建築デザインとビジネスの両輪で挑んだ学生時代、アフリカ発展への道を切り開く
私は大学で建築・都市計画を専攻し、在学中は国際的な設計コンペティションに力を注ぎました。その結果、いくつかの賞を受賞することができ、建築雑誌に作品が掲載される機会にも恵まれました。学びを深めながら、愛知県名古屋駅周辺のランドマークとなる建物の詳細な建築模型を制作するアルバイトにも従事していました。この経験を通じて、建築に関する技術的な理解を深めることができたと感じています。
さらに私は、ビジネスコンテストにも積極的に参加しました。名古屋と東京で開催された大規模なスタートアップコンペティションで主要な賞を獲得することができ、デザイン思考と起業戦略のスキルを融合させる力を養うことができました。建築デザインとビジネスという二つの分野を学生時代に経験できたことは、その後のキャリアにおいても大きな財産となっています。
就職活動を始めた際、私はデザイン主導のコンセプト開発と起業家的思考を統合できるキャリアパスを探していました。私の最大の目標は、アフリカ全土における持続可能な社会・経済発展を推進する基盤プロジェクトを主導することでした。この思いは、日本で学んでいた頃から抱いていたものです。限られた天然資源しか持たない日本が世界的な経済大国へと成長した姿に、私は深く心を動かされました。日本の卓越した労働倫理と技術力、そしてアフリカが持つ豊富な資源の可能性を結びつけることで、アフリカの経済成長を推進しながら日本の国際的な経済地位も強化できるのではないか。そんな架け橋となるような仕事がしたいと考えるようになったのです。
就職活動では、建築やエンジニアリング系の企業を中心に探していました。当初、この会社については主に車両販売を行う企業というイメージを持っており、大規模なインフラストラクチャーへの関与についてはあまり認識していませんでした。そのため、卒業後のキャリアサーチでは、自分のクリエイティブな背景を直接活かせる伝統的な建築事務所やエンジニアリング企業に焦点を当てていました。
しかし、日本からケニアに移住した後、状況は大きく変わりました。現地のオフィスを訪問した際、この会社が持つ影響力の規模を目の当たりにしたのです。280メガワットの地熱発電所が最近完成し、肥料生産やモンバサ港の開発プロジェクトも進行中でした。これらは、社会と経済の発展に不可欠な基盤を築くプロジェクトそのものでした。私が自分のキャリアで実現したいと考えていたことが、まさにここにあったのです。この会社の大規模インフラプロジェクトが、私の持つ精密な設計とエンジニアリングのスキルを必要としていることもわかりました。アフリカ全体の社会経済発展の触媒となるプロジェクトを主導したいという私の願望と、この会社の取り組みが完璧に合致していました。これが入社を決めた最大の理由です。
現地採用から本社勤務へ。リーダーシップ研修で学んだ戦略的ストーリーテリング
私は現地スタッフとして豊田通商に入社しました。配属先はケニアで、農業、ICT、エネルギー、スタートアップ投資など、多岐にわたるポートフォリオを担当する部門横断型の新規事業開発に携わっていました。商社というと製品の流通が中心というイメージを持っていたのですが、実際に働いてみると、ビジネスのバリューチェーン全体に深く関わっていることがわかりました。また、組織構造も部門ごとに縦割りというよりは、部門を横断したシナジーを重視する、統合的で協力的なビジネス環境だったことが印象的でした。
その後、現地スタッフから豊田通商の正社員へと転換する際に、リーダーシップ・ディベロップメント・プログラムという研修を受講しました。この集中的なトレーニングでは、事業開発や戦略的ストーリーテリングに必要な重要なスキルに焦点が当てられていました。とくに、大規模な投資決定について経営陣の承認を得るために必要な、提案の組み立て方や説得力のあるストーリーの作り方を学べたことは、その後の業務に大きく活きています。
ケニアでの業務は主に現場に赴いてプロジェクトを厳格にモニタリングすることが中心でしたが、日本に帰国後は本社勤務となり、働き方に違いが生まれました。本社にいることで、経営幹部や様々な企業部門と直接やり取りができるようになり、ビジネス運営に必要な組織的要件や戦略的ガバナンスについて、重要な洞察を得られる立場になりました。現場での実行と、本社での戦略立案、その両方を経験できたことは、私のキャリアにとって非常に貴重な財産となっています。
入社前に想像していた働き方やキャリアと、実際に経験したキャリアにギャップがあったかと聞かれれば、特にありませんでした。もちろん、商社のビジネスモデルへの理解が深まったことや、組織の協働性を実感できたことなど、新たな発見はありましたが、それらはすべて良い意味での驚きでした。ケニアでの新規事業開発から日本での本社業務へと、着実にキャリアのステージを挙げていくことができ、それぞれのフェーズで求められるスキルを身につけてこられたと感じています。
アフリカ16カ国を横断する大規模インフラ開発。ナミベ港プロジェクトでの成功体験
現在私は、アフリカ東部と南部の16カ国において、電力、水、港湾といったインフラ開発プロジェクトを統括しています。私たちのミッションは、環境を守りながら、アフリカの未来を担う子どもたちのために持続可能な基盤を構築することです。単なるインフラ整備ではなく、次世代への責任を果たすという使命感を持って取り組んでいます。
