海外での部活動経験と豊田通商をめざした背景
私は大学時代に卓球部の活動に注力していました。その中でも印象深いのは、テキサスへの交換留学中の経験です。留学先でも現地の卓球部に所属しており、そこで全米大会予選でBチームながら主将を任せていただき、団体戦で優勝することができました。小さいながらも、海外でのマネジメント経験を積めた貴重な体験だったと思います。とくに忘れられないのは、決勝での出来事です。自分が勝てば優勝という場面で、非常に苦しい試合展開になりました。しかし、国籍や人種など関係なくチーム全員が私を応援してくれ、その応援が勝利への大きな後押しになったと確信しています。応援の力は国境を越えるということを、身をもって感じた瞬間でした。こうした経験もあり世界の人々をつなぎ笑顔を創りたいという想いで、就職活動では「海外と関われる仕事」という軸を持って企業を探していました。
帰国後は留学の影響もあり限られた時間の中で就職活動を進めることとなり、本選考に臨みました。正直、当時は業界研究やOB訪問を十分に重ねられておらず「どの会社で何をしたいのか」を明確に語れる状態ではありませんでしたが、商社という選択肢自体には、世界と関わりながら価値を生み出せる点に魅力を感じていました。
そんな中で、豊田通商の社員の方々と話す機会を通じ、論理的に説明できませんが、「この人たちとなら、自分らしく働き成長できそうだ」と感じたことを今でも覚えています。そして結果的に、その直感は間違っていなかったと感じています。
メーカー出向を通した現場主義の重要性
最初の配属先では、株式会社SUBARUの完成車や補給部品を海外に輸出する業務を担当しました。商社の基本であるトレーディングを一から学ぶ日々でしたが、事業投資や事業体管理などを任されている同期を見て、「自分はこのままで成長できるのだろうか」と焦りを感じたことも正直、何度もありました。 それでも今振り返ると、カネ・モノ・情報の流れを現場で理解できた経験は、間違いなく現在の仕事の土台になっています。
4年目には、これまでのキャリアで一番の転機となるSUBARUへのメーカー出向を経験しました。用語や文化の違いに戸惑いながら、アフリカ・中東・CIS地域といったボラタリティの非常に高い市場を担当し、コロナ禍や紛争などの突発的な事象への対応に追われる日々を過ごしました。 イレギュラーばかりの環境でしたが、その中で、現場に行くこと、現実を理解すること、そして人とつながることが課題解決に直結することを痛感しました。
ウクライナ侵攻の影響で一時的に車両の輸出が完全に止まってしまったケースでは、現地に足を運び、関係者と直接向き合いながら解決策を探ることで、停滞していたビジネスを再び動かすことができました。机上の調整だけでは限界があり、現場にこそ答えがあるということを強く実感した経験です。
商社で働くことは、時にリスクの高い国や不確実な状況を預かることでもあります。入社後に経験した数々のイレギュラーを通じて、その責任の重さと同時に、この仕事ならではのやりがいを実感しています。
新人チームリーダーとしての初年度
現在、私はオセアニア中近東モビリティ部に所属し、ニューカレドニア向けトヨタ完成車の輸出、需給管理、商品導入検討、価格議論などを担当しています。一担当者として実務に向き合う一方で、仏外県国チームのチームリーダーも務めています。私を含めて4名の小さなチームですが、会社人生で初めてリーダーという立場を任されたことは、正直戸惑いもありつつ、大きな学びの機会となっています。
この一年間は、特にチームビルディングに力を入れてきました。意識していたのは、メンバーが無理なく力を発揮できる環境を整えることです。具体的には、会議の在り方やプロジェクトの進め方を見直し、定例会議の整理や会議時間の短縮など、小さな改善を積み重ねてきました。その結果、時期要因はあるものの、第一クオーターと第四クオーターを比較すると、チーム全体の残業時間を30%強削減することができました。 また、成果以上に大切にしてきたのが、日々のコミュニケーションです。特別なことではありませんが、メンバーの話に耳を傾け、雑談や食事を通じて互いを知る時間を意識的に作ってきました。
後日、「以前より働きやすくなった」という声が、私ではなく上長のもとに届いていたと聞いたときは驚きましたが、同時にリーダーとしてのやりがいを感じた瞬間でもありました。 この経験を通じて、リーダーの役割は前に立って引っ張ることだけではなく、メンバーが安心して力を発揮できる土台を創ることだと学びました。
現場主義の先に見据える海外駐在
短期的には、これまで培ってきた経験の幅をさらに広げていきたいと考えています。価格、商品、需給といった業務を、商社とメーカーの両方の立場で経験してきましたが、現場に近づくほど、自分の理解がまだ表層的であると感じる場面も少なくありません。だからこそ、目の前の仕事一つひとつに向き合いながら、実態に即した判断力を磨いていきたいと考えています。
中期的には、海外駐在を経験したいと考えています。これまで国内からの業務や出張を通じて海外ビジネスに関わってきましたが、限られた期間・立場では見えない情報や判断しきれない部分があることも実感してきました。現場主義を実践するのであれば、単に足を運ぶだけでなく、現地に身を置き、日常の中で判断を積み重ねる経験が必要だと感じています。
その上で、地域統括拠点よりも、ディーラーなどお客さまにより近い場所で働きたいという思いがあります。メーカー出向中、出張先で現地のお客さまと直接会話をする機会を設けました。その際、車そのものについてではなく、同席していたメーカーの管理職でさえ把握していなかった部品や素材に関することまで要望を受けたことがありました。そのとき、机上の情報だけでは掴めない現場の本音が確かに存在することを強く実感しました。
こうした経験から、海外駐在はキャリアのゴールではなく、現場での判断力や仕事の軸を鍛えるための通過点だと考えています。今後も現場主義を大切にしながら学び続け、お客さまの声を起点に価値を生み出せる商社パーソンを目指していきたいと思います。

