“好き”を追求する力が、私の原動力に
幼いころから、何かに熱中すると、とことんのめり込むタイプの子どもでした。とくに、自分の好きなものを集めるのが好きで、今でも趣味として、キャラクターのグッズなどをコレクションしています。「好きなものをとことん追求すること」は仕事でもプライベートでも大事にしていきたいと思っています。残念ながら、グッズ集めは家族からの理解をあまり得られていないのですが(笑)。
北海道出身の私は、地元の高専に進学し、電気電子工学を学びました。工学というと幅が広いのですが、私は電子系の分野を専攻として研究に取り組んでいました。学生時代には、とくに部活動などはしていませんでしたが、授業や課題で忙しい日々の合間を縫ってアルバイトをしたり、友人と遊んだりと、充実した学生生活を送っていたと感じています。
卒業後は化学メーカーに就職し、スマートフォン向け製品の品質管理の仕事に携わりました。宮城県で数年間勤務し、その間にマイホームも購入していたのですが、栃木県に転勤することに。いったんは単身赴任をしていましたが、いずれは宮城県に戻りたいと考えていました。
しかし当時の会社では、なかなか宮城県に戻る機会がなさそうだとわかり、転職活動を始めたのです。宮城県で、前職の経験を生かせる企業を探していたところ、アルプスアルパインに出会い、2017年に入社しました。
繊細な製品の品質を担保する、品質保証部の仕事
アルプスアルパインに入社後は、前職での経験を活かしながら、スマートフォン向けのカメラアクチュエーターの品質保証業務を担当しています。
現在は、チームリーダーとして製品や工程の品質管理、顧客対応を担当しています。私の所属する品質保証部のミッションは、品質ロスやクレーム件数の削減に向け、「フロントローディング活動」を強化することです。簡単に言うと、「後から問題が起きないように、最初の段階でしっかり対策をする」という活動です。製品設計の初期段階から、「品質」という観点でリスクを先読みして、改善を行うことで、後々の品質問題を防ぐことにつながります。
チームリーダーとしては、目標達成に向けて計画と進捗の管理を行っています。チーム内には、私よりも経験の長いメンバーもいるので、アイデアを出し合い、協力しながら業務を進めています。
現在担当しているスマートフォン向けのカメラアクチュエーターは、カメラの手振れ防止やオートフォーカス機能を支える重要な製品です。小さく、とても繊細な製品であり、その分お客様からの要求も厳しく、徹底した寸法管理が必要となっています。そのため、一貫した測定基準を定め、自動測定器が正しく動作するか、プログラムのチェックなどを行います。
また、量産地が海外となる場合、日本で試作を行い、社内認定をクリアした後、海外へ機能移管をしていきます。「日本では順調に試作ができていたのに、海外へ移管したらうまくいかない」といった事態が起こらないように、管理体制の整備が重要となっています。グローバルで一貫した品質基準を構築するために、現場で適切に運用できるルールを作り、製造にかかわるすべての人がそれを正しく理解する必要があるのです。
いつもうまくいくわけではない。失敗から学びを得て、次の挑戦へつなげる
品質保証の仕事は、常に順調に進むわけではありません。私は、一貫してスマートフォン向けのカメラアクチュエーターを担当していますが、とくに印象に残っているのは、新規機種の量産が始まった際に、不良品が流出し、多額のロスが発生した経験です。
出荷前の製品は検査を行い、合格したものだけを出荷しています。しかしある時、お客様へ出荷した製品に不良が見つかりました。私たちは急いで検査履歴を確認し、原因の特定に努めましたが、なかなか問題の手がかりが見つかりませんでした。当初は、出荷後に問題が起きているのではないか、など、さまざまな議論を交わしていました。
どの工程で問題が発生したのか、一つひとつ丁寧に調査を進めた結果、原因は検査後の工程で発生していることが判明しました。製品の検査を終えた後、出荷に向けて自動機で製品を移動させる工程で、不良につながるトラブルが発生していたのです。検査段階では問題がなかったため、原因の特定が遅れ、結果として大きなロスにつながってしまいました。
お客様には、状況を丁寧にご説明し、再発防止策を講じることで、最終的にはご理解いただくことができました。この経験を通じて、工程検証を徹底することの重要性を、あらためて強く認識しました。
現在では、出荷前検査から出荷工程までの検証、検査履歴のトレース、設備・工程・部材の共通性解析などを通じて、原因特定の迅速化と再発防止策の標準化に取り組んでいます。失敗した経験があったからこそ、品質保証の仕事に対する責任感と視野が、よりいっそう深まりました。
未来への挑戦──品質保証の10年ビジョンと私の想い
同じ仕事を長く続けていると、どうしても視野が狭くなりがちです。だからこそ、私は意識的に社内外の学びの機会を活用するようにしています。2023年頃には、品質本部のリーダーシップ養成講座に参加しました。普段の業務では他のビジネスを担当するメンバーとは関わりが少なかったのですが、座学やワークショップを通して同世代のメンバーと交流し、自分の立ち位置を見直すことができました。
また、2024年には、品質保証部門の10年後の姿を描く「To-Beプロジェクト」に参加し、フロントローディングの強化を軸としたビジョン策定に携わりました。ポスターや動画を通じて、グローバルに品質保証の未来を共有する取り組みも進めています。
私は「温故知新」という言葉が好きです。先人たちの知見を活かしながら、新しい挑戦へとつなげていく。それが、品質保証の未来をつくる原動力だと信じています。
そしてそのためには、社内の枠にとどまらず、外部の視点やお客様の声を受け止める姿勢が欠かせません。これからも、学びと対話を重ねながら、より良い品質保証のあり方を追求していきたいと思います。
※ 記載内容は2025年7月時点のものです
