サッカーに夢中だった少年は土木技術者に。フィールドワークへの情熱から進む道を選ぶ
「幼いころは落ち着きのない性格でしたね」と安江は笑いながら幼少期を振り返ります。その活発な性格は、小学校に入ってからサッカーという形で発揮されます。
「月曜日から日曜日まで、ずっとサッカーをやっていました。サッカー自体が好きで、ゲームをするような感覚で楽しめたんです。中学、高校もサッカー部に所属し、放課後は部活をやって、土日は試合というような生活をずっと送っていました。ポジションはミッドフィルダーかフォワード。チームリーダーをやっていた時期もあります」
高校3年生の最後の大会で県ベスト4にまでのぼりつめ、その情熱が燃え尽きたのを感じたと安江は言います。その後サッカー推薦の声がかかり、サッカーを続けて文系の大学に進むか、それとも自分が学んでいた理系の大学に進むかで迷いました。
結果的に安江は工業大学へ進学し、土木工学を専攻します。
「ギリギリまで大学の選択で迷いすぎてしまったので、学部を調べたり検討したりする時間がなく、友人の進路を聞いてそれが良さそうだと思い、友達についていくような形で土木を選びました。しかし入学後に勉強してみると、この選択は間違いではなかったと思い至りました。
電気や機械といった他の理系分野と比べても土木の方が理解しやすく、自分に向いていると感じたんです。大学4年生の時、災害対策をテーマに河川や環境に関する研究を行ったのですが、外に出て実験や実習を行うフィールドワークがおもしろかったことを覚えています」
就職活動では、自身の性格を考慮し現場監督のような施工管理の仕事を軸に進め、インターンシップをきっかけに若築建設への入社を決めます。
「施工管理の仕事は外に出る時間が多いという点が自身の性格に合っていると考えたんです。その中で若築建設の雰囲気が良いなと思って。とくに先輩方とのコミュニケーションの取り方が部活の先輩・後輩のような感覚に似ていて、ゆるやかな雰囲気を感じたんです。
若い方が多く、気さくな方が多かったことも印象的でした。また、職員の方から聞いた海上土木といえば若築建設という話も自分にとって興味深いモノでした」
こうして土木技術者として、安江は若築建設で新たな一歩を踏み出したのです。
積極的に質問する学びの姿勢で──新人が現場の中心で活躍する成長の軌跡
2020年4月に入社した安江。新型コロナウイルス感染症の流行により、当時は通常の研修が行われませんでした。自宅待機や自宅学習を経て、6月ころから実際の仕事を始めることに。
「最初は右も左もわからない状態でした。現場での専門用語を聞いても理解できず、とにかく学ぶことから始めなければいけませんでした。そこで、わからないことがあればすぐに『それってどういう意味ですか』と積極的に聞くようにしていました。理解を深めるには質問することが唯一の方法だと思ったんです。
『なんでもわからないことがあったら聞いてくれよ』という感じで気さくに接してくれる先輩たちの存在が、自分の支えとなりました」
何もわからない状態から積極的に学び、周囲の支援を受けながら成長を続けた安江。
入社5年目となる現在、名古屋支店土木部 静岡営業所作業所に所属し、現場の中心として施工管理の仕事に携わっています。
「今担当している案件は、静岡県の浜名湖近くにある漁港の、船を停泊させる施設の改修工事です。この施設は40〜50年経過しているところもあり、老朽化が進んでいます。地震や津波対策も重要な課題で、それらも考慮しつつ安全性の観点から造り替えを行っているんです。
その中で私の主な仕事は、施工計画の立案から工程管理、品質や出来形の管理、安全管理などの管理業務。また、発注者および協力会社、隣接工事会社との打ち合わせを行うほか、役所に提出する書類作成や手続き、申請なども行っています」
現場では、安江ともう1人の上司が施工管理や現場の指揮を行っています。
「業者の方も含めると、この工事の関係者は全体で40人以上に及びます。1日の平均は4〜5人程度ですが、多い時は10人弱で仕事を進めています。気をつけているのは安全第一。なによりも作業員の命が大切なので、安全に作業できるよう、ときには“まわりくどい”やり方をすることも。
たとえば少し高い場所で作業する際には、作業者が落ちないように囲いを事前につくるなど、手間をかけて安全対策を行います。それによって作業が増え、工期が延びてしまう場合は発注者に工期延長を交渉します。もちろん工期は厳守なのですが、それよりも安全を優先して進めています」
交渉するにしても指示を出すにしても、まわりは自分よりも年上の人ばかり。最初はためらいもありましたが、考えを変えることで言えるようになったと言います。
「自分の親世代の方にも指示を出さなければならないので、最初はお願いしにくい部分はありました。しかし、自分が言わなかったことで事故が起きてしまったら?そう思って『命に関わることは言わなければならない』『自分にできることはなんでもやりたい』という責任感を持って、現場に臨むようになりました。
