土地選定から医師の誘致活動まで。医療モール開発の最前線で見えてきたこと
薬樹の開発グループでマネジャーを務める冨田は、店舗の新規出店開発と医師の誘致活動を担当しています。開発グループには約14名が所属し、3名のマネジャーで戦略立案や業務のマネジメントを行っています。
「医療モールの開発が主な業務となり、複数の開業希望医(クリニック)を募集・誘致し、医療モールを組成します。開発には不動産や法務、賃貸借契約などの多岐にわたる知識が必要です。
立地の選定と診療圏調査を実施し、オーナー様や建築会社との調整、図面作成、クリニックの誘致までさまざまな関係者と協力しながら1~2年かけてプロジェクトを進めています」
複数のプロジェクトを同時並行で進める中で重要なのは、関係構築だと冨田は続けます。
「建物を作っても、開業していただく医師を誘致することができないと医療モールは成立しません。物件開発と誘致活動は車の両輪のような関係です。誘致活動では人脈を活かした紹介が重要な役割を果たしています。以前に開業支援をさせていただいた先生から、新しく開業を考えている後輩医師を紹介していただくケースが多いです。
また、コンサルタントとの関係構築を日頃から行うことで、開業希望の医師をご紹介いただくこともあります」
医師の開業支援では、コンセプト作りから内装、行政への書類手続きまでトータルでサポートを行います。
「当社の強みは、一緒に薬局も出店していること。開業支援をして終わりではなく、長くお付き合いさせていただくからこそ、責任を持った対応ができると感じています」
開発グループのマネジャーとしては、情報共有を徹底することを大切にしています。
「医療施設の開発では、賃貸借契約の締結や内装工事、専門的な設備の設置など多岐にわたる業務があります。各案件の戦略や方向性を練り、関連部署の方々に業務を振り分けたり、指示を出したりしています。さまざまな部署や業者との連携が必要なので、報告・連絡・相談を徹底しています」
プロジェクトには業務の難しさがある一方で、やりがいも大きいと冨田は語ります。
「大変な仕事だからこそ、終えた後の達成感が大きいんです。オーナー様や先生方からお礼の言葉をいただけることが最もやりがいを感じる瞬間ですね。とくに、開業支援をさせていただいた先生のクリニックで、患者様の来院数が増えているといった報告を聞くと、本当にやってよかったと実感します」
小売と医療の融合に惹かれて。「出る杭は打たない」環境で得た学びとやりがい
学生時代、冨田はアルバイトに熱中していました。飲食店や小売など複数のアルバイトを掛け持ちする日々を送る中で、とくにスーパーの仕事は4年間続けることになります。
「よく来てくださる地域のお客様との関係がとても居心地の良いものでした。決まった時間に来店される常連のお客様の購入パターンも自然と把握できるようになり、会話が弾みましたね。辞めるときはお客様からプレゼントをいただいたり、あたたかい言葉をかけていただいたりと、思わず泣きそうになるほどでした」
こうした経験をもとに、冨田はひとつの軸を持って就職活動をしていきます。
「モチベーションになることは何だろうと考えた時に『人の役に立つこと』が、自分にとって大切なのだと気づきました。その軸をもとに、幅広い業界を見ていきました」
そんな中で出会った薬樹。保険薬局でありながら、薬剤師だけでなく総合職も採用し、さまざまな価値を提案できる会社をめざしていることに魅力を感じます。
「採用担当の方がフランクに話しかけてくださり、オフィスのアットホームな雰囲気も印象的でした。また、保険薬局は小売と医療のバランスが良く、スーパーでのアルバイトを通して小売や接客に興味を持っていた私にとって魅力的でした」
入社後は経営企画室の配属となり、医薬品卸会社との取引業務を担当。2年目からは神奈川の店舗に異動をします。
「経営企画室では医薬品卸会社との価格交渉や取引量の調整など、さまざまな業務を覚えました。当初はわからないことも多くてあまり余裕がなく、必死に食らいついていく日々でした。
店舗配属では患者様の接客や処方せんの入力作業、売り場作りなどを担当しました。薬局ごとに地域性や門前のクリニックの診療科目が違うため、患者様の層や購入いただく商品も異なります。そうした違いが学びになり、おもしろかったです」
やがて店舗の売上管理やマネジメントに興味を持ち始めた冨田は、26歳でストアマネジャーに就任します。
「薬樹は『出る杭は打たない』会社です。当時の上司に、ストアマネジャー業務を見せていただきたいとお願いし、少しずつ任せていただきながら覚えていきました。私の能力以上に、やる気を買っていただけたのだと思います。
実際にストアマネジャーになった当初は、コミュニケーションなどで大変なこともありました。ですが、数値管理のマネジメントやヒューマンマネジメントにおいてとても勉強になり、今の仕事にもつながっていると感じます」
開業支援の道が拓いた成長──出向でつかんだ信頼とスキルで、頼られる存在へ
ストアマネジャーを務めて4年が経つころ、冨田に転機が訪れます。
