った」「説明がしやすくなった」といった、判断のしやすさに関する声をいただいたことです。改めて、自分たちの役割はそこにあると感じました。現場の声が直接届き、それが次の改善につながる。この循環こそが、私たちの仕事の醍醐味だと思います。
データ整備の先に見据える、現場とAIが共存する新しい小売の未来
今後、事業部として挑戦したいのは、データの整備をさらに進め、店舗メンバーの迷いを減らし、使いやすい状態を目指すことです。データが実際の業務でどう活用されるかという視点を常に持ちながら、現場の判断や改善が進みやすくなるよう、データが共通の前提として扱える状態づくりに貢献していきたいと考えています。
組織としてめざしているのは、各自が専門性を持ちながらも、業務を構造的に理解でき、技術と業務の間に立って考えられる人財が自然に集まり、議論できる組織です。そのためには、専門性の違いを前提に共通言語を育て、目的や判断基準を揃えた議論を続けることが不可欠だと考えています。現場のフィードバックを設計に戻し、定義や前提を磨き続けられる文化づくりを重視しながら、理想の組織を実現していきたいです。
こうした取り組みを通じて、私たちが目指しているのは新しい小売業づくりです。それは、データ整備が進み、AIが実際の業務で活かされる前提条件がしっかりと整った状態の小売業です。現場の方々がより迷わずにデータを活用できるようになり、より良い判断や改善が日常的に行われる環境を実現することで、お客様にも店舗メンバーにも価値を届けられると信じています。
だからこそ、今後ジョインしてほしいのは、お客様や店舗メンバーにダイレクトに役立つプロダクトをつくりたいという方です。データが実際の業務でどう使われるかに興味があり、AIを活かす前提条件から関わりたいという方だと、とても心強いです。そんな方と一緒に、新しい小売業づくりに挑戦していきたいと思っています。技術と現場の両方に関心を持ち、その間に立って価値を生み出すことに情熱を持てる方に、ぜひ仲間になっていただきたいです。
