衝突安全、振動の信頼性など、安全性能の向上につながる技術に取り組む
―まずはおふたりの経歴について教えてください。
山口:物理が好きだったこともあり学生時代に機械工学を専攻していました。卒業後は自動車や航空宇宙などの産業機器開発を行う愛知県の会社で働きはじめました。複数の要素技術に関わる中で、シミュレーションにおもしろみを感じて、そこにつながるキャリアを選びたいと考えるようになりました。エンジニアとしてより深く技術を追求したいという思いから、自由な研究開発が可能な自動車業界が最適だと考えて転職を決意し、2013年にアイシンに入社しました。学生時代の研究室では、シャボン玉の形状をコンピューターグラフィックスで描くという異色な内容に取り組んでいました。シャボン玉を小さな要素に分けて表現する手法を用いており、そこで初めてシミュレーションに触れました。現在行っている強度解析のシミュレーションでも、形状を細かく分割して全体を表現する手法を用いており、学生時代の考え方が今の仕事にも活かされ、自分に向いている仕事だと思っています。
藤井:子どもの頃に発明クラブに入っており、モノを作るのはおもしろいとは感じていました。ちょうど中学校を卒業する頃、世間では『これからはITの時代だ』と言われていました。進学先の高専では情報工学科に進み、パソコンの中身やアルゴリズムを学びました。乗り物が好きでとくにオートバイに興味があったので、卒業後はモーターサイクルの関連会社に入社しました。オートバイや船外機のエンジン部分の強度解析を担当していましたが、地元愛知県にUターンしたいという家庭の事情、また自分で仕事を生み出したいという考えで、自動車メーカーへ転職。アイシンには2024年に入社しました。
―「解析技術部 第1CAE開発室」ではどのようなことに取り組んでいますか?
山口:CAEとはコンピュータを使って製品の性能や動作をシミュレーションする技術になりますが 、大きくはメカの複雑な構造や挙動を忠実に再現する3Dと、現象の本質を抽象化し効率的に解析する1Dに分かれます。私たちは、前者の3Dメカのシミュレーションを行い、強度と振動の現象を解く分野のチームになります。車体系の製品を扱うことが多く、衝突安全、振動の信頼性など、安全性能の向上につながる技術に取り組んでいます。
藤井:アイシン内で新しい業務のやり方を探していく中、構造CAEの技術開発にも注目しており、試験的ではありますが産学連携として大学とのディスカッションを通じて、解析手法の検討や知見の共有なども進めています。
部門が多く、かつ各部署にスペシャリストがいて、総合力がすごい
―前職でさまざまな経験を積まれていますが、どのような理由でアイシンに転職されましたか?
山口:前職の2社ではお客さまの製品に関わっていたのですが、メカ系として自社の製品に関わりたかったこと、またサプライヤーの方が自分の力を発揮できると感じたことがアイシンを選んだ理由です。学生の時には何をやりたいかも正直定まっておらず、2社を経験したお陰で、取り組みたいことが明確になりました。
藤井:前職では年齢を重ねると実務や現場から離れていく傾向がありました。35歳頃、自分のやりたいことがやれていなかったこと、また今後の自分のキャリアを見据えCAEを軸により追求していきたいと思いました。いろいろな会社の情報を見ましたが、求人に記載されたキーワードが最もマッチしていると感じたのがアイシンでした。実際に面接に参加してみると期待していた通りの業務内容で、当時の室長と面接で話が盛り上がったのが印象に残っています。過去転職した時から年齢も重ねていましたので、まったく悩まなかったわけではありませんがアイシンでチャレンジすることを決意しました。
―アイシン入社後、過去在籍されたと比べて驚いたことはありますか?
山口:まず会社の規模や人数がまったく違うことに驚きました。部門が多く、かつ各部署にスペシャリストがいて、総合力がすごいなと感じました。また、部署間のコミュニケーションを取りながら、いろんな人材と開発について一緒に連携しながら精度の高い仕事ができるとも思いました。
藤井:繁忙期はありますが、業務の状況に応じて柔軟に働ける環境です。私は自宅が職場に近いため、比較的スムーズに通勤できていますし、在宅勤務を活用しているメンバーもいます。 働きやすい環境で、やりたいことにも取り組めていますし、非常に満足しています。
―おふたりとも複数の会社を経験していますが、過去の経験が活きた場面はありますか?
