研修や教育制度を整え、未経験者を受け入れている企業は多く、文系出身者であっても、プログラマーやエンジニアとして活躍しているビジネスパーソンは少なくありません。学生時代にプログラミングに触れていたとしても、取り扱う言語が異なったり、実務としての経験が不足していたりすれば、もちろん困難にぶつかることもあります。また、技術は日々進化しているため、常に学び続ける必要がある分野であることもその要因です。
とはいえ、未経験者は学生時代からプログラミングに触れていた方と比較して、学ぶことに時間がかかってしまったり、難しさを感じたりする機会も多いかもしれません。しかし、そうした苦労を乗り越えて、プログラマーやエンジニアの仕事にやりがいを感じている人がたくさんいます。
そこで本記事では、文系出身者でIT企業に勤務するプログラマーの実態調査の結果を紹介するとともに、未経験であっても現在エンジニアとして活躍しているビジネスパーソンの経験談をご紹介します。
未経験だけれどエンジニアになりたいという方や、未経験者の採用を行っている企業を知りたいという方はヒントにしてみてはいかがでしょうか?
文系出身のプログラマーは入社前にどれくらい勉強していた?
まずは、株式会社アークライン(本社:東京都豊島区) が、大学で文系学部に所属しており、IT系の企業に就職した20代プログラマー、システムエンジニア111名を対象に実施した、IT企業勤務のプログラマーに関する実態調査の結果の一部をご紹介したいと思います。
まずはじめに、学生時代は文系の分野を専攻していたにもかかわらず、IT系の企業を志望した方はどんな理由があったのでしょうか?
「Q1.あなたが、IT系の企業に就職した理由を教えてください。(複数回答)」(n=111)と質問したところ、「将来性があるため」が43.2%、「業界へ関心があったため」が40.5%、「専門的知識が身に付くため」が32.4%という回答となりました。
上記で、「わからない/答えられない」と回答した方以外からは、次のような声が寄せられています。
<自由回答・一部抜粋>
・28歳:手に職をつけたかったから。
・25歳:独学でプログラミングを学んだ際に、試行錯誤しながら作成することに達成感が得られ、仕事にしたいと感じたため。
・24歳:技術職がよかったから。
・26歳:リモートワークやフレックス勤務などさまざまな働き方を導入している会社が多いイメージがあったから。
・24歳:コロナ禍を経験し、ITの力をより必要とする世の中になると考えたため。
・29歳:思いついたアイデアをなんでも実現できそうだから。
また、文系出身者でIT企業に入社した方は、入社前にどの程度の知識を身につけていたのでしょうか?
「Q3.あなたは、入社前にITに関してどのくらい勉強をしていましたか。」(n=111)と質問したところ、「入社前にITに関しての勉強はしていない」が43.2%、「プログラミングの基本的な概念や用語程度」が30.6%という回答となりました。
技術の進歩が著しいIT業界ですが、本調査では現在プログラマーやエンジニアとして活躍している人の勉強方法についても回答が寄せられています。
Q4で「とくにしていない」「わからない/答えられない」以外を回答した方からは、「資格勉強での過去問演習」や「実務が学習」など33の回答も得ることができたといいます。
<自由回答・一部抜粋>
・24歳:YouTubeなどを使って勉強します。
・29歳:資格勉強での過去問演習。
・29歳:実務が学習。
・25歳:資格のテキストを読む、システムのマニュアルを読む。
・29歳:友人と一緒に勉強会。
・27歳:paiza。
・24歳:Udemy。
さらに、同調査では、6割以上の方が「学生の間にITを勉強しておけばよかったと後悔したことがある」といういう結果も出てきています。もちろん、IT分野以外を専攻した理由もあるとは思いますが、学生時代に学んでおけばよかったと感じている方は少なくないようです。
■調査概要
・調査概要:IT企業勤務のプログラマーに関する実態調査
・調査方法:IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
