意図のない設計はしない──お客さまの想いに応えられる伴走者でありたい
現在、倉橋は大阪本部 大阪第3事業部 営業8部 1課に所属しています。
「営業8部は“お客さまのさらなる出店拡大の伴走”を部のミッションとしています。お客さまと長くお付き合いさせていただき、たとえば地域限定の店舗から全国へ拡大していく道のりをサポートし伴走していくような、お客さまと共に成長していくチームをめざしています」
その営業8部でチーフを務める倉橋は、お客さまとの打ち合わせから設計、積算、発注、施工、引渡、メンテナンス対応まで一貫してプロジェクトに携わっています。
「入社してから現在まで、アパレルや服飾雑貨系の物販専門店を担当しています。既存のお客さまがメインですが、入札案件のような新規の対応も行っています」
一貫した業務を経験する中で、チーフとしての新たな役割も加わりました。
「現在は後輩の育成も重要な役割の一つです。ディスプレイ業界での働き方や店舗づくりにおける重要なポイントなどを指導していますが、何より大切にしているのは、実践を通じて学んでもらうことです。壁にぶつかることもありますが、その度に一緒に乗り越える方法を考えていきます。
私自身も、かつて先輩に同じようにしてもらった経験があり、この方法のほうが成長のスピードが確実に早いと感じています」
倉橋には業務を進める上で大事にしていることがあると言います。
「お客さまの想いにしっかり応えることですね。お客さまが抱えている課題や想いに応えられるデザインや設計を、何よりも重要視しています。また、『意図のない設計はしない』と決めていて、『どうしてこうなったのか』という背景や意図を必ず伝えるようにしています」
最後の形にするところまで伴走し続けたい。その信念を貫ける場所がスペースだった
倉橋がディスプレイ業界に興味を持ったのは、大学時代の研究活動がきっかけだったと言います。
「私が所属していた研究室では、京都の町家を借りて地域コミュニティづくりに取り組んでいました。地域の方々が集まる場所として定期的にイベントを開催していたのですが、ある時小さなお子さんを連れた方が『とても良い体験を息子にさせてあげることができました』と言ってくださって。
京都の町家は年々減少している中で、町家ならではの造りや、暑さをしのぐ工夫といった先人の知恵を肌で感じ取ることができたのは、貴重な機会になったと喜んでいただけたんです。
このとき、建物は外から眺めるよりも、中で過ごす時間の方が圧倒的に長く、空間が人に与える影響は想像以上に大きいことを実感しました。それ以来、人々の記憶に残る空間をつくりたい──そんな想いを持つようになりました」
加えて、せっかく空間をつくるのであれば、最後の形にするところまで携わりたい。その想いが就職活動の軸になっていた倉橋は、スペースへの入社の決め手をこう話します。
「『空間づくりのすべての工程に一貫して関われる』──これが一番の理由でした。スペースなら打ち合わせの段階から最終的な引き渡しまで、すべてを任せてもらうことができます。
私には『自分が設計したものは、最後まで責任をもって完成させたい』という強いこだわりがあり、最初から最後まで自分でやってこそ、自分が納めたお店だと胸を張って言える気がしたんです」
そして、2020年にスペースに新卒入社した倉橋。最初は上司のサポート業務が中心で、打ち合わせへの同行や、図面修正の補助、工事の許可をいただく作業申請などをしていました。そんな中、1年目の秋に大きな転機が訪れます。
「お客さまから『同時期に2店舗オープンさせたい』とのご依頼をいただき、先輩と私とで1店舗ずつ担当することになりました。正直なところ先輩についていくことに必死で、2店舗の規模感が似ていたこともあり、もう1店舗と同じような方向性で設計を進めていました。
しかしあるとき、上司から『なぜこのデザイン、この設計にしたのか。そういった想いや考えがないのであればこの会社にいるべきではない』 と、厳しい指摘を受けました。いま振り返ってみると当たり前のことかもしれませんが、お客さまの想いは一つひとつの店舗に込められているのだと気づかされたんです。
当時は本当に落ち込みましたが、この出来事が私の仕事への向き合い方を根本的に変えてくれました。空間づくりのプロとしての自覚を持つようになり、施工の際にはパートナーさんと密にコミュニケーションを取るようになりました。