山口:ジャンルとしては前職から自動車関連でしたので、すべての経験を活かせていると思います。現在関わっている製品に限らず幅広く知っていることで、全体のシステム開発のディスカッションでも役に立っていますし、別のセクションと関わる場面でも、スタンスや気持ちを理解できるので円滑に仕事が進められると思います。
藤井:OEMメーカーを経験しているので、車1台ができあがるまでの全体像を把握できていることです。目の前にあることだけでなく、全体を知っていることで、解決しやすいこともあり過去の経験が役に立っていますね。
―今までのキャリアの中でターニングポイントとなる出来事を教えてください。
藤井:新卒で入社した会社では、今振り返ると3年目あたりからただ淡々と仕事をこなしていた時期がありました。当時の主任と飲みに行った際に、「最近、伸びていない」と率直に言われました。もちろん真面目に働いていたのですが、新卒の頃から比べると停滞しているというかダレているように見えたようです。その時の新人が大学院卒の年上の後輩で比べられていたのかもしれません。ただそこから仕事への向き合い方を変えたら、おのずと仕事がやりやすくなったという経験がありました。「そんなに厳しい言い方しなくても...」と当時は思いましたが、私のことを思って叱ってくれたお陰で、ギアを入れることができたのは転機だったと思います。
山口:2社目はスタートアップ企業だったのですが、これから会社を大きくしていくというタイミングで入社しました。自社製品を持たないかわりに 、いろいろな企業や自治体にソリューションを提案する技術営業を経験しましたし、スタートアップ企業ということもあり、手探りの中プロジェクト単位で幅広い業務を任せてもらいました。その結果、自社製品に関わりたいという思いが強くなり、アイシンへ入社するきっかけにもなりました。
安全という当たり前のことを、当たり前に守っていくことの方が実は難しい
―仕事のやりがいについて教えてください。
藤井:自分で考えてやれるというのが一番のやりがいです。まだ入社して1年も経っていないにも関わらず、新しいこともやらせてもらっています。大学との共同プロジェクトなどにも関わらせていただくなど、入社直後でここまで任せていただけることに驚きと、良いプレッシャーを感じながら進めることができています。
山口:チームとして、技術開発と製品開発の両方に携わっていることです。大変ですが自分たちで両方やっているからこそ、相互に知見を活かしながら、実用的な技術を製品開発に反映できる環境があります。 。部署としては、EVや自動運転といった付加価値や新しい技術にフォーカスされやすいのですが、私たちが取り組んでいる安全は目に見えないものであり、派手さはないですが、守れて当たり前の存在です。この当たり前というのは実は大変で、車は人を運ぶ箱であり安全が第一です。事故を無くしたいし、事故のあった時には人を守りたいという気持ちで常に向き合っています。人の命を守るという使命を持ち、仕事に取り組めるのがやりがいでもあります。
―仕事に取り組むうえで心がけていることはありますか?
山口:とにかくいろんな人と楽しく仕事をしたいです。グループ長をやらせてもらっていますが、厳しいことやつらいことがある中でも、楽しくないとチームとしても頭が回らないと思っています。それは社内だけでなく、一緒に関わるメーカーさんに対しても同じです。問題が困難なほど楽しめる人と一緒に仕事するとワクワクしますし、自分もそんな存在でありたいと思っています。
藤井:私も同じく、楽しく熱中して仕事したいと思います。熱中している時は、時間を忘れて取り組んでいますよね。一緒に仕事ができるというのは、なかなかの確率で運命的なすごい縁だと思っています。コミュニケーションを多く取って切磋琢磨したいですね。また、せっかく自分が関わるので、自分なりのカラーを出していきたいです。今までと違うやり方はないか?と探しながら、自分が関わった意義を見出したいと思っています。
―「解析技術部 第1CAE開発室」で同じ目的を共有されていますが、お互いのことをどのように見ていますか?
藤井:山口さんは、出会ったことのないタイプの上司です。今までは基本的にピリついている上司が多かったですが、ここまで自然体でやられている方は珍しいと思います。下からするとストレスがなく、仕事がやりやすいです。
山口:藤井さんは、まだ入社して1年ほどの新しい人材ですが、フロアの中でよく話しており、別のグループや室の人とも仕事につながるようなコミュニケーションを取っています。職場の空気を変えてくれている存在ですね。
エンジニアリングとコミュニケーションの両方の力が必要
―将来の目標やこれから成し遂げたいことなどはありますか?
山口:私たちの仕事は、課題を解決し続けることで、開発プロセスを進化させていくことです。AIなどの技術を活用することで、将来的には人の手を介さずとも回る仕組みが実現できるかもしれません。そうなった時、私たちの役割も新たな価値創造へとシフトしていくはずです。すごく難しいですが、そこをめざして取り組んでいます。
―アイシンで活躍できる人物像について教えてください。
藤井:自分で考えて行動できる人だと思います。私は3社目になりますが、アイシンは自由にやれる風土があるので、そんな環境を求めている人に向いています。以前に比べ、自動車業界全体も変わってきており、実力次第で早く上位の役職に行けるようになっていると感じています。現在、私は主任でチームリーダーという立ち位置ですが、私より若くてグループ長の方もいます。年齢や、新卒入社もキャリア入社も関係ない。多様な方々と高めあっていきたいと感じています。
山口:自分で動いて、いろんな人とコミュニケーションが取れる人だと思います。サプライヤーというポジションですので、会社内でもいろいろな部署の人、お客さまには自動車メーカーもいて、仕入れ先とも仕事をします。実務のシミュレーションだけじゃなく、いろいろな組織や階層の方と話をする必要があるので、エンジニアリングとコミュニケーションの両方の力が必要です。そういった理由で、さまざまな人ともつながりますので、自分のやりたいことがあればいろいろなことに挑戦できる場所だと思います。また、私自身がそうであったように、他社の空気に触れている経験が役に立ちます。新しい価値観や仕事の視点を持った方を重宝していますので、アイシンではキャリアをたくさん採用しています。
※ 記載内容は2025年10月時点のものです
