測る力、つなぐ力を磨きながら、まだ見ぬ可能性を探る
私が所属するマーケティング本部イノベーションセンターは、140名ほどで構成されている研究開発組織です。複数部門に分かれていて、中でも私はセンシング研究開発部 センシングデバイスグループにて、光ファイバセンシングという技術の研究開発を手がけています。
BOCDA(Brillouin Optical Correlation Domain Analysis)という方法を使った光ファイバセンサシステムを研究開発するのが主な仕事です。BOCDAとは、誘導ブリルアン散乱という物理現象を用いて、物の温度やひずみを計測する技術。温度変化やひずみを常にモニタリングしておく必要があるもの、つまり、壊れたり止まったりしてはいけないものを適切に管理するために役立ちます。
この方法は光ファイバを対象物に貼り付ける、もしくは埋め込むことで、物質を問わずどんな対象物でも計測できます。また、今は研究中ですが、橋梁や道路などの社会インフラの測定、ロケットや月面基地などの宇宙向けの測定などに応用できると考えています。しかし、まだまだ課題はあるので、測定精度・速度の向上や、測定機の軽量化など、さまざまな改善に着手しながら、技術向上を追求する日々です。
また一方で、社長直轄の組織横断型チーム「未来共創イニシアチブ」にも積極的に取り組んでいます。この活動では、「超長期の世界観」、「共創人財育成」、「価値共創ネットワーク形成」をテーマに掲げ、さまざまなステークホルダーとの対話を通じて、ラーニングコミュニティの運営など、プロジェクトを推進しています。
メンバーは多様な部門から集まるミレニアル世代が中心で、共通の世界観をシナリオプランニングによって描きながら、バックキャスティングやアウトサイドイン、システム思考、Cレベルとの対話術を学んでいます。社内外の業界や職種、世代を超えた経営者やエキスパートとの邂逅(かいこう)と対話を通じて、偶発的な価値創出の可能性を実感し、メンバーは自発的に活動に参加しています。
2021年4月に発足した本活動の対話に参加した企業は、すでに200社以上。目まぐるしく変化するこの時代において、当社はどのように社会に貢献していけるのか。B to B、B to C問わず、いろいろな企業と対話をする中で、私たちの視点との相違点に気づき、お互いの立ち位置の違いからくる認識のギャップから新しい気づきや学びを得ることも多々あります。当社の「測る力」「つなぐ力」を活かし、将来的には新しい価値を創造し、新規事業に取り組めたらと思っています。
横河電機との出会いは学生時代の共同研究。技術力の高さと誠実さに心が動いた
学生時代は、理工学部で情報通信、計測について学んでいました。そんな当時、横河電機との共同研究に取り組む機会がありました。
今の仕事内容と同じセンシング分野の研究でしたが、電気光学効果を用いた電圧・電界センシング技術に関する研究開発に従事。これにより非常に薄くて軽いフィルム状の有機薄膜太陽電池の非接触電圧測定が可能となりました。このときの共同開発メンバーが横河電機の研究チームで、まさに今私がいる部署だったのです。
学生だった私は、横河電機の社員に感銘を受けました。何を聞いても丁寧に、的確に答えてくれる社員ばかりで、技術力の高さと誠実さに心が動いたのを覚えています。ほかにも、実験室の設備が充実していたり、会社自体がすごくきれいだったり、トレーナーさんやその上司の方がとても良くしてくださったり。好印象で、ここに入社したいと思ったんです。
こうして2015年に入社した私は、学生時代に引き続き、電気光学効果を用いたセンサの研究開発に参画しました。
仕事として研究に入って思ったのは、やはり大学とは違う世界だということ。基礎的な研究だけではなく、いかにお客さまにとって価値ある技術を作っていくかが問われるのを感じました。部署内の審査会やレビュー、学会発表の際にも違いを感じましたし、お客さまに直接技術を売り込みに行くときには、意図を伝える難しさにも直面しました。困惑したものの、学生時代にはなかった感覚で、非常に学びが多かったです。
2023年からは、現在の光ファイバセンシングの研究を担当し、計測する対象物の規模が、デスクトップサイズのデバイスから大型の構造物に変わりました。これに伴って、ゼネコンをはじめ、まったく異なるフィールドのお客さまと対話する必要に迫られました。その際、役に立ったのが「未来共創イニシアチブ」で多様な業界・立場の人々とコミュニケーションをとってきた経験でした。
