ワインのことはなんでも相談してほしい。銀行ならではの連携と深掘りによる価値提供
竜沢が所属するコンサルティング営業部は、業界動向や事業特性などの専門性の高い知識を持った行員がコンサルタントとして活動しています。
「私は地元のワイナリーに出向した経験から、ワインを担当しています。また、農業や1次産業の担当としても活動中です。ワインは、その原料であるブドウ栽培も重要で、山梨は生食用のブドウ栽培も盛んであることから、農業や1次産業についても幅広く担当しています。
行内では、ワインや農業に関することは、どんな小さいことでも気軽に相談してほしいと伝えています。そのため、私自身も普段からワイン関連の情報収集に努めています」
ワインや農業という分野は、地方銀行にとって担当する機会が少なく、“知らない業界”という意識が根強いと竜沢は言います。
「特にワインや農業という分野は、お客さまとの会話の中で業界独自の言葉が出てきた際に、その言葉が指す事柄がイメージしにくいので、実感として理解が進まないのではないかと思います。その結果、顕在化できない融資案件もあるのではないかと考えています。
そこで、案件の初期段階から営業店の担当者に同行し、直接ヒアリングをすることで、お客さまのビジネスモデルやニーズなどを把握し、適切な提案をしています。例えば、農業専用融資の活用のほか、外部機関との連携や公的制度の案内などのサポートをしています。これらは行内でも経験のない人が多いです」
企業の事業内容や将来性を的確に把握し、それをもとにさまざまなアドバイスをすることが金融機関に求められている中、山梨中央銀行では、この機能をさらに高めた業務を新たな収益源に変えていこうという意識が高まっています。
「融資にとどまらず、ワイナリーの新規設立や異業種の農業への新規参入の際に、スムーズに目的を達成できるようアドバイスしたり、当行のネットワークを活かして関係者の仲介をしたりしています。ワイン製造や農地関係の制度に関しての知見を活かしたコンサルティング業務ができていて、とてもモチベーション高く取り組めています。
また、企業の経営計画に関するコンサルティングでは、業界以外の経営やマーケティングに関する知識も必要なので、これまでの経験や関係者とのネットワークをフルに活用・総動員して提案に臨んでいます。もちろん知らない事柄については自分で調査することが毎回のようにありますが、それも楽しんでいます」
入行4年目にワイナリーに出向したことがワイン担当のきっかけ
入行4年目に地元のワイナリーに出向した竜沢。銀行から離れたことで見えてきた価値や気づきがたくさんありました。
「ワイナリーでは、銀行から初めて出向者を受け入れるということもあり、私がこれまで身につけてきた、常にメモを取る姿勢などを新しい風として受け入れてもらえたことがうれしかったです。
ブドウの栽培からワインの仕込み、醸造や瓶詰め、展示会での販売まで、一連の経験を通じて、地場産業がどのように発展してきたか、ワインの歴史や成り立ちなど、みっちり教えていただき、とても勉強になりました」
出向中はブドウの収量が多く、良いシーズンになり、銀行として支援したいと思う瞬間を目の当たりにしました。
「その年はブドウの収量が多く、農家からも『ブドウが多く収穫できたので、ワイナリーに買ってほしい』という声がありました。その時、ワイナリーの社長が『ブドウを買ってワインとして熟成させたときの価値が分かれば、仕入れ資金を出してもらって、もっと多く買って仕込めたなぁ』と言ったんです。
それを聞き、ワイナリーならではの事情やワインの価値をより理解できれば、銀行に戻った後でそういうところを支援できますし、そのことで銀行の存在意義も出てくると感じました」
この経験が、現在のワイン担当としての活動につながっていきます。
ワイン担当としての印象的な案件
竜沢がワイン担当として携わった印象的な案件の一つが、ワイナリーの新規設立時のコンサルティングです。
「山梨県内の企業が自社ワイナリーを立ち上げて、地場産業であるワイン業界の発展に寄与したいとのことから、計画を支援することになりました。
ワイナリーの設立は、果実酒製造免許を国税庁に申請するのですが、まずは酒税の専門書を確認するところから始めました。申請に必要な要素である醸造・栽培・製造機器・建物など、どのようにチームを組んで進めていくか、お客さまと毎週のように打ち合わせをしました。
地域の気候を考慮して畑に適したブドウの品種は何か、製造するワインはどのようなテイストのものにしたいか、設備のレイアウトやラベルデザインまで、本当にゼロから経験しました。その中で、活用できる補助金の申請も支援しました。
この案件を通して、ワイナリーなどの種類の特徴である免許に関する知識を再確認できましたし、ワインに関する知見そのものを活用できているという実感がありました。また、何より協力していただいたチームの関係者との一体感や達成感はとても大きかったです」
もう一つの印象的な案件は、カーボンニュートラルに関するコンサルティングです。
「自社の畑でブドウを栽培するワイナリーをグループに持ち、別事業として営む企業から、グループ全体のカーボンニュートラルを目指せないかという相談を受けました。つまり、自社の畑で活かせる脱炭素の要素があるかを探りたいとのことでした。
まずは企業の排出炭素を把握すると同時に、どのような脱炭素の方法があるかを調査しました。すると、バイオ炭という木炭を畑にまくことで脱炭素の効果が認められることが分かり、これを活用することを提案しました。
このような環境負荷低減の分野は、SDGsの観点からさらに世の中の関心が高まっていくにつれて、付加価値としての要素も出てくると考えていたので、その認識を再確認する案件でした。この案件を通じて、農業と環境負荷低減との関連について関心が高まっていきました」
ワインや農業に関わるたくさんの経営者とのつながりが財産
「コンサルタントとして案件に携わる中で、ワインや農業に関わるたくさんの経営者とお会いしました。直接経営者と話して聞かなくてはいけないことも多々あり、そのつながりが消えることはありません。私にとって、そのつながりは大きな財産になっています。
融資案件やコンサルティングが終わった後も、『こういう商材はありますか』『農業関係でこういう人は県内にいませんか』というような問い合わせもたくさんあり、ビジネスマッチングにもつながっています」
竜沢は、ワイン担当としての活動の次のステージを模索しています。
「当行のワイン担当として、地場産業をもっと活性化するために地方銀行として何ができるかを模索しています。私の企画を出発点として、新たな取り組みを実施できることがやりがいにもつながっています。
例えば、環境負荷低減の流れがある世界において、カーボンニュートラルワインやJ-クレジットの活用、スマート農業などが求められていると思いますし、さまざまな関係者とのネットワークを持つ地方銀行だからこそ、その仕組みを構築できるのではないかと思っています。
また、ワインのブランディングや付加価値の創出、海外への輸出についての支援策も求められており、やるべきことはたくさんあります」
竜沢の夢は、ワイン産業への貢献を通じた自己成長。興味・関心分野を磨き、ワインショップなども手がけてみたいと言います。
「ワインとは運命的なものを感じており、現在ワインエキスパートの資格取得を目指して勉強しています。今後、ワインをどうブランディングしていくか、ワインをもっと売るにはどうしたらよいかといった部分についても、私としてはやりたいし、やるべきだと思っています。
また、当行は副業が認められていますので、ワインの通販免許を取り、オンライン限定のワインショップなどのチャレンジができるかもしれないと想像して夢を膨らませています」
ワイナリーへの出向を機に、企業のビジネスモデルや事業内容を的確に捉え、お客さまの状況や業界を理解することの大切さが実感できたという竜沢。ワインや農業を通じて、仕事の達成感と自身の夢の実現に向けて励み続けます。
※ 記載内容は2024年10月時点のものです