日々の業務では、プロジェクトのニーズを特定し、アイデアを創出する役割を担っています。マネージャーをサポートするため、チームでのブレインストーミングセッションを進行し、さまざまな視点から最適なソリューションを導き出します。同時に、すでに着工している建設プロジェクトの進捗状況もモニタリングしており、納期通りの引き渡しと卓越した運営品質を確保することに力を注いでいます。複数のプロジェクトを同時並行で管理するため、優先順位をつけながら細部まで気を配る必要があり、日々緊張感を持って仕事に臨んでいます。
私が最も大きなやりがいを感じるのは、完成したプロジェクトをクライアントに引き渡す瞬間です。昨年、アンゴラでのナミベ港開発プロジェクトが正式に完了し、引き渡しを行ったことは、キャリアの中でも特に印象深い出来事となりました。このプロジェクトにおいて、私は港湾運営に必要な5隻の船舶の納入を統括しました。その結果、会社の全プロジェクト収益の40%以上を生み出すことに成功したのです。数字として明確な成果を残せたことは、チームの努力が形になった証であり、大きな達成感がありました。港が完成し、実際に稼働している姿を目の当たりにしたとき、何年もかけて取り組んできた仕事が、その国の経済発展と人々の生活向上に直結していることを実感しました。
一方で、この仕事には大きな困難も伴います。私の役割には日本政府関係者との綿密な調整が含まれており、これには高度な文化的適応力と正確性が求められます。公式な日本のビジネスマナーやコミュニケーションプロトコルのニュアンスを理解し、書面でのやり取りから高官レベルの会議まで、適切に対応しなければなりません。言葉遣いひとつ、メールの書き方ひとつにも細心の注意を払う必要があり、文化的な違いを乗り越えながら信頼関係を築いていくことは、常に学びと挑戦の連続です。
学生時代と比較すると、自分の視点が大きく変化したことを感じています。学生の頃は工学や設計の基礎を学んでいましたが、実務を通じて社会経済開発の複雑さに向き合い、高リスクのプロジェクトをマネジメントする力を身につけました。さらに、日本企業の基準とアフリカ市場の実情との間にある文化的なギャップを橋渡しする能力も培ってきました。より戦略的で、グローバルな視点を持てるようになったことが、今の私の最大の成長だと実感しています。
プロジェクト全体を見据えた挑戦と、アフリカでの現地マネジメント実現への道筋
今後短期的に挑戦したいのは、プロジェクトの初期開発から最終完了まで、フルサイクルで関わることです。これまでのキャリアの中で、プロジェクトの一部分に携わることはありましたが、全体を通して見届けることで、より深い学びと経験を得られると考えています。一つのプロジェクトを最初から最後まで責任を持って遂行することで、計画立案から実行、そして振り返りまでの一連のプロセスを体得できる。それが次のステップへの土台になると信じています。
中長期的には、明確なキャリアロードマップを描いています。まず日本で1カ年間、戦略的なトレーニングを積む期間を設けたいと考えています。具体的には、日本的な経営手法や戦略的意思決定プロセスについて、より深い専門知識を身につけることが目標です。その後、アフリカでの現地プロジェクトリーダーとして実務経験を積み、再び日本に戻って3カ年間マネジメント業務に従事する。そして最終的には、地域子会社のマネージングディレクターとしての役割を担いたいと考えています。このロードマップは、グローバルとローカル、両方の視点を持ったリーダーになるために必要なステップだと捉えています。
この目標を実現するために、現時点で始めている準備があります。それは日本本社とアフリカ子会社、双方のスタッフとの社内ネットワーク構築です。将来的にマネージングディレクターとして組織を率いていくためには、信頼関係の土台が不可欠です。今のうちから様々な部門の方々と交流し、それぞれの専門性や考え方を理解することで、将来の協働をスムーズにできると考えています。
マネージングディレクターとしてリーダーシップを発揮する上で、特に伸ばしたいと思っているのが会計・財務スキルです。事業を統括する立場になれば、数字で組織の状況を正確に把握し、適切な判断を下すことが求められます。技術的な知識やプロジェクトマネジメント能力だけでなく、財務面での意思決定能力を磨くことが、真の経営者への道だと認識しています。
この会社の魅力は、8つの事業部門と7万人という多様な個性を持つチームメンバーがいることです。これは個人のキャリア成長にとって比類ないプラットフォームだと感じています。さまざまなバックグラウンドを持つ人たちと働くことで、自分自身の視野も大きく広がっていきます。
この環境で活躍するために必要なのは、短期的な結果よりも長期的な達成を優先する、意義ある影響を重視するマインドセットです。目先の成果だけを追い求めるのではなく、将来にわたって価値を生み出し続けることができるか。その視点を持つことが重要だと考えています。
だからこそ、これから入社してくる方々には、主体的に動けるセルフスターターであってほしいと思います。長期的な視点を持ち、強いオーナーシップ意識を持って仕事に取り組める人。そういう方と一緒に、この会社の未来を創っていきたいですね。

