アルプスアルパイン株式会社で社内広報を担当する熊谷 紗弥子。社内広報という仕事に対する情熱や新たな発信活動、そしてアルプスアルパインのカルチャーについて、語ってもらいました。
旅する学生から、アルパインへの入社へ
私は大学で観光学を学び、学生時代は頻繁に海外を旅していました。友達と欧米に行ったり、バックパッカーとしてアジアを一人で旅したり。学生なので安い旅しかできず、危ない思いもしました。しかしそのぶん、なんでも楽しめる力や自分で危機を乗り越える力が鍛えられたと思います。
就職活動では当然のように旅行会社をメインに受けていました。しかし次第に、安旅にこだわりがあるからこそ、自分と真逆のものを求めている人、たとえば快適で高級な旅を求める方の気持ちに心から寄り添った仕事ができるのか心配になりました。そこで一度立ち止まり、自分がどんな社会人になりたいのかを考え直しました。
そこで気づいたのが、「海外の人と関わる仕事がしたい」「社会貢献につながる仕事がしたい」という想いでした。海外支援のNPOも考えましたが、まずは企業で経験を積むべきだと思い、いったん候補から外しました。
そんな中で出会ったのがアルパインでした。海外売上比率が高く、説明会や面接で出会った社員の方々がとても素敵だったので、この会社で働きたいという気持ちが強くなっていきました。旅行会社からも内定をいただいており悩みましたが、最後は自分の直感を信じてアルパインに入社しました。
入社後はアジア圏の営業を志望していたのですが、秘書室に配属されました。まったく想定していなかった職種のためショックを受けました。しかし次第に秘書の楽しさがわかり、社長の仕事への姿勢から多くを学びました。例えば、相手の年齢や立場にとらわれずフェアに接すること、先を見据えて早めに動くこと、決して言い訳はしないこと。もちろん完璧にはできませんが、今も自分の軸として大切にしています。
その後、別の仕事も経験したいと課長に相談したところ、同じ部署内にあったCSRの仕事を任せてもらうことになりました。入社前に憧れていた社会貢献につながる仕事です。それまで社長秘書が他の業務を兼任することはなかったようなのですが、それを許してくれた社長と課長に今でも深く感謝しています。
当時は実質一人きりのCSR担当だったため苦しみも大きかったです。企業の社会的責任に向き合う日々が始まりました。とくに記憶に残っているのは、当時主流だったCSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)という言葉の認識が当時の部長となかなか合わず、何度も……時には半分泣きながらも、1対1で議論したことです。何カ月も議論をし、ある瞬間ふっと部長の意味することが理解でき、自分なりの解が見えたときの気持ち良さは今でも忘れられません。そして若手の私に何十時間も時間を割いてくれた部長には感謝しかありません。
広報の価値に気づくまで
入社5年目に広報へ異動しました。広報担当は実質一人だったため、毎日が手探りで戸惑うことばかりでした。そんな中、定期的に他社の広報担当者数十名と交流できる機会に恵まれました。そこで他社広報担当の先輩方に勇気を出して悩みを相談したことで視野が広がり、広報の面白さに気づくことができました。「広報は他社ともノウハウを包み隠さず共有できる数少ない業種だから、他社の人にもどんどん聞いてどんどん教えてあげて」という言葉が今も心に残っています。
当初は、社外広報のほうが目立つ分、重要だと思い込んでいました。でも広報の仕事を続けていくうちに、社内広報の価値に気づくようになりました。当社には国内だけでも6,000名以上の社員がいて、グループ会社まで含めるとさらに多くの仲間が働いています。拠点も国内外に数十カ所あり、日常的に顔を合わせることが難しい環境です。
だからこそ、社内広報の発信が、社員同士をつなぎ、離れた拠点で活躍する仲間を知るきっかけとなり、モチベーションの向上につながることを期待しています。
オープン社内報と talentbook ― 素敵な社員をもっと知ってほしい!
これまで社内広報を通じて得た情報があっても、中には従来の広報のやり方では発信しきれなかった内容もあり残念に感じることがありました。 今後はWebメディアを活用してさまざま人の声や製品の開発エピソードなどを社外にアピールしていきたいと考えています。
アルプスアルパインはBtoBメーカーであり、認知度は必ずしも高くありません。しかし、センサーやスイッチなどの電子部品からカーナビや車室内音響機器、さらに製品をベースにしたソリューションなど、幅広い分野に及びます。それぞれの仕事には、独自の工夫やエピソードが存在し、そうした仕事に対する社員の熱い想いをWebメディアを通じて広く伝えたいと思っています。
当社には紙媒体のグループ報『Alpinist』という1960年創刊の歴史ある媒体もあります。しかし紙だからこそ掲載できる情報量には限りがあり、またデジタルのほうが読みやすいという社員も増えてきました。そこで、紙の社内報には載せきれない深いストーリーをWebメディアで発信する「オープン社内報」の取り組みを始めました。
そしてもう一つ、私が大切にしている取り組みが talentbook です。これまで社内の様々な人と出会ってきましたが、その中には尊敬できる人や刺激を与えてくれる人など、素敵な社員がたくさんいます。そうした人の魅力を外に伝える媒体として活用しています。アルプスアルパインの事業を知らない人にも、「人」を通じた発信なら自然と興味を持ってもらえるのではないかと思っています。
talentbookの取材は私の好きな業務の一つでもあります。普段の雑談では少し恥ずかしくて聞けないような仕事への熱い想いも、「社内広報の取材」という建前があると詳しく聞くことができ、その人の魅力を再発見することができます。これは役得です(笑)。
支えられてきた感謝を胸に、一人ひとりの誇りにつなげていく
私自身の経験から、アルプスアルパインは多様な働き方を受け入れてくれる会社だと感じています。私は子どもがまだ小さく、会社から自宅も離れているため、テレワークや時短勤務を活用しています。育休から復職する前は、出産前のように思い切り働くことはできないかなと不安に思っていたのですが、いざ戻ってみるとやりたいことをやらせてもらい楽しく働けています。もちろん周りに支えてもらっているからこそだと思うので、感謝しています。
また上司に恵まれてここまでこられたと思っています。社歴に関わらず責任ある仕事を任せてくれたり、やりたいという気持ちを優先してくれたり、納得できないと言えば納得できるまで付き合ってくれたり。こうした環境が、社員一人ひとりの成長を支えているのだと思います。
これからも会社の魅力を多くの人に届けると同時に、社員一人ひとりがアルプスアルパインと自分の仕事、そして自分自身に誇りを感じられるような広報活動を大切にしていきたいです。
※ 記載内容は2023年5月時点のものです。
