命に直結するブレーキだからこそ、品質保証の責任は重く、そして広い
私が現在担当しているのは、ブレーキシステムの品質保証業務です。アドヴィックスはブレーキシステムの専業メーカーとして、世界中の自動車メーカーへ製品を供給しています。品質保証とは、製品が設計通りの性能・安全性を満たしているかを開発段階から量産・市場に至るまで一貫して確認・担保する仕事です。その業務範囲は非常に広く、開発の初期段階から量産ライン、さらには市場に出回った後の品質管理まで、製品のライフサイクル全体に関わります。
ブレーキは、車を安全に止めるための最も重要な装置のひとつです。不具合が起きれば、それは直接人命に関わる問題になりかねません。だからこそ、私たちが担う品質保証の仕事には、他の製品では求められない水準の厳格さと責任の重さがあります。日々の業務の中でその重さをひしひしと感じながら、同時に「自分の仕事が社会の安全を支えている」という確かなやりがいも感じています。
業務の特徴として印象的なのは、メカ(機械)・エレキ(電気・電子)・ソフトといった複数の技術領域を横断的に担当できる点です。ブレーキシステムは機械的な構造だけでなく、電子制御やソフトウェアが複雑に組み合わさって成り立っています。品質保証の担当者として、それらすべての観点から製品の品質を確認・評価していく必要があるため、自然と幅広い技術知識が身についていきます。前職で培ってきた電気技術の知識が直接活かせる場面も多く、これまでの経験が無駄になっていないと感じられることも、この仕事を続ける上での大きな支えになっています。
この仕事において私が大切にしているのは、「品質に妥協しない姿勢」と「部門を超えた連携を惜しまないこと」です。品質の問題は、ひとつの部署だけでは解決できないことがほとんどです。設計・製造・調達・営業など、さまざまな部門と情報を共有し、課題に対して一丸となって取り組むことが、最終的に安全な製品をユーザーへ届けることにつながると考えています。専業メーカーだからこそ、ブレーキの品質に真剣に向き合う文化が社内に根付いており、その環境の中で自分の専門性を高めながら成長していけることに、大きな意義を感じています。
前職では語れなかった「なぜ」に向き合い続けるキャリアへの転換
私がこれまで歩んできたキャリアと、アドヴィックスに入社した経緯についてお話しします。
前職では品質やものづくりに関わる業務を経験してきましたが、詳細は控えさせていただきます。ただその中で、品質保証という仕事に携わるようになった背景に「ものづくりにおいて、品質を守ることの意味を深く問いたい」という思いがあったことは確かです。
アドヴィックスという会社を知ったとき、まず驚いたのはその製品の性質です。ブレーキという、自動車の中でも「止まる」という最も基本的かつ命に関わる機能を担うシステムを専門に扱っている。それだけでも、品質保証として担う責任の重さが他とは大きく異なることが想像できました。
多くの企業では、品質保証の役割が開発・製造・市場といった各フェーズで細かく分業されています。大手であるほどその傾向は強く、担当領域が限定されることで、製品全体の品質に自分がどう貢献しているかを実感しにくい場面もあります。しかしアドヴィックスでは、開発段階から量産移管の可否判断、量産後の不具合対応、そして市場に出てからの再発防止策の構築まで、品質保証が一貫して関与します。製品のライフサイクル全体を見渡しながら、品質に関するあらゆる判断を担う。そういう環境で働けることが、転職を決意した大きな理由のひとつでした。
また、ブレーキシステムという製品の特性上、メカニカルな機構だけでなく、電子制御やソフトウェアにも深く関わる必要があります。メカ・エレキ・ソフトという複数の技術領域を横断的に学びながら品質を守る仕事ができる環境は、品質保証としての専門性をより広く、深く磨ける場所だと感じました。一つの領域に閉じず、製品全体を理解しながら判断を下せる人材になりたい。そのためのフィールドとして、アドヴィックスはまさに理想的でした。
「安全・安心な社会」を守るという使命の重さと、それを最前線で担う品質保証としての役割の広さ。この二つが重なっている会社は、そう多くないと思っています。だからこそ、ここを選びました。
「この対策なら安心できます」お客様の言葉が、今も忘れられない原点
品質保証の仕事の幅広さを最初に実感したのは、入社2年目のことでした。回生協調ブレーキ(走行中にモーターで発電しながらブレーキをかける電動車向けの制御技術)の新製品立ち上げに携わることになり、開発初期の設計段階から参画する機会を得ました。