たとえ休日であっても、手掛けている現場が動いている間は可能な限り対応したいですし、お客さまの伴走者としての責任感と覚悟を持てるようになったのは、この経験があったからだと感じています」
その後、入社3年目にメイン担当を任された倉橋。独り立ちできるようになるまでには苦労も多かったと言います。
「それまでは図面を書いたら先輩に引き継ぎ、打ち合わせで説明する際もほとんど先輩が話してくれているような状況でした。そのため、前に立ってくれる存在が突然いなくなった感覚で、『どう説明したら伝わるのか』とたくさん悩みました。
悩むと同時に、メイン担当を任せてもらえたことに対してはラッキーな機会だと前向きに捉えていました。お客さまと直接向き合えたことは、その後の成長の大きな糧になったと感じています」
自分の想いが形になる。お客さまの挑戦に寄り添えた経験が成長の糧に
壁にぶつかりながらも着実に成長を重ねた倉橋。これまでの中でとくに印象に残っているのは、4年目に担当したセレクトショップの案件です。
「この案件では、先輩が築いたデザインコンセプトや店内の雰囲気は継承しつつ、新店舗の規模拡大に合わせて『新しい要素を加えたい』というお客さまのご要望がありました。
そのため、店内の雰囲気は大きく崩さず従来の可動式棚を固定棚に変更したり、新たにディスプレイスペースを設けたりと、複数の角度から提案させていただきました。
結果、お客さまにとても気に入っていただき、ほぼすべての提案を採用していただきました。この時『自分の想いが形になった』という確かな実感を初めて得ることができました。
何より嬉しかったのは、オープン時に社長やスタッフの方々から『売り場作りが楽しくなりました』という言葉をいただけたことです。お客さまの新たな挑戦に寄り添えたと感じられた、忘れられない瞬間でした」
現在は、後輩への指導を行う中でも自身の成長を実感しています。
「大きな変化は、後輩が気づいていない部分に、先に気づいてあげられるようになったこと。かつて私も先輩の背中を追いかけていた立場から、今度は後輩を支える側になり、少しずつ先輩方に近づけているという手応えを感じています」
パズルのピースを当てはめていくのが施工。すべてに携われることで見える仕事の醍醐味
6年目を迎えた倉橋は、あらためて感じる仕事のおもしろさについてこう語ります。
「入社以来ずっと変わらないのは、お客さまと一緒に作り上げた空間が、目の前で形になっていくその瞬間に立ち会える喜びです。想像を超える仕上がりになった時の達成感や、お客さまから『とても良いですね』と言っていただけることが、それまでのどんな苦労も吹き飛ぶほどの大きなやりがいにつながっています。
最初から最後まで携われるスペースの環境は、入社前に抱いていた思いと変わらず、今でも私の原動力になっています」
現在は、新たな目標も見えてきたと話します。
「まずはチームを支えられる存在になること。チームの柱となり、後輩たちの手本になることが目標です。マネジメント側の業務にも興味があるので、将来的には自分のチームを率いて会社全体に貢献していきたいと考えています」
一貫業務を担うことの特徴と魅力について、倉橋はこう語ります。
「たとえば、商業施設内のテナント工事は営業時間外が中心となるため、時には昼から出勤して深夜まで現場に立ち会うこともあります。この仕事ならではの大変さはありますが、最終的には必ず『やっぱりおもしろい』と思える自分がいます。
一貫した業務に携わる中で、デザインや設計はとても魅力的な工程です。しかし実際に空間ができあがっていく施工の段階も、設計したものをどうやって作り、どう収めていくのかを考えるプロセスが楽しいです。
私は設計の時点でフワッと思い描いていくのですが、いろんな要素が他の部分にどう影響するかを検討しながら、施工ではパズルのピースのようにつなげていく。こうした一つひとつ積み上げていくような感覚は、すべての工程を担うことができるスペースだから味わえる醍醐味だと感じています。
お客さまの想いを汲み取り、空間に落とし込む──決して簡単ではありませんが、入社前から抱いていた「空間づくり」への想いを実現できる環境が、スペースにはあります」
※ 記載内容は2025年7月時点のものです

