調剤を待つ時間のストレスや服薬への不安をくみ取り、気持ちを和らげられる対応を
杉村さんは、2024年4月にそうごう薬局 練馬高野台駅店へと着任しました。入社以来、ご家族の転勤にともなって、熊本、千葉、大阪と異動し、今回が5店舗目です。
「総合メディカルでは、全国勤務の薬剤師職Ⅰa、広域エリア勤務の薬剤師職Ⅰb、エリア勤務の薬剤師職Ⅱ、自宅から通える範囲で勤務する薬剤師職Ⅲに分かれていて、私はⅢの条件で採用していただきました。会社都合での転居がともなう異動はありませんが、総合メディカルは全国に薬局を展開しているので、夫の転勤に合わせて異動させてもらえています」
また、杉村さんは転勤とほぼ時を同じくして社内認定の専門薬剤師として昇格。専門薬剤師としてのスタートが東京への異動と重なり、4月に大きな一歩を踏み出した形になりました。
「専門薬剤師になったといっても、通常の外来業務など、基本的な仕事は変わらず行っています。それに加えて、来月からはブロック内の新入社員教育を担当する予定です。また、現在の店舗では地域とのつながりが強いことが特徴で、月に1回の地域連携会議に私も参加しています」
練馬高野台駅店は、近隣に3つの病院クリニックがあることから、1日に受け付ける処方箋の量が比較的多い店舗です。4人の常勤薬剤師と3人の事務スタッフで店舗の外来業務を担っていますが、患者さんの待ち時間が長くなってしまうことも少なくありません。
「やはり待っていただく時間が長いと苛立ちを感じるのは当然ですし、処方の内容によってあとから来た方の薬が先にでき上がると、それが不満足につながることもあります。ですから、常に待っている方々の表情や態度を気にかけ、お薬をお渡しするときに何か一言添えることで、気分を和らげていただけるようにしています。
また、患者さんによっては服薬に不安を持っている方もいらっしゃいます。お薬の説明をしている際にも、相手の表情やご様子をよく観察して、気持ちに寄り添うことで、安心して薬を使用したり治療を受け入れたりしていただきたいと思っています」
自分が働きかければ変えられる。確信を持って、店舗の働きやすさを改善
杉村さんは、薬学部の卒業とともに薬剤師の資格を取得し、製薬会社のMR職として働いていました。MRの仕事は、立場の違う方と話すことで知識も広がり、非常にやりがいがあったといいます。一方で、医師を通して薬を広めていくため、実際に服薬している患者さんの顔を直接見られる機会はほぼなく、そこに物足りなさを感じるようになっていたと、当時を振り返ります。
「結婚を機に、ライフステージに合わせて働きやすい環境を求めて転職を決意しました。せっかく転職するなら、今度は患者さんに一番近い薬局という現場に勤務しようと思いました。もちろん、実務経験なく中途で入るのには不安もありましたが、入社前に見学させてもらった店舗スタッフの方たちが、未経験でも受け入れてくれる雰囲気だったので、ここなら大丈夫だと確信できました」
最初はわからないことばかりでも、スタッフの誰もが親切に教えてくれたことで、思っていたよりも早く薬局での調剤業務になじんでいったという杉村さん。一方で、異動により、いくつかの店舗での業務を経験すると、店舗ごとのちょっとした違いには戸惑うことがあったそうです。
「前の店舗の方がスムーズなやり方をしているのであれば、自ら改善策を提案しました。働きにくいのは嫌ですし、それはみんな同じですよね。思い切って自分が行動すれば何かを変えられるというマインドは、前職時代から持ち続けています」
患者さんの表情を気にしたり、店舗での働きやすさを考えたりと、周囲が気持ちよくなれるような気づかいが細やかな杉村さんですが、新卒でMRとして働き始めたときは、まったく違ったと笑います。
「前の会社では、MRは2人組でいくつかの施設を担当するシステムだったので、私は年配の男性とペアになっていました。本来なら2人で策を練って行動するべきだったのですが、最初のころは新人という立場もわきまえずに自分のやり方を押し通そうとしていましたね。案の定うまくいかなくて、怒られてばかりでした。
先輩のやり方から、個々の強みを活かしつつ協力し、さらに周囲を巻き込むことの大切さを学びました。最終的には私たちペアが社内表彰をいただくまでの成果を出すことができて、その経験が私を大きく変えてくれたのだと思います」
