「違和感があれば徹底して確認する」EPBのメカと制御を担う設計者の流儀
現在は、EPB(電動パーキングブレーキ:電気モーターを使って駐車時のブレーキをかける装置)のメカ設計と制御設計を担当しています。中国やインドのお客様向けのプロジェクトを中心に、仕様検討から評価まで幅広く携わっています。
もともとエレキ(電子回路・電装系)部品のハード設計や評価、システム設計を担当してきた経緯があるので、現在のメカや制御の領域とは異なる部分も多く、日々勉強の連続です。それでも、これまでの経験を活かしながら判断を任せていただける環境に、設計者としての手応えを感じています。
仕事を進める上で大切にしていることは、「ブレーキの知見がまだ十分でない分、少しでも違和感を覚えたことは徹底して確認する」という姿勢です。知識の不足を自覚しているからこそ、曖昧なまま流さず、一つひとつ丁寧に向き合うことを自分に課しています。
また、チームにはまだ経験の浅いメンバーも多いため、自分が得た情報やノウハウをきちんとシェアしながら協力して進めることも意識しています。個人の力だけでなく、チーム全体で課題を乗り越えることが、この仕事の醍醐味だと感じています。
メカと制御の「距離」を縮めたい。分野を超えた設計者をめざして転職を決意
前職では、自動車用ランプの制御やエレキの開発を担当していました。制御とエレキは比較的近い領域にあり、日々の業務の中で自然と連携しながら開発を進めることができていました。ただ、どうしても気になっていたのが、メカ(機械設計)と制御の間にある距離感です。メカと制御は担当領域が分かれており、部品単体の開発に留まってしまうことに物足りなさを感じていました。
自動車開発に携わる以上、システム全体を見渡せる設計者になりたい。メカ・エレキ・制御という分野を横断しながら、車両の基幹部品の開発力を身につけたい。そう考えたことが、転職を考えた大きなきっかけでした。
転職活動の中でアドヴィックスに出会ったとき、「メカと制御が近い距離で開発に取り組んでいる」という点がすぐに目に留まりました。私自身、制御やエレキの経験を活かしながら、さらにメカ領域にも踏み込みたいと考えていたためです。自動車部品メーカーとしては比較的若い会社ですが、さまざまなバックグラウンドを持つ人材が集まり、経験に裏打ちされた技術力と若い世代のエネルギーが融合している印象を受けました。アイシングループという安定した基盤もあり、制御・エレキの経験を活かしながらメカ領域にも踏み込み、システム全体を見渡す設計者を目指せる環境だと感じ、入社を決意しました。
ブレーキの重みが教えてくれた、安全設計の奥深さ
入社後にまず驚いたのは、ブレーキ部品の物理的な重さでした。「メカ部品がとにかく重たい!」というのが率直な第一印象でした。ブレーキは車両の安全を支える根幹部品であるため、重量物になることは理解していましたが、実際に部品を手にしながら開発に携わることで、その存在感と重要性を改めて実感しました。
そして、開発を進める中で感じたのは、ブレーキ部品が車両全体に与える影響の大きさです。取り付け位置や重量バランスの変化は、走行性能や他部品との干渉にも影響します。一つひとつの設計判断が車両全体につながっているため、前職以上に「安全を支える製品を開発している」という責任感を持つようになりました。
現在担当しているEPB開発では、メカ設計だけでなく制御設計にも携わっています。顧客の要求仕様をもとに量産仕様を検討し、評価まで一貫して関わるため、設計と評価の両面から製品を見る視点が身につきました。設計根拠や安全面の検証にもより丁寧に向き合うようになり、「なぜこの設計でなければならないのか」を自分の言葉で説明できる力が着実についてきていると感じています。
また、制御開発ではソフトウェア開発部隊と連携する機会も多くあります。前職で培った制御・エレキの知見を活かしながら、メカやソフトの視点も取り入れて設計を進めることで、部品単体ではなくシステム全体を見渡して考える機会が増えました。領域を越えて開発に関われることは、アドヴィックスで働く大きな魅力の一つだと感じています。
「過去の知見は無駄にならない」EMBへの挑戦と、次世代エンジニアへのメッセージ
これからどんなことに挑戦していきたいかと聞かれると、やはりブレーキという製品そのものへの思いが浮かびます。形は変わっても、ブレーキはこれからの自動車にとって絶対になくならない存在だと確信しています。電動化や自動運転が進む中で、より静粛に、よりなめらかに、そしてより安全にという要求は高まる一方です。だからこそ、これまで積み上げてきたキャリパ設計(ブレーキを構成する部品のひとつで、車輪の回転を止める制動機構)の知見は、決して過去のものにはならないと思っています。
その知見を活かして、EMB(電動機械式ブレーキ:電気モーターで直接制動力を発生させる次世代ブレーキ技術)のような新しい領域にも積極的に関わっていきたいと考えています。過去の技術に頼り切るのではなく、その知見を活かしながら、より良い製品を生み出していく。そういうエンジニアであり続けたいというのが、今の率直な思いです。
最後に、入社を検討されている方へお伝えしたいことがあります。アドヴィックスには、本当にさまざまな個性を持った人たちが働いていて、会社全体としても良い意味で若くてチャレンジしやすい雰囲気があります。自分の意見をしっかり持ち、それを形にしていきたいという方には、特に向いている環境だと感じています。私自身も、エレキ開発の経験を活かしながらメカや制御の領域に挑戦し、設計者としての視野を広げることができました。メカ・エレキ・制御・ソフトといった専門領域の枠を越えて、システム全体を見渡せる設計者を目指したい方には、大きなチャンスがある環境です。自分の考えを大切にしながら成長したい方にとって、アドヴィックスは挑戦の機会が多くある環境です。ぜひ一度、選択肢の一つとして考えてみてほしいと思います。