「全体会議後に上長に呼ばれて、社長と常務がいる席へと案内されました。そこで『出向に行ってほしい』との話を受け、他社の開業支援部署で勤務することになったのです」
背景には、薬樹の開発部門強化という戦略がありました。開業支援の経験を通じて、将来的に開発部門を担う人材を育成していきたいという意向があったのです。
「当時、自分の中で『人に誇れる武器』がありませんでした。薬剤師や管理栄養士にはそれぞれの実務的なスキルがある。しかし、私には『キャラがいい』『明るい』『対応が良い』といった感覚的なものしかありませんでした。だからこそ、開業支援という新しいスキルを身につけることにワクワクしました」
しかし、出向当初は厳しい環境が待ち受けていました。
「他社となるので当然ながら社風や企業文化、価値観等が異なり、はじめは戸惑いの連続でした。出向を終えている今では出向先の先輩方とは親しくさせていただいていますが、職人気質の強い部署でしたので、当時は背中を見て追いかけなさい、というスタンスでした。
時には心が折れそうになる事もありましたが、積極的に先輩方の案件に同行させていただいたり、学んだ知識やスキルをインプット・アウトプットするため、出社前に会社近くのカフェで昨日の振り返りとその日の行動計画を立てる事が日課となっていました。
そんな中、一つの転機がありました。昨夜商談した医師との記録ノートを見返し「こちらのアプローチの方が良いかもしれない」と仮説を立て、先輩に相談・立案をしました。先輩も納得され、その医師へ提案したところ商談が成立した事がありました。
余談ですが、その先生は今では大変盛況で、後輩の先生をご紹介いただくなど、いまだに交流があります。自分なりに努力を続けてきたからか、徐々に先輩方から信頼いただけるようになったのかもしれません」
信頼関係を築けるようになった冨田。2年目には案件を任され、仕事の醍醐味を実感していきます。
「医療のプロである医師が、開業に関することは『教えてください』と頼りにしてくださいます。薬局とはまた違った立場や環境で、一緒に仕事をすることにやりがいを感じました。信頼してくださるからこそ、勉強も重要です。開業支援では、経営、会計、不動産、内装、医療法、広告ガイドラインなど、さまざまな知識が必要となります。
多くの医師にとって開業は一生に一度の機会であり、ほとんどの医師は人生を賭けて開業に取り組みます。そのため、絶対に失敗させられないという責任感から、足りない部分を必死に学んで補うように努めました」
こうして、開業支援の経験を積んでいった冨田。2023年に帰任後は、出向で得た経験を活かしながら業務に取り組んでいます。
「現在、出向していた時に開業支援させていただいた小児科の先生から、同級生が地主である物件を紹介していただき、医療モールの開発計画を進めています。出向先で培った関係性と知識があり、当社で開発業務を行っているからこその案件だと感じています。経験を活かした取り組みができることが嬉しいですね」
薬樹だからこそできる医療サポートで、開業から経営までを支える新たな挑戦
薬樹で働く最大の魅力について、冨田は人材育成に力を入れ、社員を大切にする文化を挙げます。
「薬樹の魅力は人だと思っています。とにかく人を伸ばしていこう、人を大事にする会社です。仕事をしていく中で困難に直面した際も、真剣に相談に乗ってくれる先輩方や上長が大変多いです。
私自身も、当時の上長が私を出向に送り出してくれ、キャリアを築くきっかけを作っていただいたことに本当に感謝しています。そういった環境があるからこそ、一度薬樹に入った方は長く働き続けられるのだと思います」
薬樹は社員の成長をバックアップする制度も整っています。
「学べる環境が大変充実していて、患者様やその他、かかわる様々な方のためになることを前提にどんどんやりたいことを応援してくれます。自分のスキルアップしたい部分やめざすべき将来像、キャリアの部分についても会社が支援する仕組みがしっかり整っています」
冨田自身も、新しい取り組みを進めています。
「開業支援というものをもっと活かした取り組みを展開していきたいと考えています。開業支援を体系化し、ホームページの整備や広告展開なども行い、医師のグリップ力を強化していく。今まで体系的なものが無かった中で、保険薬局の薬樹だからこそできる開業支援サービスを確立していきたいです」
さらに、医療業界の変化を見据えた展望も語ります。
「昨年、厚生労働省から医師偏在対策の取り組みパッケージが発表され、特定の地域にクリニックが集中する医療の偏在が問題になっています。今後は、新規開業する際に何らかの規制が設けられる可能性も出てきており、従来の医療の常識が通用しなくなるかもしれません。
そうした中で、開業支援だけでなく、開業後の経営支援まで含めたトータルサポートサービスを展開していきたいと考えています。これからは開業地の選定や経営の部分で、先生方が頭を悩ませることも増えていくはずです。そこを両輪でサポートできる存在になっていければと思います」
これからの目まぐるしく変わる業界において、継続的な支援を展開していく──
冨田は、地域医療の未来を切り拓いていきます。
※ 記載内容は2025年2月時点のものです

