デジタルとリアルを融合し、次世代チェーンストア経営を切り拓く
私たちデジタル推進本部は、デジタルやAI活用を店舗・本部含めて全社横断で推進し、新たなカインズの価値を創造することをミッションとしています。このミッションを一言で表すならば、「次世代チェーンストア経営へのアップデート」です。
今、小売業を取り巻く外部環境は激変しています。人件費増、原材料費増、エネルギーコスト増、建築費増はもちろん、顧客の買い物に対する価値観や手段の多様化など、従来の手法では対応しきれない課題が山積みです。このような環境下では、リアル店舗だけでは不利になってしまいます。だからこそ、デジタルとリアルを融合させた新たな経営フォーマットが必要なのです。同時に、AIがインターネット普及のスピードを上回る勢いで世界中に浸透しています。この変化は、小売業にとっても無視できない大きな転換点です。私たちは、こうした技術革新に対応し、先を見据えた新たな小売経営モデルを構築していく必要があると考えています。
私たちの取り組みは、お客様の買い物体験の改善だけに留まりません。新たな利便性を提供するプロダクトやサービスの開発に取り組んでいます。それと同時に、店舗メンバー(従業員)の業務を再構築することで、一人ひとりが自身の能力を発揮し、輝ける店舗業務改革にも力を入れています。
チームは、プロパーとキャリア採用が混在する、比較的若いメンバーで構成されています。雰囲気はワイガヤで活発ですが、それぞれが責任あるプロダクトやサービスを担当しているため、真剣そのものです。私自身は、全社連携役として、販売本部、マーケティング本部、商品統括本部、SCMロジスティックス本部、店舗業務本部、商品業務本部、情報システム事業部など、多岐にわたる部署と連携しながら、プロダクト・サービス開発の意思決定を行っています。その判断基準は明確です。お客さまのためになるか、メンバーが楽になるか、儲かるか。この三つの視点を常に大切にしています。
全社を巻き込んだデジタル変革の始まりと現場との対話
デジタル推進本部の発足は、カインズという組織全体の転換点でした。世界中で急速に拡大するデジタル活用やAI技術の波に対して、個々の部署や担当者レベルでの取り組みだけでは限界があるという認識がありました。カインズとしてデジタルやAIの活用を本格的に牽引していくためには、全社横断できる組織が必要だという結論に至ったのです。当初、カインズのデジタル変革を進めるに至った背景には「カインズの新たな成長とは何か」という根本的な問いを、全社横断で検討し始めたことがありました。私はその発足時から参画することになり、まさにゼロからのスタートを経験することになりました。
最初に着手したのは、「Find in CAINZ」という売場マップ・商品検索機能の開発でした。正直に言えば、当時の私はデジタルについて右も左もわからない状態でした。多くのエンジニアに一つひとつ教えていただきながら、手探りで進めていったことを覚えています。プロダクトを構築した後も、店舗メンバーからフィードバックをいただき、改修を重ねました。現場の納得が得られるまでには相当な時間がかかりましたが、この経験が後の取り組みの礎となりました。
その後、業務用アプリ、お客様向けのカインズアプリ、スマートドッグラン、売場案内ロボ、電子カタログ、AI接客、カゴ車自動搬送装置、屋内位置測定機能、お届け便、カインズモバイルストアなど、数多くのプロダクトやサービス開発に取り組んできました。それぞれのプロジェクトが、カインズならではのデジタル活用を実験し、導入し、そして拡大していくという私たちのミッションを体現するものでした。現場との対話を大切にしながら、一つひとつ実現していく日々。それが、私たちの歩みそのものだったのです。
任せる勇気と見守る覚悟──成長を支えるマネジメント哲学
メンバーや組織の成長を実感するのは、彼らが自信を持ってプロジェクトを率いている姿を見るときです。悩みながらも、自ら考え、決断し、実現していく。その過程には、さまざまな困難や試行錯誤がありますが、それでも前に進んでいく姿を見ると、確かな成長を感じます。かつては私が手を差し伸べていた場面でも、今では自分の力で乗り越えていく。その変化こそが、マネジメントをする上での大きなやりがいとなっています。
チームをまとめる上で心がけているのは、いい意味で任せるところは任せるということです。ただし、これは丸投げとはまったく違います。困ったらすぐに相談できる関係性を保ちながら、メンバーの裁量を信じて委ねる。サポートや介入のタイミングは、プロジェクトの進行スピードが遅れてきたときや、アウトプットが少なくなってきたときに見極めています。これらは、メンバーが何かに躓いているサインであり、そのタイミングで適切に手を差し伸べることが重要だと考えています。
メンバーが成長して自信を持てるようになるまで、私は良い点と改善点のフィードバックを継続的に行ってきました。シンプルですが、これが最も効果的だと感じています。相談を受けたときに意識しているのは、目的のシンプル化です。何を成し遂げたいのか、ゴールを明確にする支援をする。複雑に見える課題も、本質的な目的を見極めることで、進むべき道が見えてくることが多いのです。
この仕事のやりがいは、挑戦し続けることにあります。常に情報収集を行い、それを現場の業務に変換し、活用可能かを探し続ける。その中でとくに印象的だったのは、スマートドッグランの事例です。これはお客様の利用時の不便さとメンバーの業務負荷の両方を改善したサービスで、双方から良いフィードバックをもらえたときは、大きな手応えを感じました。挑戦の難しさもあります。なりたい姿はあっても、技術不足やコスト高により実現が難しいこともあります。そんなときは、目的を明確にし、一足飛びではなく一歩ずつ着実に進めることを心がけています。
小売業の未来を共に創る―AI活用と新しいチェーンストアの姿
これから私たちが挑戦したいのは、カインズならではのAI全社活用です。単に便利なツールとして使うのではなく、経営にAIが加わる姿を創り上げたいと考えています。そのために、まずはAIの本格導入に向けて、個人や部署での活用事例を小さくても早く進めることから始めています。実験、導入、検証、拡大までのスピードが私たちの課題であり、同時にこれからの成長の鍵でもあります。小さな成功体験を積み重ねながら、組織全体にAI活用の文化を根付かせていきたいのです。
私たちがめざしているのは、みんなが大小さまざまなプロジェクトを牽引するリーダーになれる組織です。理想と現実の両方を理解しながら、常に「お客様にとって最良か」「店舗メンバーにとって最善か」を考えられる、そんなチームを作りたいと思っています。そのためにさまざまな型作りとコミュニケーションの充実に取り組んでいます。一人ひとりが当事者意識を持ち、お客様の顔を思い浮かべながら判断できる組織であることが理想です。
そして、私たちの最終的な目標は、新しいチェーンストア経営をリアルとデジタルの両面で構築することです。それによって、多くのお客様に豊かな生活を提供し続けたい。小売業という、一般のお客様に最も近いところでさまざまなことに挑戦できる環境がここにはあります。
だからこそ、これから私たちにジョインしてくれるメンバーには、常にお客様が目の前にいることを想像してほしいのです。お客様のために良いことか、という基準を持って一緒に成長していきたい。小売業・店舗の新しいカタチを一緒に創造していきましょう。挑戦したい気持ちを持った方を心から歓迎します。