また慣れてくると緊張感も緩んでくるので、朝礼で『気を引き締めていきましょう』と声をかけ、安全への意識を高めています。また声をかけやすいように、普段からコミュニケーションをとるように心がけていますね」
初となる現場代理人の仕事──先輩の背中を見てめざす将来像と現場の教訓
安江がとくに印象に残っている現場として語るのは、2023年10月から2024年3月まで担当した名古屋港新土砂処分場本体および消波工事です。この現場で初めて責任者の1人として仕事を任されました。
「現場代理人として任せてもらえたのは、目の前の仕事に着実に取り組んできたことが評価されたのではないかと考えています。自分にできる仕事をこなしつつ、後輩の面倒をみながら全体を俯瞰して仕事をする必要がありました。初めての経験でわからないことも多かったのですが、今までよりも大きな責任感を抱きながら仕事をしていました」
管理職員3人、作業員が1日15人から20人程度の現場。最も難しかったのは、協力業者の作業員や発注者との調整だったと振り返ります。
「両者の意見を聞きながら、作業の進め方や書類の作成、許可の取得などで大変な調整が必要でした。また、今までやったことのない書類作成も必要となり、苦労しましたね。
しかし、そういった困難に直面した時も先輩に相談することを躊躇しませんでした。とくに、図面の書き換えが必要な時など自分の判断に不安がある時はよく先輩のアドバイスを求めました。ただし、ただ教えを請うのではなく、まず自分で考えて意見を作ってから相談するよう心がけるようにしました」
安江の成長を支えたのは、厳しくも温かい先輩たちの存在でした。とくに印象に残っているのは、新入社員のころからお世話になっている5つ上の先輩です。
「その先輩はとても優秀で、自信に溢れていました。5年後の自分がその先輩のレベルに達しているかと考えると、まだまだ及ばないと感じるほどです。経験も豊富で、自信を持って仕事をこなし、周りを引っ張っていく力がありました。
指導は厳しく、当時は『なぜそこまで言うのか』と思うこともありましたが、1年後、2年後になって振り返るとその教えが正しかったと実感することが多くありました。自分自身、褒められて伸びるタイプというよりも、厳しく指導されて、悔しさをバネに成長するタイプなので」
先輩の姿勢や仕事への取り組み方は、自身の仕事観に大きな影響を与えました。
「先輩はとてもストイックな方で、自分にも他人にも厳しい姿勢を持っています。現場では準備や段取りが重要ですが、その先輩が準備で失敗しているところを見たことがありません。仕事をたくさんこなしており、背中で示すタイプの人でした。先輩たちからの学びと現場での経験が、私の成長を支えてくれていると感じます」
プロフェッショナルへの道──若手のホープが海上土木で描く未来の姿
海上土木の世界で、着実にキャリアを積み重ねる安江。その目には、確かな自信と将来への期待が輝いています。
「同じものを作っても、作業する人が違えば作り方が違う。私はまだ経験が浅いので、自分の思い込みで仕事を進めないように心がけていて、他の人のやり方や考え方をすり合わせながら、物事を進めていくようにしています。
新しい現場に行けば毎回1からのスタートで、勉強して理解するところから始まるんです。そういう部分で飽きがこないし、やりがいのある仕事だと思っています」
また、海上土木の魅力はその規模の大きさにもあると言います。
「陸上で見る重機と、海の上で見る重機とでは大きさが全然違います。たとえば船で使うクレーンは、陸上のものと比べるとかなり大きいんですね。海上土木の仕事だからこそ関われるその大きさに驚かされますし、助けられることも多いです。
また、天候にかなり左右される仕事なので大変なことも多くあります。でも、そういうことを考えながら仕事をするのが、おもしろさだったりするんです」
この仕事に向いている人物像については、こう語ります。
「コミュニケーション能力が必要な仕事だと思います。自分の考えていることを、いかにうまく相手に伝わるように話せるかが重要です」
将来のビジョンについても力強く語ります。
「現場の最終責任者としてすべての決定権を持つ所長になれるだけの実力をつけていきたいですね。当社は、学歴関係なく入社後からの実力が正しく評価されます。尊敬する先輩が32歳で責任者になっているので、そのくらいの年齢までには現場を全部取り仕切る責任者になっていたいですね。」
若手のホープとして期待されている安江だが、謙虚な姿勢を崩しません。
「そういう声を聞くことはありますが、自分としてはまだそこまでの評価に見合っていないと感じています。もちろんありがたい言葉ではありますが、その評価に自信を持って応えられるようになりたいと思っています」
最後に、仕事に対する姿勢について話を締めくくります。
「仕事に真摯に向き合うことが大切です。もちろん、大変な仕事も出てきます。それでも真剣に、真摯に向き合ってやっていくのが一番の近道……。近道はないんですが、最短の道だと思っています」
若手ながらも、すでにプロフェッショナルとしての自覚が芽生えている安江。海上を舞台に、未来を切り拓く若きリーダーの挑戦は、まだ始まったばかりです。
※ 記載内容は2024年8月時点のものです