薬局とは異なる分野での経験を活かし、患者さんにとっても、店舗スタッフにとっても過ごしやすい薬局づくりに貢献しています。
家族の介護を経験したことで、在宅領域の専門薬剤師をめざすように
杉村さんは2024年4月に専門薬剤師としてのキャリアをスタートさせました。総合メディカルの社内認定制度では、専門薬剤師としてステップを踏み、スペシャリストとしてキャリアアップすることができます。
「私が総合メディカルに入社したころは、キャリアパスといえば薬局長になる道がほぼ全てというように思っていました。ただ、薬局長という役割は、私のキャリアとしては少しイメージしにくいものでした。そのため、専門薬剤師という道が総合メディカルの中にできたことで、自分に合ったキャリアパスが開けたように思えました」
総合メディカルの社内認定専門薬剤師は、がん、糖尿病、小児、在宅、腎臓、HIV、プライマリケア、循環器の8領域から専門分野を選択することができます。この専門分野は、より上位等級の専門薬剤師として昇格するタイミングで認定されるもので、今のところ杉村さんは在宅分野をめざす予定とのこと。
「私の家族が要介護状態になり、食べ物を噛んで飲み込む力が弱くなって状態が良いときと悪いときを行ったり来たりしていました。その様子を見ながら、家族が薬を砕いたりつぶしたりしなければならず、介護の大変さを痛感しました。
また、実家から遠く離れていた私は、介護に携わってくれている家族から話を聞くことしかできなかったので、もっと身近なところで薬剤師からアドバイスを受けられる環境があれば、家族が楽になるのにと感じていました。
その経験から、社内研修の在宅医療専任薬剤師育成プログラムに参加しました。一緒に研修を受けた人たちは、年齢層も広く、ユニークな発想を持った方が多く、刺激になりました。もっと勉強をしていきたいと思うようになったんです。それが専門薬剤師をめざした大きなきっかけです」
社内認定専門薬剤師になるためには、昇格審査に合格することが必要です。医療知識はもちろんのこと、患者応対スキル、薬物治療評価の実践スキルなどの保有度や医療者としてのマインドを問われます。杉村さんは自己学習で審査に臨んだそうですが、社内には「専門薬剤師養成講座」という事前の能力開発機会も用意されており、専門薬剤師をめざす社員向けの研修を受けることができます。
「これからさらに高齢化社会が進む中で、薬剤師が在宅医療に関わる機会はますます増加するはずです。患者さんやそのご家族の中には、周囲に頼れず介護でつらい思いをしている方もいるかもしれません。そんな方々にとって少しでも力になれる薬剤師をめざしていきたいと思います」
住み慣れた場所で、その人らしい最期を迎えられるお手伝いができる薬剤師に
在宅医療を考える上で重要なのは、多職種との連携です。薬のスペシャリストである薬剤師には、医師や看護師、ケアマネジャーなどとの協働が求められます。そのため、杉村さんは現在、月に1回の地域連携会議にも参加しています。
「地域で高齢者を支えていくために、多職種との情報交換や連携を行っています。今年は、災害をテーマとしていて、災害時に高齢者が自分の身を守るために何が必要か、備えや行動について考えるイベントを計画しています。また、秋には他の事業所の方と一緒に認知症予防のイベントも実施予定です」
これまで杉村さんが在宅医療に関った経験の中で、お宅へ伺うと毎回必ず拍手をしてくれる患者さんがいました。
「最初は、拍手をされることに戸惑いを感じました。でも、ずっと家にいる患者さんにとっては、2週間に1回、薬剤師が訪れることさえも人生の重要な楽しみなのだと気づいたんです。そんな患者さんに元気をお届けしたり、ご家族が困った際の相談相手になったりできる存在になることを、今は目標にしています。そのためにも、在宅の専門薬剤師として知識やスキルを極めていきたいですね。
そして、患者さんが住み慣れた場所で、その人らしい最期を迎えられるようなお手伝いをしたいと考えています。そのためには、多職種と連携して在宅医療における様々な課題を解決し、多くの人の手で患者さんやご家族を支えていくのが理想。そういった思いを持った薬剤師を増やすためにも、今後は後輩の育成にも力を入れていきたいです」
多くの人が身近で気軽に相談できる薬剤師をめざしていきたいと語る杉村さん。太陽のように明るい笑顔から、患者さんに薬だけでなく元気も届けてくれるに違いありません。
※ 記載内容は2024年7月時点のものです
