変動する市場で磨かれる判断力。山梨と世界をつなぐグローバル投資戦略を目指して
手塚が所属する市場国際部は、国際業務と市場業務を統合した部署です。山梨中央銀行の国際化戦略と有価証券運用の両面において、山梨と世界をつなぐ懸け橋として重要な役割を果たしてきました。
「市場国際部は、市場企画課、市場業務課、市場事務課の3つの課で構成されています。このうち、私が所属しているのは市場業務課です。現在、9名の行員が在籍し、株式や債券、そのほかの有価証券の運用を担当しています。
市場業務課では、国内の債券や株式だけでなく、外国債券や外国株式などの海外証券も扱っているため、海外の経済指標や政治情勢の情報収集と分析が欠かせません。また、国際的な金融規制や市場の動向をグローバルな視点で分析し、それに基づいた投資判断を行うことも、私たちの重要な役割の1つです」
手塚の一日は、出社前にニュースをチェックすることから始まります。
「毎朝、まずは前日の相場の動きを確認します。出社後は、マーケットの分析結果をもとに株式や債券の売買を判断し、証券会社を通じて注文を行うことが主な業務です。
また、運用している資産の状況をモニタリングしたり、相場の動向や自行のポートフォリオの運用状況をまとめて経営層や他部署に報告するための資料を作成したりもしています」
市場国際部に配属されて約1年半になる手塚。仕事の難しさと面白さは、常に隣り合わせだと言います。
「マーケットは毎日変動するので、自分の気持ちがそれに振り回されることがあります。例えば、株価が大きく下落したとしても、その後は上がる見通しを待っているのであれば買うべきですが、恐怖心からためらうことも多く、そこが難しいところです。
また、ベテラン行員から『マーケットには正解がない』とよく言われる通り、どれだけ経験を積んだ人でも、相場を読み間違えることがあります。時には、上司の判断が誤っていて、自分の考えが正しかったということもありえます。そこに、この仕事の面白さがあると感じています」
そんな手塚には、市場国際部の一員として大切にしてきたことがあります。
「毎日新しい情報が入ってくるので、常に勉強しなくてはなりません。市場国際部では、ベテラン行員たちも日々学び続けているので、少しでも追いつこうと思えば、人一倍努力が必要です。そこは強く意識しています。
日々の小さな動きに振り回されないことも心がけてきました。自分が描いたシナリオが崩れない限り、芯を持ち続けることが大切だと感じています。そのためにも、投資行動の根拠となる緻密な分析が何より重要です」
融資営業から証券アナリストへ。制度を利用した資格取得が開いた新たなキャリアの道筋
山梨出身で、地元志向が強かった手塚。山梨中央銀行を選んだのは、大学で学んだ経済の知識を活かし、地域に貢献したいと考えたからでした。
「大学では経済学を専攻し、マクロ経済のゼミで、経済の仕組みや中央銀行の役割などを学びました。銀行業界を志望したのは、経済やマーケット分析の知識を仕事で役立てたいと思ったからです。
さらに、慣れ親しんだ地元で働けることが、山梨中央銀行を選んだ決め手になりました」
入行後、手塚は山梨県内の営業店に配属され、預金業務と融資事務を担当し、5年目に東京都内の営業店へ。渉外業務を経験し、約4年半にわたり融資営業を担当しました。
「私はあまり話し上手なタイプではありません。それでも、多くのお客さまとやりとりする中で、少しずつコミュニケーション力が上がっていきました。
また、市場国際部では事務作業も多く、銀行の決算に関わる業務など、注意を要する場面が少なくありません。融資事務で培った経験が今の仕事に活きていると感じています」
融資営業を始めて3年ほどした頃、手塚にとって大きな転機が訪れました。
「以前、他行で働く大学時代の友人が、証券アナリストの資格を取得したという話を聞いたんです。当時は融資営業を続けていくつもりでしたが、友人の話を聞いていたこともあり、頭の片隅では新しいことに挑戦する機会を意識していました。
そんな時に目に留まったのが、当時あった『高難度資格取得支援制度』です。これは、証券アナリストや中小企業診断士などの資格取得を目指す行員に、TAC(資格取得の専門予備校)の受講料を銀行が負担し、資格取得を支援する社内制度です。大学で学んだことを活かせる、またとないチャンスだと感じて応募したところ、対象者に選ばれました。
証券アナリストには、経済学の知識が必要です。学生時代の勉強を思い出しながら、学びを深めていきました」
証券アナリストの一次試験に無事合格した手塚。その後、キャリアが大きく動き始めます。
「トレーニー制度に応募し、市場国際部へ移りました。これは、希望する部署での業務を半年間経験できる社内制度で、本人が希望し、適性が認められれば、その部署に残ることができます。
証券アナリストの一次試験に合格したことで自信がつき、自身のキャリアを見直したいと考えていた時期でもあったため、思い切って決断しました。
