幼い頃から続けた野球がものづくりへの情熱のきっかけに
私は小学生の頃から、ずっと野球を続けてきました。ポジションは主に外野手。社会人になってからも、会社の野球部に所属して活動を続け、国体や天皇杯など社会人軟式野球チームの全国大会に出場したこともあります。
昔から体を動かすことが好きでしたが、そこからしだいに、人体の動きや力の伝わり方、物理やバイオメカニズムに興味を持ち、「人間工学」という分野に出会いました。大学では人間工学のテーマの1つでもある「音声技術」という分野を研究し、音の構造や処理について知見を深めました。そして、社会人になってもこれまでの研究や知識が役に立つ仕事に就きたいなと考え、設計者の道を志望しました。
ものづくりに興味を持ったきっかけは学生時代の愛車であったホンダのシビック(EG6)。車好きの先輩の影響もあり、自分好みにパーツを変えるなどカスタマイズして楽しんでいました。私はふと、設計者の目線で、「自分が創り上げたものがこんなにも大切にされていたら嬉しいだろうな」と思うようになり、就職活動では「人に長く愛されるものをつくりたい」という思いを胸にメーカーを志望しました。
学生時代に研究を通して学んだ電気、メカ、ソフトなどの知見、そしてものづくりへの想いは、製品開発において確かな土台となっています。
「わからない」を楽しむ。技術者としての歩み
2010年に入社後、新人研修を経て配属されたのは、市販製品開発部の回路設計チーム。主にアルパインブランドのカーナビの回路設計に携わりました。回路設計とは、電子機器の内部を構成する部品と部品を電気信号でつなぎ、機能・性能を創り上げる仕事。ソフトウェアやメカへの関わりが大きく、製品開発には不可欠です。設計ミスは製品全体に影響するため、緻密さと先を読む力が問われます。
市販製品は自分が設計した製品が、実際に市販品として完成するまでのサイクルが短いのが特徴です。若手の頃に、このようなスピード感のある仕事を経験できたこと、また、実際に自分が設計から量産までの一連を経験できたことは、非常に有意義でした。
2018年からは、欧州の車メーカー向けに、ディスプレイ製品の回路設計を担当しました。顧客が変わったことで、求められる仕様や基準も厳しくなり、技術的な対応力もいっそう必要に。車メーカーが顧客の場合は、これまでの市販製品向けとは異なり、開発に2~5年ほどかかることもあります。顧客要求に対する交渉や調整を行いながら、何度も試作を繰り返して開発を進めていきました。
2023年からはプロジェクトリーダーとして、ディスプレイ開発プロジェクトの指揮を執る立場になりました。プロジェクトリーダーとしての仕事は、品質・コスト・納期などプロジェクト全体を見渡し、社内外と調整を重ね、課題にいち早く手を打っていくことで目標を達成していくのがミッションです。たとえば、とある製品やサービスをコスト・機能の面から見直し、両方を改善することで価値を高める活動や、製品の変更管理などが重要な仕事の1つです。
一設計者の立場から、今は組織全体の成果にコミットする立場へ。業務範囲は広くなりましたが、その分、やりがいも大きくなりました。
失敗から学んだ「製品価値」の本質
技術者として忘れられない経験があります。
市販製品の開発において、カーナビの設計をしていた時の話です。試作のカーナビを実際に自動車に実装して、問題なく動作するかを検証するのですが、そこで、デジタルラジオの感度がうまく出ず、非常に苦労しました。
当初は経験の浅さもあり、上司や先輩の助言をそのまま試すだけでしたが、解決には至りません。その後、もう一度それまでの結果を整理し、仮説を立て直して対応することで、なんとか問題を解決することができました。この経験から、「人の助言に頼り切るのではなく、自分の頭で道筋を考えることで本質を理解できる」ことを学びました。
また、ある欧州の車メーカーの顧客を担当していた時のこと。新モデルに搭載するディスプレイ製品の設計において、顧客より、他社と比較しても厳しい EMC(電磁両立性)のスペック要求がありました。私は、過去モデル同等の性能が担保できれば十分だろうと考えて、スペック変更を顧客に提案しました。しかし、顧客からは、「過去モデルと同等のスペックでは価値が向上しない。もっと良いものにしなくてはいけない」と厳しく指摘を受けました。現状に満足せず、より良いものにアップグレードしていく姿勢を常に持つ必要があると痛感しました。その後、変更によるリスクはあったものの検証を重ね、顧客の要求値に達することができました。この一件を機に、「顧客の期待にどう応えるか」「どう価値を届けるか」を常に考えるように心がけています。
チームで価値を創り、成長を楽しむ
仕事でとくに大切にしているのは、「技術に妥協しないこと」と「少しの頑張りを積み重ねること」。プロジェクトリーダーとしては、困難な場面でも「なんとかして乗り越えるぞ」という意志を持って、解決に導かなければなりません。想定外の課題もありますが、過去の類似事例やベテランの先輩からのアドバイスなどをもとに、判断基準を明確にすることを心がけて、チームの指揮を執っています。
そうした日々の中でもう1つ大切にしているのは、「仕事を活用して、自分を成長させよう」というマインドです。私たちは、人生の多くの時間を仕事に費やしています。だからこそ、その時間を自分の成長につなげたい。私はそう考えています。目の前の課題を一つひとつ乗り越えていくことで、おのずと成長出来ると信じていてます。自らの意志で壁を乗り越えた先に大きな手応えが待っていて、そして、その達成感が、また次の挑戦への原動力になります。
今後は、個人としても組織としても、好循環を生む存在でありたいと思っています。自分が関わることで誰かが前向きになれる、チームが前進できる、そんな影響を与えられる人でありたいです。
※ 記載内容は2025年7月時点のものです
