「観察」が「親愛」に変わる瞬間。原点となった温泉施設での経験
ーー学生時代注力したことを教えてください。
学生時代、私が何よりも熱中していたのは、ある温泉施設でのアルバイトでした。受付業務からドリンク作り、岩盤浴の清掃まで、任された仕事は多岐にわたりましたが、私が密かに、けれど情熱を持って取り組んでいたのは「お客様一人ひとりを覚えること」でした。そこは常連様が多く集う、地域に愛された施設。
毎週のようにお越しになるお客様の顔を、最初は名前もわからない状態から、少しずつ記憶に刻んでいきました。「あのお客様は、お風呂上がりには必ずこのドリンクを飲まれる」「あの方は、割引の日には決まってお土産を買っていかれる」。そんなふうに日々の行動を観察し、その方の背景にある物語を想像することは、私にとって単なる作業ではありませんでした。
じっと見守っているうちに、不思議とお客さんが身近に感じられて、心の距離がぐっと縮まっていくのが分かりました。受付で目が合うと「今日も頑張ってるね」なんて声をかけてもらえたり。そんな何気ない会話が積み重なって、いつの間にか「店員と客」以上の温かい関係になれたんです。相手をちゃんと見て、知ろうとすることが信頼に繋がるんだと、この場所が教えてくれました。
ーー就職活動で軸にしていたことを教えてください。
就職活動を迎えた私が、企業選びの軸として何よりも大切にしたのは「職場の雰囲気」です。薬剤師として働ける環境は数あれど、福利厚生や給与などの条件面だけを見れば、大きな差はないように思えました。それよりも、「自分がそこで楽しく、イキイキと働けるか」。仕事におけるやりがいや目標も、まず「楽しい」「居心地が良い」という土台があってこそ見つかるものだと考えていたからです。
そんな中で出会ったこの会社は、明らかに他とは違う空気を纏っていました。若い世代が主体的に活躍し、本部で挑戦する薬剤師たちも活気に満ちている。何より私の心を掴んで離さなかったのは、当時担当してくださった採用担当の方の存在です。
底抜けに明るく、親身になって相談に乗ってくれるその方は、私の「本部に行きたい」という漠然とした希望に対しても、具体的な部署やキャリアパス、将来の可能性を丁寧に提示してくれました。「こんな素敵な人がいる会社なら、きっと店舗も温かい場所に違いない」。人の温もりや雰囲気を重視していた私の直感が、ここでなら間違いないと確信した瞬間でした。
ーー研修で印象に残っていることがあれば教えてください。
入社後の研修も非常にユニークでした。「カラータイプ診断」を通じて自分の性格や他者との相性を体系的に学んだことは、現在の患者様対応の大きな助けとなっています。 例えば、せっかちな方への接し方など、現場ですぐに使える実践的なスキルを習得できました。楽しみながら学び、着実に成長できるこの風土は、入社前に抱いていたイメージそのものでした。
本部から現場へ。知識の格差を埋めた「仲間の絆」
ーー現在までのキャリアを教えてください。
私のキャリアは、少しユニークな形で始まりました。新卒で最初に配属されたのは、調剤室ではなく本部の「採用担当」です。未来の後輩たちと向き合う日々は非常に充実していましたが、心のどこかで常に「現場」への想いが芽生えて初めていました。
そんな折、会社から「薬局の現場でその経験を活かしてみないか?」という提案をいただきました。ちょうど異動先の店舗で大規模な改装やイベントが予定されている時期で、「その輪の中に入り、直接患者様と触れ合いたい」という衝動が確信に変わりました。本部で培った視点を持ちつつ、現場への挑戦を決め、今の私があります。
ーー大きな決断に対して不安はありませんでしたか?