3カ月の育児休職を取得。新生児と過ごした時間はかけがえのない宝に
2021年5月には第一子が誕生し、プライベートにも大きな動きがありました。そのタイミングで3カ月間の育児休職を思い切って取得。育児休職を取る男性社員が周囲にいたこともあって、迷うことなく決断できました。はじめての子育てを前にできるだけ長い休暇を取りたかったものの、金銭面の問題もあるので、同じ部署に務めている妻と話し合って3カ月という期間で申請。期間中、会社からの連絡は最低限のみで、育児に専念することができました。
当時の私は電気光学センサの分野でチームリーダーを務めていて、育児休職中はプロジェクトそのものが一旦お休みするかたちをとってくれました。そのため、復帰もスムーズで、以降はテレワークも利用しながら、育児にも負担の少ない働き方を続けられています。
今は、朝、子どもの保育園への送りは私が担当し、夕方の迎えは妻が担当しています。テレワークの日は迎えも私が行う日もあります。当社は育児中の社員への配慮が手厚く、1日にトータル2時間であれば就業時間中に育児に活用してOKという「育児時間」が設けられています。そのため、30分遅れて出社したり、夕方に1時間早めに退社したり。子どもが熱を出したり、ケガをしたり、育児では予想できないハプニングが起こりがちですが、そんな時でもフレキシブルに時間を使える制度は本当に助かります。
育児休職を取ったことで、社内で子どもの話題で話しかけられることも増えました。同じ時期に子どもが生まれた人や、これから子どもを持つ予定の人などから、質問を受けることも多いです。
そんな皆さんに伝えたいのは、3カ月という短期間ではありましたが、新生児の貴重な時間を一緒に過ごせたことは、私の人生にとってかけがえのないものになりました。育児休職の制度が充実していたこと、かつ気軽に取得を申請できる職場環境があったことに本当に感謝しています。個人的には、すべての親が育児休職を利用して、育児と向き合えるようになればいいなと思います。
最近は、研究の仕事と子育てのバランスを取るために、今までにはない頭の使い方をしています。職業柄、学会発表やお客さま先への訪問などで1週間程度の出張が定期的にあり、子どもと会えない日々が続きます。
そういう時に子どもと会えないのはすごく寂しい……。そのため夜中になっても1泊せずに頑張って帰宅したり、新幹線の中で夜ご飯を済ませたり。家族と過ごす時間を増やしています。出張前後はなるべく仕事を早く終えて家のことをやるなど、妻の負担も考えながら、仕事と家庭の両立をめざしています。
これまでにない革新的な取り組みで、横河電機の未来をつくりたい
5年後、10年後に私が見据えているのは、研究を牽引する立場になることです。
現在、従事している光ファイバセンシングの分野は、2023年から着手したばかりで、まだまだ半人前。技術をしっかり学び、身に付けたあかつきには、私がリーダーとなって、この研究テーマを引っ張っていけるような存在になりたいと考えています。お付き合いのあるお客さまから期待を寄せていただいている分、それに応えるパフォーマンスをしていきたいと思います。
具体的な目標は大きく2つあります。
ひとつは、当社の存在をまだ知らないお客さまに、我々の高い技術力を認知していただくきっかけを作りたいです。もうひとつは、現在、当社が力を入れ始めている宇宙関係の事業を強化することです。光ファイバは細くて軽いという特徴があることから、宇宙船や月面基地などでも欠かせないセンサとして利用されるようにしたいです。
時代が進化しているので、従来と同じことを続けるだけではではなく、新しい挑戦が必要です。当社はこれから一兆円企業になることをめざしていて、それは今の単なる延長線上だけでは難しいと考えています。革新的な、新しいことを仕掛けないといけません。「未来共創イニシアチブ」などはその取り組みの一端を担っています。5年後、10年後に花開くような技術を研究することをミッションに、これからも挑戦を続けたいと考えています。
当社の測る力とつなぐ力で、地球の未来に責任を果たしながら、新しい価値の創造に挑みます。そんな当社には、コツコツと技術を磨きながら、アクティブに新しいことにも取り組めるような方がこれから仲間になってくれたら、とても頼もしいです。
※ 記載内容は2024年11月時点のものです