設計レビューへの参加や試作時の評価方法の検討に始まり、生産準備の段階では工程設計や検査体制の構築、製造設備の妥当性確認まで担当しました。量産が始まると、今度は工程内での品質管理や異常発生時の対応が加わります。さらに仕入先の選定・品質監査、仕入先で起きた不具合への対応も行い、気づけば、サプライチェーン全体の品質確保に深く関わっていました。品質保証というと「検査をする仕事」というイメージを持たれることが多いですが、実際にはものが生まれる瞬間から市場に届いた後まで、一貫して製品の安全を見守り続ける仕事なのだと、この経験を通じて強く実感しました。
そして、成長という意味で今でも記憶に残っているのが、担当製品で重要不具合が発生した際の対応です。複数の部署や仕入先と連携しながら、不具合の現象解析、影響範囲の特定、現地・現物での確認作業と、泥臭い調査を積み重ねていきました。
当初はとにかく苦労しました。専門知識も技術力も十分ではなく、関係者に自分の考えを論理的に伝えるコミュニケーション力も不足していたため、なかなか周囲を納得させることができなかったのです。何度も壁にぶつかりながらも、各部署の担当者と丁寧に対話を重ね続けることで、問題の本質に近づいていきました。その過程で専門知識が少しずつ身につき、やがて根本的な解決策を導き出すことができました。
お客様への再発防止報告を行ったとき、「この対策なら安心できます、ありがとうございます!」という言葉をいただきました。命に直結するブレーキを扱う仕事だからこそ、その言葉の重みは格別でした。この経験は今でも自分の仕事への向き合い方の原点になっています。
この案件を通じて学んだのは、品質保証の仕事が単なる評価・検査に留まらないということです。課題解決に向けて周囲と協力し、提案力や調整力を発揮しながら、製品や工程に関する幅広い知識と論理的思考力を磨き続けることが求められます。メカ・エレキ・ソフトそれぞれの専門家と連携し、異なる領域の課題に対応していく中で、自分のスキルや視野が広がっていくのを実感できる。それが品質保証という仕事の大きな醍醐味だと思っています。
「命に関わるブレーキだからこそ」品質の先にある未来へ挑み続けたい
今後挑戦していきたいことのひとつは、新製品の立ち上げや新規工法の導入プロジェクトに、より主体的に関わっていくことです。これまでの品質保証業務を通じて培ってきた知識や経験を活かしながら、製品開発の初期段階から品質づくりに貢献したいと考えています。問題が起きてから対処するのではなく、想定される不具合をあらかじめ防ぐ「未然防止」の取り組みや、効率的な生産体制の構築に携わることが目標です。
自動車業界は今、電動化や自動運転技術の進展という大きな転換期を迎えています。ブレーキシステムにも新しい要求や課題が次々と生まれており、これまでの経験だけでは通用しない局面も増えていきます。だからこそ、最新の技術や工法に積極的にチャレンジしながら、品質保証の視点から新しい価値を提案できる存在になりたいと思っています。変化の激しい時代だからこそ、学び続ける姿勢が何より大切だと感じています。
グローバルな領域にも、さらに挑戦していきたいと考えています。海外拠点や多様な文化・価値観を持つメンバーとの連携業務を通じて、世界共通で高い品質を実現するための仕組みづくりに貢献したいと考えています。また、以前の海外赴任では現地の工場や仕入先とのやりとりを通じて多くのことを学びましたが、機会があれば今度は異なる立場で再び赴任し、現地の仲間の育成や組織の発展にも関わっていけたらと思っています。
アドヴィックスへの入社を検討されている方へ、ひと言お伝えするとすれば、「責任の大きさと成長の幅が、ここでは比例している」ということです。ブレーキは人の命に直結する製品です。その品質を守る仕事は、決して楽ではありませんが、だからこそ得られるやりがいと達成感は格別なものがあります。開発から市場対応まで一貫して品質に向き合い、メカ・エレキ・ソフトにまたがる幅広い領域で経験を積める環境は、大手では必ずしも得られないものだと感じています。新しいことへの好奇心や、困難な状況でも粘り強く取り組める方にとって、ここには大きく成長できる環境があると思います。品質保証の経験を持つ方はもちろん、この仕事に誇りと責任感を持って挑みたいという方と、ぜひ一緒に働きたいと思っています。
