チーフとして多様な業務を推進。成功の鍵は、チームと現場をつなぐコミュニケーション
東京第3事業部に所属する石村は、チーフとして主にライフスタイルに関わる専門店を中心に手がけています。
「スペースでは、打ち合わせから設計、積算・契約、発注・制作、施工管理、引き渡し、メンテナンスまで、一貫した業務体制を採用しています。お客さまのご要望や体制に応じて、最適なメンバーでチームを編成し、柔軟に対応しています。
私自身は設計が6割、施工が4割というバランスで業務を進めています。短い工期の案件が多いため、複数のプロジェクトを並行して進めるのが常。ある日は一日中図面に向き合い、また別の日は現場で施工管理に専念するなど、日によって働き方が大きく変わるのが特徴ですね」
今は外資系ブランドの案件に携わる機会が多く、そこには特有の難しさとおもしろさがあります。
「外資系ブランドの案件は、設計図面を読み解くところから始まりますが、単に日本語に訳すだけでは、店舗は作れません。ブランドコンセプトやデザインを尊重しつつ、国内で調達可能なマテリアルの再選定を行い、運用面や施工条件を十分に考慮した上で、仕様を一つひとつ見直し、実現可能な図面へと再構築していく。大変な部分もありますが、外資系の案件ならではの醍醐味でもあります」
チーフとなった今、石村が何よりも大切にしているのが、社内外の円滑なコミュニケーションです。
「担当者といっても、すべての仕事を一人でできるはずがなく、社内のチームメンバーやパートナー企業の方々と信頼関係を築き、協力しながら進めることが欠かせません。
たとえば、現場を後輩に任せる際も、パートナーである職人さんには『今日は後輩の〇〇が伺いますが、私も状況はすべて把握しています』と必ず伝えます。
このひと言があるだけで、現場の職人さんも安心して後輩とやり取りができますし、後輩も『何かあれば石村さんに相談しよう』という安心感を持って現場に臨めると思うんです。そうした小さなコミュニケーションの積み重ねを、何よりも大切にしています」
「悔しさ」を原動力に挑む。現場で知った、ものづくりの厳しさと喜び
大学では建築学部で学び、「多くの人が関わり、楽しむことができる空間」に惹かれ、商業デザインの道を志した石村。とくに、建物そのものよりも、人々が時間を過ごす「内装」に強い興味を抱いていました。
「もともとカフェやホテル巡りが好きで、すてきなお店の内装を眺めるのが趣味でした。建物という大きなスケールよりも、椅子やテーブル、照明といった、人の身体に近い『ヒューマンスケール』で感じられる空間に魅力を感じていたんです。
自分の手が届く範囲のものを、自分の手でつくりあげたい──そんな思いが、ディスプレイ業界をめざすきっかけになりました」
就職活動では、将来のキャリアの選択肢を広げたいという思いも強くありました。
「正直、当時は将来的に転職する可能性も考えていました。志望する業界は絞れたものの、多くの企業が設計、施工、営業など職種別で募集しており、どの仕事をするのかを就職活動時点で決めなければなりませんでした。
そんな中、スペースならそのすべてを経験できるとわかり、『施工もできる設計者』といったように、複数のスキルを掛け合わせることで、自分の市場価値を高められると考え、入社を決めました」
しかし入社後、最初の壁に直面します。2年目になり、初めて本格的に関わった施工の現場で、大きなギャップを痛感しました。
「職人さんたちが話す専門用語が、当時の私にはまるで外国語のように聞こえました。大学で学んだ知識だけでは通用せず、自分の力不足を感じる場面も多かったです。
職人さんたちにとって経験の浅さは関係なく、現場では『スペースの担当者』として見られていました。職人さんの『本当に任せて大丈夫か?』という不安を感じるたび、何もできない自分がもどかしく、悔しい思いをしていました」
担当者としての責任はあるのに、知識も経験も追いつかない。このままではいけない──そう思った石村は逃げずに向き合うことを決意します。
「かなり大変でしたが、ここで諦めてしまったら、この先同じ壁にぶつかったときもきっと乗り越えられない。だからわからないことは『わかりません、確認します』と正直に伝え、少しでも時間があれば職人さんに、『これはどういう施工方法なんですか?』などと積極的に質問しました。
今の現場を深く知れるように、次の現場ではもっとうまくやれるようにと、諦めずに職人さんたちに向き合い続けました」
当時の心境を、石村はこう話します。
「とにかく『ここで負けたくない』という気持ちでいっぱいでした。もともと負けず嫌いな性格で、学生時代はゴルフに打ち込んでいましたが、個人競技だからこそ自分との戦いの場面がいくつもありました。その経験から乗り越えられた部分が大きかったと思います」
そのひたむきな姿勢が、少しずつ現場の空気も変えていきました。
「職人さんが『石村さん、この間の現場、大丈夫だった?』と心配してくれるようになるなど、関係性が着実に変わっていくのを感じました。そして6年目になった今でも、当時現場で厳しくしていただいた方とのつながりは続いていて、『石村さん最近すごいじゃん』と褒めてもらえたり、『石村さんの意見を聞いてみたい』と言ってもらえたり、と担当者として信頼してもらえるようになりました。