・調査期間:2023年6月27日〜同年7月4日
・有効回答:大学で文系学部に所属しており、IT系の企業に就職した20代プログラマー、システムエンジニア111名
※ 構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません
文系出身で活躍するエンジニアの声
学生時代は好きな分野に取り組んでいた、就職活動の自己分析でエンジニアに向いているという結果が出た、IT分野に興味を持つ出来事があった、など、文系出身者がIT企業を志望する理由はさまざまでしょう。
ここからは、文系出身で現在はエンジニアとして働く方がなぜエンジニアを志したのか、また未経験ゆえの苦労をどう乗り越えたのかなど、文系出身エンジニアの経験談をご紹介します。
※ 掲載内容は記事公開当時の内容です
▶︎DXCテクノロジー・ジャパン
事業内容:ITサービス業(保険業界向けBPaaSとBPO、アナリティクス&エンジニアリング、アプリケーション、セキュリティ、クラウド、ITアウトソーシング、モダンワークプレイス)
・なぜエンジニアに?:
梶川さん「英語の語学力が活かせるようなコンサルティング企業を探す中で、DXCと出会いました。IT業界は未知の世界でしたが、会社説明会で登壇されたベテラン社員の方をはじめ、社内に文系出身者が多いと聞いて好印象を持ったのを覚えています。
また、私は人と話すのが好きで、集団を引っ張っていくタイプ。責任者としてチームを率いるプロジェクトマネジメントに興味がありSEを志望していたことから、エンジニア採用のあったDXCを選びました。
選考の過程で、先輩同士がコミュニケーションする様子を見てフラットな組織文化があるのを感じ、自分にフィットしそうだと思ったことも入社を決めた理由のひとつです」
中川さん「私は学生時代、たまたまIT企業のインターンシップに参加したことがきっかけでIT業界に興味を持つようになりました」
・苦労をどう乗り越えた?:
これまで着実にキャリアを重ねてきた2人ですが、IT未経験ゆえの苦労も。それぞれがそれぞれの方法で乗り越えてきました。
梶川さん 「理系出身の同期たちと比べて、自分の技術や知識が不足していると思い知る場面が少なくありません。でも、この業界では技術の進化が日進月歩。最前線で活躍するためには、文系・理系に関係なく勉強し続けることが欠かせません。その点では、文系であることにディスアドバンテージはないと思っています。
また、私が一貫して心がけてきたのが、実際にシステムを触ってみること。参考書を読むだけだとすぐに忘れてしまって身につかないと考えているので、社内に自分だけの開発環境を設定してもらい、そこで失敗を重ねながら正解に辿り着くプロセスを大切にしています」
中川さん 「私はこれまで、前提知識がないためにプロジェクトを円滑に進められないと感じたことが何度かありました。システム仕様や要件、案件が始まった背景などを理解していないために、リリース後に問い合わせを受けるなど、お客様に迷惑をかけてしまったことがありました。それ以来、時間を意識的につくって前提知識を十分に吸収した上で新しい案件に取り組むようにしています」
→ストーリー:自分の可能性には蓋をしない。文系出身・IT未経験で入社した新卒4年目、2人の現在地
▶︎NECソリューションイノベータ株式会社
事業内容:システムインテグレーション事業、サービス事業、基盤ソフトウェア開発事業、機器販売
・なぜエンジニアに?:
N.Mさん 「学生時代は今とは違い、ITに関わりのない経営学部でマネジメントや会計など会社を経営するための勉強をしていました。そのため、就職活動でも最初は商社や銀行を検討。
今振り返っても現在の業務に携わっているのが不思議だと感じているのですが、大学側から「領域を広げていろいろな会社を見た方がいいでは」とアドバイスを受けたことをきっかけに、IT企業にも話を聞いてみました。すると、とてもおもしろそうで、将来伸びていきそうな分野だと感じ、IT業界での就職活動をスタート。調べていく中で当社に出会い、説明会に参加しました」