そうですね、やはり不安もありました。同期たちが現場で経験を積んでいる間、私は本部業務に専念していたため、薬剤師としての知識や経験値には雲泥の差がありました。「本当にやっていけるだろうか」。そんなプレッシャーに押しつぶされそうになっていた私を救ってくれたのは、現場の仲間たちでした。
店舗には経験豊富なベテラン薬剤師が多いです。中には、病院やMRなど多様なバックグラウンドを持ちながらVドラッグを選んだ方もいらっしゃいました。私が知識不足で立ち止まった時、彼らは嫌な顔一つせず、豊富な経験から導き出される答えを教えてくれました。そして何より、本音で語り合える同期の存在。わからないことを素直に「わからない」と言える環境があったからこそ、私は焦らず一歩ずつ、薬剤師としての階段を登ることができたのです。
「お薬」の先にある生活を見る。在宅業務で見つけた私の役割
ーー現在のお仕事内容を教えてください。
現在、私は外来対応やOTC医薬品の相談に加え、特に「在宅業務」に力を入れています。薬の配達や往診同行を通じて、患者様のご自宅というプライベートな空間にお邪魔するこの仕事は、まさに学生時代のアルバイトで培った「観察力」が活きる場面です。
私が大切にしているのは、笑顔とハキハキとした話し方、そして「会話の記憶」です。カルテには薬歴だけでなく、「今度旅行に行く」「好きな食べ物は〇〇」といった何気ない会話も細かく記録します。次にお会いした時、「旅行はどうでしたか?」と問いかけると、患者様は驚きとともに満面の笑みを見せてくださいます。名前を覚えていただき、指名をいただけるようになった瞬間は、何にも代えがたい喜びです。
ーー薬剤師としてお仕事をする中で苦労したことはありましたか?
もちろん、苦労はありました。特にイベントでの健康補助食品やOTC医薬品の紹介では、処方薬以外の幅広い知識が求められます。最初は検査結果の見方もわからず戸惑いましたが、メーカーの方に質問したり、患者様と一緒に学んだりしながら知識を蓄えていきました。その結果、今では薬だけでなく、食事や運動、サプリメントを含めたトータルな健康提案ができるようになり、薬剤師としての視野が大きく広がったと実感しています。
社会人になってから、本部での経験、薬局での経験、在宅での経験と、本当にいろいろなことを経験してきました。新しい場所や新しい人がいても、自分の考えていることをしっかり伝えられるようになったし、やってみたいことを提案できるようにもなりました。これが、学生時代と比べて一番成長したところだと思います。患者様との関わりを通じて、薬剤師としての幅が広がり、より深いサポートができるようになった今、この仕事への充実感は日に日に大きくなっています。
目指すは「地域No.1のかかりつけ」。ポリファーマシーへの挑戦
ーーこれからの目標を教えてください。
これからの私の目標は、患者様に「かかりつけ薬局」として選んでいただくことです。そのためには、ただ薬を渡すだけでなく、健康相談やOTC医薬品の提案など、プラスアルファの価値を提供できる薬剤師でなければなりません。イベントで得た知識を武器に、他の薬局にはない接客で差別化を図っていきたいと考えています。
中長期的には、薬局の受付医療機関数を120以上に増やし、地域の処方箋を一元管理できる体制を目指しています。複数の病院から処方されるお薬を私たちが一括して管理することで、飲み合わせのチェックやポリファーマシー(多剤服用)の解決に貢献したい。患者様の健康を総合的に守る「地域のインフラ」としての機能を、この手で作り上げていくことが今の私の夢です。
ーーVドラッグの最大の魅力は何だと思いますか。
この会社の最大の魅力、それは間違いなく「人」です。同期との仲の良さは格別で、入手困難な薬があれば全店の同期に相談して協力し合ったり、急な休みも快くカバーし合ったりと、互いに支え合う文化が根付いています。仕事もプライベートも全力で楽しむ先輩や同僚に囲まれているからこそ、私も安心して前を向くことができています。
だからこそ、これから入社される方には「明るく、元気で、挑戦心のある方」に来てほしいです。ここには、あなたの「やってみたい」を応援してくれる仲間と環境があります。知識や経験は後からついてきます。まずはその一歩を、私たちと一緒に踏み出してみませんか。
編集後記:雰囲気を大切に。
「職場の雰囲気が何よりも大事」と語る彼女の言葉には、確かな説得力があった。採用担当として会社の魅力を伝える側から、実際にその魅力を体現する現場のプレイヤーへ。その異色の経歴は、彼女自身の柔軟性と、それを受け入れる企業の懐の深さを物語っている。
インタビュー中、彼女が楽しそうに語った「患者様の旅行の話をカルテに書く」というエピソード。それは効率化が進む現代医療の中で、ともすれば忘れられがちな「人と人とのつながり」という医療の原点だと感じた。彼女のような薬剤師がいる限り、地域医療の未来は明るく、温かいものになるに違いない。
※ 記載内容は2026年2月時点のものです。
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