2年目に味わったこの経験が、『コミュニケーション』の重要性を骨身に染みて教えてくれた、私の原点になっています」
経営者の意識を持つ。設計の先にある、空間ビジネスへの貢献とやりがい
スペースでのキャリアは、まさに段階的なステップアップの連続でした。それぞれの年次で求められる役割と向き合うことで、石村は着実にプロフェッショナルとしての階段を上ってきました。
「1年目はOJTメインで先輩の補助業務を担い、2年目は現場業務が増えて先輩と一緒に一貫した業務を初めて経験しました。大きな転機は3年目です。初めてお客さまの担当として窓口として立ち、先輩がサポートにまわる体制になりました」
その変化は、仕事に対する意識を根本から変えました。
「それまでは、どこか『先輩の後ろにいる』という甘えがあったかもしれません。でも、いざお客さまの窓口として立つと、当事者意識を持ってしっかり取り組まないといけないという意識に変わりました。
お客さまの要望をただ形にするだけでなく、『本当に求めていることは何か』という本質を理解し、『こうすればもっと良くなりますよ』とより良いものを一緒に作る提案をすることを常に心がけるようになりました」
そして4年目には、後輩指導も担うようになり、チームで成果を出すことの難しさとおもしろさを学びます。
「チームで物件を進めるようになると、1人ですべてを抱え込むのではなく、それぞれの得意分野を活かすことが重要になります。『現場でしっかり学びたい』という後輩には現場業務を多く任せるなど、個々の意向や適性を見極めながら業務を振り分けるよう心がけています」
責任ある立場になる中で、石村の視座はさらに広がっていきました。
「最近は、経営者意識をもって業務に取り組むことを心がけています。スペースでは中期経営計画の中で『一人ひとりが経営者意識を持って行動する』ことを方針に掲げており、年次を重ねる中でこの考え方が少しずつ根付いてきました。
とくに、見積もりや積算業務を通じて“この仕事が会社にとってどれだけの利益を生み出すのか”というリアルな数字に触れたことが大きな転機となりました。今では『ただ店舗をつくるだけでなく、この仕事が会社にどう貢献できるのか』を意識しながら取り組むようになっています」
多くの経験を積み重ねる中で、石村は「一貫した業務」ならではの大きなやりがいを見出しています。
「設計段階で、施工の難しさや納まりの美しさまで見据えながら提案できるのが、私たちの最大の強みです。夢物語のデザインを描くのではなく、実現可能な最高の形を、お客さまに自信を持って提案できる。机上のデザインが、現場で職人さんたちの手によって形になっていく過程のすべてに立ち会えるのは、何物にも代えがたい喜びであり、この仕事の醍醐味だと感じています」
挑戦し続けるから、おもしろい。未来の仲間に伝えたい、自分の可能性の見つけ方
入社当時は、将来の転職も視野に入れていたと話す石村。しかし、6年目を迎えた今もスペースで走り続けています。その理由は、尽きることのない「新しい挑戦」の機会にあると話します。
「毎年、本当に違うことに挑戦させてもらっている感覚なんです。物販だけでなくサービス業やオフィスの案件に関わることもありますし、設計・施工だけでなく、デザイン・企画提案コンペに参加してクリエイティブを追求する機会もある。この業務の幅広さが本当におもしろくて、気づいたら6年も経っていました」
その活躍の舞台は、国内に留まりません。
「担当するお客さまが全国に出店されるので、私たちも日本中を飛び回ります。東京の案件だけでなく、お客さまの出店に合わせて大阪など全国各地へも行きます。今年は、海外で特殊な什器を制作する機会があり、中国の工場へ出張して検品作業も経験しました。
最近では、ベトナムのグループ会社へパースの発注を行っており、今後は什器制作まで依頼する予定です。経験を重ねるごとに、活躍できるフィールドが広がっていく感覚があるのも、私にとっては大きな魅力ですね」
最後に、石村はこう話します。
「入社したての頃は、右も左もわからないもので、大学で学んだ知識がそのまま活かせるわけでもありません。私もそうでした。だから一度や二度うまくいかないことがあっても、そこで諦めずに何度もトライする中で、自分の得意なこと、少し苦手なことを見つけていってほしいですね。最初の印象だけで向き不向きを判断するのは、本当にもったいないと思うんです」
そして、仕事を進める中で、1人で抱え込まずに周囲に頼ることも大事だと続けます。
「私たちはチームで働いているので、わからないことは素直に先輩に聞いて、周りに頼ればいい。私自身も、細かい施工の知識はまだまだだと感じているので、苦手な部分は素直にその道のプロである職人さんや、社内の先輩に『教えてください』と聞くようにしています。
そうして信頼できる方に相談しながら成長し、自分もまた、後輩が安心して働けるよう不安や悩みに寄り添える存在でありたいです」
※ 記載内容は2025年8月時点のものです

