皆のスキルを底上げしながら、電動ユニットの開発をリード
PT製品企画部は、電気自動車やハイブリッド自動車向けの「eAxle」(イーアクスル)、「1モーター/2モーターハイブリッド駆動ユニット」の開発を行う部署。市場動向やお客様のニーズから開発のロードマップを描く室、お客様への提案活動を行う室、そしてシステム設計を行う室の3つに分かれていて、いわゆる開発の上流工程を担っています。
「その中で私が所属するシステム・制御開発室は、システムと制御開発の担当。私がグループ長を務める第1グループでは、約20人のメンバーと共に、eAxleの性能や効率を最大化させていくための検討を行っています」
グループのメンバーたちは、ベテランから新卒社員までさまざま。システム設計の経験者ばかりではなく、他分野からスキルチェンジしてきた社員が多い点も特徴です。
「会社全体で電動化という新しい領域に力を入れていることもあり、いろいろなバックグラウンドを持った人材が集まっています。
開発のためには、モーターやギヤといったハード面、安全性を担保し、ハード性能を引き出す制御面、車両全体の中での使われ方など、幅広くさまざまな視点から見ることが必要となります。メンバーの総合的なスキル向上をサポートするため、システム設計のプロセスを構築や業務フローを改善することも私の役割です」
メンバーの育成という面からも、グループ長として佐藤が心がけているのは、コミュニケーションだと話します。
「話しづらい雰囲気は仕事にも良い影響を与えません。年代も経験も異なるメンバーたちということもあり、仕事の話だけではなく、気軽な雑談もできる雰囲気を大切にしています。定期的に行う1on1ミーティングも、形式的にならないよう気をつけています。
初めは会話が続かないこともありますが、継続していくことが大事。困り事があれば自ら声を上げてくれるような関係をめざしています」
レース開発の現場で磨かれた、車全体を見る広い視野と洞察力
学生時代は電気電子工学を専攻し、モーター制御などを研究していた佐藤。当時はハイブリッド車が世の中に出始めた時期で、研究を活かした仕事ができると考えたことが自動車業界に進んだ理由でした。
「周囲にも自動車業界に進む人が多く、実は現在のグループにも研究室の仲間がいます。私自身がアイシンを選んだのは、パワートレイン製品のサプライヤーであれば、自分が製品に直接関われると感じたこと。
また、アイシンが立て続けに世界初のユニットを開発していて、その技術力に惹かれたことが理由です」
2007年の入社後は、ハイブリッド車の技術開発を行う部署でレース用のeAxle開発に携わることになります。
「正直なところ、レースの世界に興味があったわけではなく……、あまり知識がありませんでした。ちょうど自動車メーカーと共同でル・マン24時間レース向けのeAxle開発を始めるタイミングだったこともあり、仕事を覚えながらレースについても学んでいきました」
思いがけない配属だったものの、そこから約15年にわたりレース開発一筋で歩むことに。毎年のレースに向けて開発していくスピード感と緊張感のある環境で仕事をする中で、成長につながる失敗もしたと振り返ります。
「3年ほど経った頃、車両評価に立ち会うことになったのです。その際、私たちが手がけたユニットが故障してしまったのですが、その異変に気づくことができませんでした。
当時の私は、自分が担当する制御に関する部分ばかり見ていて、ハードウェアの知識が足りていなかった。ましてや、車両での使われ方の理解が足りないまま立ち会っていたため、異変を見落としてしまったのです。お客さまから『それでは現場に来ている意味がない』と指摘されたことで、自分たちが関わる意味をあらためて見直しました。
それ以来、担当する領域とつながる部分、車両全体での使われ方、ドライバーからの視点など、今までより一歩上、もっと広い視野で考えるようになりました。その後も、誤った制御定数を設定し、評価中に車両を止めてしまうといったミスもありましたが、失敗したからこそ成長できたと感じています」
少数精鋭の環境から多様なメンバーを活かす立場へ。管理職としての新たな挑戦
レース用eAxleの開発で経験を積んできた佐藤は、入社8年目にはお客様のレースチームに半年間派遣され、制御担当としてレース活動も経験。これまでの失敗から学んだ教訓を活かし、自身の成長に手応えを感じる出来事もあったと言います。
「レース本番中に、eAxleの動作に異常が見られる場面があったのです。このまま走り続けると車が止まってしまう、レースに負けてしまうと判断し、eAxleのモーターの負荷を減らす調整をした方がいいと提案しました。
その後、車は走り続けることができたので、完走に貢献できたのではないかと思います。数々の失敗を経たことで、走行時のデータを多角的な視点でよく見ること、車両の中で自分たちのユニットがどう動いているのかという目線を持つことを大切にしていたので、異変に気がつくことができました」
その後、パワートレイン製品の制御に特化した部署へ異動し、2021年に課長に昇格。また同年、株式会社アイシンへ統合し、現在のPT製品企画部へ所属する。少数精鋭のレース開発から、経験もスキルもさまざまなメンバーが集まるチームの管理職へと立場が変わったことで、これまでの経験に新たなアプローチを加えながらメンバーの成長を支援しています。
「レース開発は、技術を鍛えることを目的として、毎年新しい技術を開発する必要があるため、間違えてもいいからすぐに答え出して検証することを繰り返すスピード感があります。
また、レースに勝つという目標に向い、全員が一丸となって勝つための品質を追い求めます。皆で良いものを追い求めるという点は今も同じ。その中でとくに重視していることは、メンバー自身に考えてもらうことです。
私自身、若手のうちからさまざまなチャレンジの機会を与えてもらえたことや、自分で答えを模索してきたことで成長できたと感じていますから。現在はキャリアの浅いメンバーも多いため、自分で考えながら進めていく経験が大切だと感じています」
まずはやってみる。アイシンならではの文化で成長できる環境づくりを
管理職になって4年ほど。試行錯誤しながらも、新たなやりがいも感じています。
「できることが増えていくメンバーの姿を見られることに、本当にやりがいを感じます。とくに、今までできなかったことを自発的に行動するようになった様子を見られるのが嬉しいですね」
自らがそうだったように、若手のうちからチャレンジの機会を多く与えてくれる環境がアイシンの魅力だと言う佐藤。今度は自分が、その機会を与えていきたいと話します。
「私が失敗から学んだように、経験しなければ見えてこないものもあります。アイシンには、『まずはやってみよう』という文化がありますし、挑戦したいことがかなうフィールドもあります。モノを作って検証することで、わからないことを理解していくことを後押ししてくれるのです。この部署でも、そういった機会をもっと増やして、メンバーがいろいろなことに挑戦できる環境を作っていきたいですね。
また、管理職同士でお互いの取り組みや悩みなどを共有できる場もあるので、他の部署の良い取り組みを取り入れながら、皆の成長をサポートしていきます」
昨年からは、公益社団法人自動車技術会が主催する学生フォーミュラのEVワーキングに所属し、EV車両の審査員も務めている佐藤。自動車業界のさまざまな企業と接する機会が増えたことで、さらに視野が広がり、それが今後の目標にもつながっています。
「アイシンは部品メーカーでありながら、システム全体、車両全体で車づくりを考えられる点が強みです。自動車業界は近年、車両とドライバー、車両と地域が連携するような車づくりに力を入れているので、私もいずれ、そういった人・社会とつながりを身近に感じるような領域にも挑戦してみたいと考えています」
※ 記載内容は2024年12月時点のものです
