営業の枠を超え、現場の最前線へ。厳しい環境で磨かれる、丁寧なコミュニケーション
スペースの最大の特徴は、お客さまとの打ち合わせから企画・設計、そして施工管理までを分業せず、一気通貫で担当するビジネスモデルにあります。そのため、田岡が所属する営業部の業務範囲も、一般的な営業のイメージには留まりません。
「私たちの仕事は、お客さまがどのような空間を作りたいのかをヒアリングし、企画を立案し、デザインをつくり、ヘルメットを被って施工現場の管理をする。一般的な営業というよりは、プロジェクト全体を統括するプロジェクトマネジメントのような役割だと私は捉えています」
現在は、物販店や大型書店の案件を中心に担当している田岡。その1日は、プロジェクトのフェーズによって大きく異なります。
「1日の業務内容は日によってまったく違いますね。着工前であれば、オフィスでメールをチェックし、図面を描き、先方と打ち合わせをして終わる日もあります。一方、現場が始まれば、朝から現場へ直行し、職人さんと納まりの確認をして進捗を確認して1日が終わることもあります」
商業施設の改装工事の場合、店舗が閉店した後に夜間工事を行うことが多いです。入社2年目である昨年は営業中の施設内の改装案件が重なり、1年を通して断続的に夜間現場を担当しました。
「昨年1年間は、夜間現場の案件が中心でした。とくに、現場が動いている期間は昼間の打ち合わせと夜間の現場管理が重なり、体力的にも精神的にもタフさが求められました。
また、昼間にしか解決できない連絡事項があるときは、どうしても睡眠時間を削って対応せざるを得ません。休めるタイミングがある時は翌日の時差出勤をうまく使うなど、自分でON・OFFを調整しながら乗り越えました」
過密スケジュールや夜間対応といった厳しい環境下で仕事をする田岡には、大切にしている価値観があると言います。
「大事なのは認識のズレをなくすこと。図面や言葉だけでは伝わりきらないニュアンスを、職人さんやデザイナーさんと共有することを何よりも大切にしています。私が現場で疑問に感じている点は、きっと他の人もわからないことだと思うんです。
だからこそ、曖昧な点は放置せず、その場で解決するまで話し合います。一つひとつの認識のズレを解消し、解像度を上げていく地道な対話の積み重ねが、お客さまの期待に応える空間を作る手段だと考えています」
先輩の背中を追い、一貫した業務の中で培った自走力。3年目でつかんだ確かな手応え
学生時代は、就職活動の軸として「やりがいのある仕事」と「さまざまな仕事に挑戦できること」を掲げていた田岡。スペースへの入社を決めた背景には、ある想いがありました。
「幼い頃からインテリアに憧れがあり、『楽しい思い出の背景には常にすてきな空間がある』と感じていました。その想いが、ディスプレイ業界を志すきっかけとなりました。
なかでもスペースを選んだのは、設計から施工まで分業せずに一貫して担当できる点に魅力を感じたからです。スペースなら常に新しい刺激を受けながら成長できると確信しました」
しかし、希望を胸に飛び込んだ入社1年目の現場では、思うように動けない歯がゆさを感じる日々が続いたと言います。
「配属直後は先輩のアシスタントとして現場に入りましたが、飛び交う指示の中で自分だけが動けず、もどかしい思いをしました。上司や先輩からは『現場にいて、作り方を見ておいて』と言われるのですが、自分が直接作れるわけでも、判断ができるわけでもない。
職人さんたちの邪魔にならないよう、ただその場の空気を感じながら、作業を見つめることしかできない時間に、『自分は何のためにここにいるのだろう』と焦りを感じることもありました」
また、現場特有の専門用語やルールの違いも、新人の田岡にとっては高い壁でした。
「最初は言葉がまったくわからなくて……。たとえば『とうみり』という言葉。これは10㎜のことを指す現場用語なんですが、当時の私にはさっぱりで。
また寸法を測る場合もスケールを0㎝からじゃなく10㎝から当てて測るとか、職人さんの常識がわからないんです。でも現場では聞きづらい時もあるので、隠れてWebサイトで調べたり、同期にこっそり聞いたりして必死に食らいついていました」
当時は苦しんだその時間も、3年目を迎えた今では確かな財産となっています。
「壁や天井が塞がれて見えなくなる前に、裏側の構造や配管を目に焼き付けた経験が、現在の図面作成や現場指示に活きています。『あ、あの時見たのはこのことか』と、過去の点がつながる瞬間がありました。現場に立ち続けた時間は決して無駄ではなかったと、今なら胸を張って言えます」