・苦労をどう乗り越えた?:
N.Mさん 「苦労したのは新入社員研修のとき。学生時代にプログラミングの経験があるほかの同期たちは研修をこなせていましたが、私は文系出身なので差を感じていましたね。その後、配属先がインフラ領域となり、サーバーやOSについて1から勉強をスタート。プログラミングとはまた別の領域で、一つひとつの業務を重ねる中で力をつけることができたと思います。
技術取得の勉強は自主学習が5割、社内教育が5割といった形です。NECグループで技術研修を実施しているNECマネジメントパートナーやUdemy for businessなど社員に無料提供されているプラットフォームを活用し、知識を身につけていきました。新入社員のときは勉強に集中し、現在は仕事をしながら時間を見つけて研修に参加したり、自分で勉強したりしています」
→ストーリー:技術は突き詰めるほどおもしろい。クラウド領域を担う、入社7年目のリーダー
▶︎株式会社 エル・ティー・エス
事業内容:コンサルティング(ビジネスコンサルティング、ITコンサルティング、HRコンサルティング)、ビジネスプロセスマネジメント、デジタル活用サービス
・なぜエンジニアに?:
荒谷さん 「就職活動時は、『誰かのために貢献したい』『さまざまなお客様やサービスに携われる仕事が自分に向いている』と考え、お客様の課題解決に貢献できるような仕事を探していました。そんな中、IT系の課題解決ニーズが社会には多いことに気づき始めた時期にたまたま参加したのがエル・ティー・エスの説明会でした。実はエンジニアの説明会だと知らずに参加していました(笑)。エンジニアという選択肢はそれまで全く頭になかったのですが、ITのことが良く分からないならいっそのことエンジニアからキャリアをスタートする選択肢もありだと思ったんです」
・苦労をどう乗り越えた?:
荒谷さん 「とはいえ、私は文系出身。PCに苦手意識もあり不安も大きかったのですが、当時のエル・ティー・エスは新卒のエンジニア採用を本格的に始めたタイミングで、『ぜひ一緒に頑張りましょう』と私の挑戦を後押ししてくれました。会社は新卒採用に、私はITの世界にと、双方が新しいことにチャレンジするタイミングが重なったことにもご縁を感じ、入社を決めました。
入社後、教材ベースで学んでいたときはかなり苦労しましたし、くじけそうにもなったことも。でも、OJT期間に入って先輩の横につき、わからないことがあればすぐに聞ける安心感がある中、プロジェクトの一員として手を動かし始めてからは、次第にスキルが身についてきました」
→ストーリー:苦しいときこそ、+αの仕事を──社内外で必要とされる存在を目指す3年目の眼差し
▶︎株式会社クレスコ
事業内容:情報システムに関するコンサルティングおよびソリューションサービス業務、設計、開発業務、運用管理、保守業務、調査、分析、評価および技術支援業務
・なぜエンジニアに?:
辻さんは、2021年に新卒でクレスコに入社。就職活動の軸は“ものづくり”、“新しい技術”、“今後も成長が期待できる業界”の3点で、最も合致したIT業界への就職を目指していました。
辻さん 「思い返すと、中学時代から『何らかの技術を学んで製品を開発する仕事がしたい』と考えていました。大学は外国語学部で文系でしたが、この想いが頭の片隅にあり、自分のやりたいことを見直した結論が、ものづくりでした。『文系出身でも、ITならものづくりに関われる』と考え、IT業界を目指しました」
・苦労をどう乗り越えた?:
クレスコに入社し、新人研修後は、「組み込みシステムに携わりたい」という希望が通り、名古屋事業所に配属。配属後は1カ月間、自動車業界向けのシステム動作確認テスト工程の自動化案件に携わり、内部資料の精査やテスト項目の抽出作業を担当しました。
そのあとに8カ月ほど担当したのが、車載IoTシステムのPoC(※)案件でした。
※PoC:試作の前段階で行われる、新しい概念や理論などが実現可能かを示すための簡易的な実証辻さん 「Androidのタブレット端末と車内のシステムを連携させ、タブレットで車内のシステムを操作したり、車内のCO2濃度をセンサで検知して、換気を促す通知をさせるようなIoTシステムです。