営業店では中堅的な立場だったうえに、減員となってしまうので、私が異動することは痛手だったと思いますが、当時の支店長が『キャリアを自分で選ぶのは良いことだよ』と快く送り出してくれたことが印象に残っています」
異動を機に広がった視野とキャリア。市場分析と投資判断のスペシャリストを目指して
2023年に市場国際部へ正式に異動した手塚。まずは新たな環境での基礎固めに取り組みました。
「投資行動においては、皆と同じタイミングで同じ方向に動くだけでは大きな利益を得られません。成果を挙げるためには、より早く市場のトレンドをつかむことや、市場のギャップを捉えることが重要です。その前提として、まず共通認識を理解することが必要でした。
市場の動きを把握することが最初のステップです。前日の米国市場の動きや週間の動きをまとめ、報告・発表するのが初めの仕事でした。
また、ブルームバーグ端末(金融プロフェッショナル向けの情報端末)を使った情報収集の方法も、早い段階で習得しました」
そんな手塚が最初に直面したのが、学んできた知識と現実のマーケットとの壁。キャッチアップしようと懸命に励んできました。
「証券アナリストの試験内容は理論が中心です。金融市場の動向や分析にはもともと興味があって、それなりに自信も持っていましたが、実際のマーケットの動きとは大きなギャップがあり、全然通用しないと知ってがくぜんとしました。
成長するためにはひたすら勉強し、日々マーケットの動きを追いながら経験を積むしかありません。自分の考えと見通しをしっかり持つとともに、時には他の人とは違う視点を持つことも重要です。その見通しを裏付けるための分析力を身につけようと努めてきました」
そして現在、手塚は自分の投資スタイルの確立に向けて取り組んでいます。
「例えば、経済指標をもとにした分析が得意な人もいれば、株価のチャートや需給動向を見ながらトレンドを把握する人もいるなど、それぞれに独自のスタイルがあります。
上司に意見を聞くこともありますが、それはあくまで上司の考え方。結局は、自らさまざまな手法を試し、失敗を重ねながら、自分なりの流儀を築き上げることが大切です。
教科書は自分でつくるしかありません。重要なのは、自分で考え、間違えたときにどう反省し、次に活かすかだと思っています」
トレーニー制度を利用してキャリアチェンジを果たした手塚。市場国際部でのキャリアの可能性を実感しています。
「営業店と市場国際部では、仕事の内容がまったく異なります。営業店にいた時と比べて、視野が大きく開けました。さらに、市場国際部には、市場取引業務だけでなく、リスク管理業務など、経験を活かして活躍できるさまざまな業務があります。キャリアの選択肢の幅も広がりました」
市場国際部で広がる可能性。知識と経験、独自の視点を武器に次のステージへ
営業店を経験してきた立場から、市場国際部の魅力について手塚は次のように語ります。
「知識や経験、そして独自の視点を活かして、銀行全体の投資方針に影響を与えられる可能性があります。これは、市場国際部ならではの大きな魅力です。
また、市場国際部では1兆円規模の資金を運用しています。私は普段、10億~50億円の案件を扱っていますが、これは営業店にいた時には扱ったことのない規模です。時には億単位の収益を生み出すこともあり、莫大な金額を扱える点にもやりがいを感じています。
働きやすさも魅力の1つです。相場が大きく動くようなときは迅速な対応が必要となりますが、急な来客などはほとんどないので、突発的な対応に追われることは少なく、有給休暇も取りやすいと感じています。フレックスタイム制度を活用している方も多く、ワークライフバランスも良好です」
キャリア11年目を迎える手塚。市場国際部での経験を土台に、さらに高みを目指すつもりです。
「市場国際部でキャリアを積んだ方々は、社内のさまざまな部署で活躍しています。まずは知識と経験をしっかり身につけることが、今の私の目標です。その後のキャリアをどう進めるかは、それから考えようと思っています」
そして最後に、キャリアに悩む行員に向けて、手塚はこう語りかけます。
「市場業務と聞くと、ハードルが高いと感じる方もいるかもしれませんが、今の時点で専門知識がなくても心配はいりません。大切なのは、マーケットに関心があることと、学び続ける姿勢です。マーケット分析においては、昨日重要だったことが、今日にはもう重要でなくなっていることがよくありますから。
当行には、トレーニー制度だけでなく、本部の専門部署の仕事を体験できるジョブトライアル制度もあります。まずはこうした社内制度を利用して、職場の様子や、私たちがどのように仕事をしているかを知ってほしいですね」
山梨と世界をつなぐ懸け橋となるために、手塚はこれからもグローバルな金融市場に挑み続けます。
※ 記載内容は2024年10月時点のものです