現在は自らが物件担当として案件を任される田岡。その責任の重さは、かつて自分を支えてくれていた先輩の存在の大きさを、あらためて実感させるものでした。
「自分ではできるようになったと思っていても、上司から見ればまだまだ未熟な点が多いはずです。2年目までは先輩が矢面に立って守ってくれていたことに、自分が物件担当者の立場になって初めて気づきました。冷や汗をかく毎日ですが、そのプレッシャーと向き合うことこそが、成長への一番の近道だと感じています」
理想と現実をつなぐ仕事。お客さまの想像を超える空間をチームで共創する喜び
これまで担当した中でとくに印象に残っているのは、ある専門店の改装プロジェクトだと田岡は振り返ります。
「昨年担当したテナント入れ替えに伴うコンセプト刷新案件は、企画から施工まで約1年がかりとなるもので、私にとって初めて企画段階からメインで担当するプロジェクトでした。
行き詰まった時、上司に『失敗しなきゃわからないこともあるから、とにかくやってみなさい』と背中を押してもらえて。いざとなれば守ってもらえるという安心感があったからこそ、萎縮せずに思い切った挑戦ができました」
このプロジェクトを通じて、田岡は理想のデザインと現実の施工の間でバランスを取ることの難しさに直面します。
「お客さまの要望をすべて取り入れると、どうしても予算を大きく超えてしまいます。かといって、予算内に収めるために仕上げを安価なものにすると要望とかけ離れてしまいます。コストをかける部分と抑える部分を検討していくことは簡単ではなく、理想と現実のバランスを取る難しさを身に染みて感じました」
理想のデザインを尊重しながら、それを現実の空間としてどう成立させるか。田岡はすぐに断るのではなく、協力会社と知恵を絞り解決策を模索しました。
試行錯誤を重ねるなかで、お客さまとも何度も議論を重ねたと言います。そうして紆余曲折の末、お客さまはこう言ってくれました。
「『田岡さんが言うなら、それでいいですよ』と、快諾してくださったのです。本来なら難航してもおかしくない場面ですが、企画段階から膝を突き合わせて対話し、信頼関係を築いてきたからこそいただけた言葉だと感じました。苦労して完成した空間はパースのイメージそのもので、お客さまにもたいへん喜んでいただけました」
ものづくりには正解も終わりもありません。より良いものを追求しようとすれば、細部まで検討を重ね続ける必要があります。
「設計業務には終わりがないので、行き詰まってしまうと休日でも仕事のことが頭を離れない瞬間はあります。もちろんメリハリは大切ですが、ここまではやり切るというラインを自分で決め、納得いくまで向き合う。ワークライフバランスを意識しつつも、そうした覚悟を持つことが、この仕事には不可欠だと思います」
知識が少なくともガッツがあればいい。失敗を恐れず飛び込み、唯一無二のプロへ
今後の展望として、一貫した業務経験をさらに積み重ねた上で、企画やデザインの提案力をより強化していきたいと語る田岡。
「建築の専門知識がないと通用しないのではないか、と不安に思う方もいるかもしれません。もちろん知識はあるに越したことはありませんが、入社前の時点では必須ではないと私は思います。
私自身、最初は現場用語一つわかりませんでしたが、失敗しながら学んできました。強いて言えば、図面を描くためのCADスキルなどはあると便利ですが、それ以上に必要なのは、わからないことを恐れずに飛び込んでいくガッツと新しいことを吸収しようとする意欲です」
また、資格取得についても、実務に入ってからその重要性に気づいたと言います。
「学生時代に二級建築士の資格を取得したのですが、最近になって法規関係の書類作成などでその知識が役立つ場面が増え、勉強しておいてよかったと実感しています。ただ、基本的には仕事をしてから学ぶことの方が圧倒的に多いので、未経験でも焦る必要はありません」
これから入社を考える人々へ、自身の経験を踏まえてこう語ります。
「大変な業務も多いですが、その分得られる経験や成長も大きいと感じています。自分たちが手掛けた空間でお客さまに喜んでいただけたとき、この仕事のやりがいを実感します。簡単ではありませんが、だからこそおもしろい仕事です」
現場で培った実体験は、どんな教科書よりも確かな自信となって、社員一人ひとりを唯一無二のプロフェッショナルへと押し上げていきます。
※ 記載内容は2026年1月時点のものです

