高校時代、放送部での“モノづくり”
高校・大学を通じて、放送部に所属していました。活動内容は主にラジオドラマの制作で、脚本づくりから収録、編集までをすべて自分たちで行っていました。声の演技だけでなく、効果音やBGMの挿入も担当し、音だけで物語を伝える作品をつくっていました。
高校時代は、NHK杯という大会に向けた作品づくりにも取り組みました。大学では、地域のFMラジオ局と連携し、他校の学生と週替わりで番組を担当する機会もありました。番組制作の裏側では、ミキサーとして機材を操作し、パーソナリティが話しやすい環境を整えることにも関わっていました。
部活動のメンバーは、高校・大学ともに20名ほどで、同期は5人前後でした。役割を分担しながら、1つの作品を形にしていくおもしろさを実感することができました。
趣味はアニメやゲームで、昔から絵を描くことも好きでした。とくに、可愛い女の子のイラストを描くことが好きで、気づけばよく夢中になっていました。今振り返れば、「何かをつくること」が常に自分の中心にあったように思います。
入社のきっかけは“偶然”と“共感”
私が入社を決めたきっかけは、製品づくりに対する熱量や品質への強いこだわりに共感したからです。モノづくりが好きだった私には当時のアルパインの行動指針である「創造」「情熱」「挑戦」が非常に魅力的に感じられました。アルパインブランドを語る上で欠かせないエピソードがあります。
それは、今から約40年前のこと。自社製品が弾丸で撃ち抜かれた状態で送り返されるという出来事がありました。手紙やメモなどは一切添えられておらず、これは、何度修理しても直らない製品に対する顧客の「無言のクレーム」だったと受け止められています。
この事件は、顧客の怒りと共に、品質の重要性を強く突きつけるものであり、アルパインにとって“モノづくりの原点”として語り継がれています。この出来事をきっかけに社内の品質意識は大きく変わり、アルパインは高品質ブランドとして成長を遂げることとなりました。
じつは最初、アルパインの存在すら知らず、放送業界への就職を希望していました。しかし、就職活動中に東日本大震災が発生し、放送業界への道が閉ざされました。震災の影響で採用活動が縮小・延期され、自身も被災していたため就活どころではない状況が続きました。そんな中、教授の紹介で旧アルパインを知り、調べるうちに自分の価値観に合っていると感じ、入社を決めました。
私は工学部の知能エレクトロニクス学科出身で、大学時代にマイコンやC言語に初めて触れたことがきっかけで、組み込み開発に興味を持つようになりました。その体験が今の仕事の原点となっており、当時の経験が現在のキャリアに大きく生きています。
開発エンジニアとしてのキャリアと転機
2012年に入社してから、市販向けAVN製品(カーオーディオとカーナビの一体化システム)のマイコンソフト量産開発に携わり、国内案件を2年間、その後は海外メーカーとの案件を2年間経験しました。この4年間で、国内外それぞれの開発スタイルや文化の違いを肌で感じながら、多様な視点で製品づくりに携わることができました。とくに海外案件では、柔軟なコミュニケーション力を養うことができました。
その後、2017年にSG(ソフトウェアガバナンス)チームへ異動しました。そこで構成管理やプロセス改善に関わるツールの設計・開発を担当し、とくにログ解析ツールや設計支援テンプレートの自動生成機能など、実務で役立つ仕組みづくりに力を入れました。現場から「作業が楽になった」と声をもらえたことがとても嬉しく、チーム全体の生産性向上に少しでも貢献できたという実感を持てた経験でした。
また一時的に工場への応援勤務も経験し、普段の開発業務とは異なる「製造現場のリアル」に触れたことは、自分にとって非常に新鮮でした。その現場では、ITに不慣れなスタッフの方々と協力しながら、簡単なパソコン作業の支援を行ったり、チラシ作成などを手伝ったりすることもありました。休憩時間に地域のPTA活動や少年野球の話などプライベートの雑談を通じて、お互いの人となりを把握できたことで、仕事以外でも人とのつながりの大切さを実感することができました。
その後、開発現場に戻ってからも、ソフト設計チームの開発管理の支援として議事録作成や資料のテンプレート整備、進捗集計などを担当し、裏方としてチームの作業を支えることを意識しました。
自分の手で生み出した“モノ”が、誰かの体験の一部になるということ
現在は、電気自動車向けにエンジン音を車外に出すブースターアンプの制御設計を担当しています。要件定義からモデル設計、コード生成、ユニットテスト、結合テストまで一連の開発工程を手がけており、車の個性を演出する重要な要素に関われていることがこの仕事の魅力です。
私にとってプログラムを書くことは非常に楽しいです。しかし、単にコードを書くことだけでなく、製品の品質にこだわる姿勢も同じくらい重要だと考えています。高品質な製品をつくることは、お客様に対する責任だと思っており、そのためには正しい設計と抜け漏れのないテスト設計・実施が欠かせません。
いくら丁寧にテストしても、設計が正しくなければ新たな不具合を生み、保守も困難になり、品質は確保できません。たとえば出力結果が正しくても、処理構成に誤りがあれば誤作動や、変数名が不適切だと仕様変更時に想定外の使い方で不具合が生じることもあります。
また、保守や改修は別の担当者が行うことも多く、設計意図が共有されていないとトラブルの原因になります。そのため、設計時には有識者と方針確認やレビューを行い、ミスを減らして品質を高めています。テスト設計でも、正常時だけでなく異常時や関連機能への影響も含め、複数人で確認し抜け漏れを防ぐことで、品質を確保しています。
業務の中でもやりがいを感じるのは、つくったソフトウェアが正しく動作し、製品として完成した時です。自分が手がけた製品が世に出た瞬間や、実際に車に搭載されて動いているものを見た時は、非常に嬉しいと感じます。エンジニアとして最高の達成感です。
開発の仕事は自分にとって非常に充実しており、技術的な挑戦とともに、製品が形になっていく過程が楽しいと感じています。これからも、自分の技術を高めつつ、より良い製品をつくり上げていきたいと思っています。自分の手で生み出した“モノ”が、誰かの体験の一部になっている──それが私の原動力です。
※ 記載内容は2025年2月時点のものです