この開発には苦労しました。『文系出身の新人だから、プログラミングをするのはまだ先だろう』と思っていたのにプログラミングをすることになり、しかも使用するプログラミング言語が、研修では扱わなかった言語だったんです。最初の1カ月間は本当に必死でした。
不安や疑問だらけの中で、自ら率先して何でも調べましたが、周囲のサポートも手厚く、質問すればすぐに回答してくれました。退勤後も『どうすればこのシステムを動かせるのだろう』と考えを巡らせ、考えたことを翌日に試す……。ということを繰り返す日々でした」
→ストーリー:IT未経験者が1年後に社長賞獲得──名古屋事業所で着実に成長する若手エンジニア
▶︎日立システムズエンジニアリングサービス
事業内容:システム構築、システム運用・監視・保守、情報関連機器・ソフトウェアの販売と開発
・なぜエンジニアに?:
中島さん 「もともとは広告業界をめざしていました。マーケティングに興味があり、ものを作る仕事がしたいと思っていたので、マーケターをめざそうと考えていたんです」
そのため、就職活動では広告会社を中心に説明会に参加していました。ところが、説明会でふと目にした募集要項がきっかけで、進路を変更することに。
中島さん 「ある広告会社が募集している職種に、システムエンジニアがあったんです。『エンジニアも、ものを作る仕事だな』と思い、興味を持ちました。
その会社は経験者しか募集していなかったのですが、調べてみると未経験者や文系の学生でも応募できる会社があると分かり、エンジニアをめざそうと方向転換しました」
・苦労をどう乗り越えた?:
研修後に現在の部署に配属され業務をスタートすると、新たな壁にぶつかります
中島さん 「研修は一緒に取り組むメンバーが同期ですから、知識がないとはいえ、なんとかついていくことができました。でも、先輩たちと仕事をするようになると、レベル感がグッと変わります。飛び交う用語のレベルも上がるので、難しかったですね」
それでも、「あまり大変だとは思いませんでした」と笑う中島。それは、成長することがうれしかったからだと言います。
中島さん 「ゼロからのスタートだからこそ、できることが増えていくことを実感できました。また、最初に参加した開発プロジェクトが、AIを使ったシステムだったのですが、当時、先輩たちもAIをシステムに活用した経験がなかったんです。みんなでAIについて学びながらプロジェクトを進めていく、一致団結した雰囲気が楽しくて。
先輩後輩の垣根なく一緒に取り組めて、しかも、いきなり最先端の技術に触れることができる。配属されてすぐにそういう経験ができたことがうれしかったですし、エンジニアの仕事のおもしろさを実感しました」
→ストーリー:ゼロからのスタートだからこそ自分の成長が楽しい!文系出身エンジニアの軌跡
企業の研修に加えて、職場の先輩たちに尋ねたり、自分自身で学ぶ時間を作ったりと努力を重ねて、現在に至っている方が多いようです。talentbookには文系出身者のエンジニアだけではなく、さまざまなバックボーン、技術やスキルを持ち、企業で活躍するエンジニアの経験談が多数掲載されています。
どんなエンジニアをめざしたいのか、どんな企業で働きたいのかを考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか?
Xを興味のある仕事と出会うきっかけに!
私たちのXでは、さまざまな業界で活躍する社会人のリアルな働き方、キャリアの記事を厳選して紹介しています。フォローしておけば、「この仕事、おもしろそうかも」といった、思わぬ出会いがあるかもしれません。
まずは、どんな事例を紹介しているか、実際の投稿を覗いてみてください!
▼投稿の例
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・1年間の休学とインターンを経験した上で、2度目の就活に臨んだ人
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