ChatGPT利用促進チャレンジで個人1位に。試行錯誤が実を結んだ社内表彰
SBプレイヤーズのグループ会社で、ふるさと納税ポータルサイトを運営する株式会社さとふる。サービスの機能改善や新規企画の立案を担うサービス企画部では、基本的に1つの案件を1人が担当しています。
「現在、5〜6個のプロジェクトを並行して進めています。決裁が下りるまではリサーチを重ね、実現性や収益性を試算しながら、構想を練り上げていきます」
冨士がさとふるに参画したのは、ふるさと納税という言葉がまだ世の中に広まる前の黎明期。以来、事業の拡大とともに担う領域を広げてきました。
「最初のミッションは、制度をわかりやすく伝えるサイトをゼロから構築することでした。その後も、デザインが必要になれば自らデザインを学び、マネジメントが求められれば手法を習得する。システム開発から営業支援、新規事業の立ち上げまで、その時々で組織に必要な役割を引き受けながら、できることを増やしてきました」
そうして新しい領域に踏み込み続けてきた冨士が、いま関心を寄せているのが生成AIです。AI活用を全社で推進するSBプレイヤーズでは、2025年度社員大会で、社内表彰やMVPの発表と並んで「ChatGPT利用促進チャレンジ」の表彰が行われました。
「社内にChatGPTが導入され、次はどう活かしていくかというフェーズに入っていました。活用の輪を広げるために企画されたのが、このチャレンジです。私は日頃から複数のAIツールを使っていたので、いくつかのアイデアをエントリーしました」
冨士は個人利用の1位に選ばれ、取り組みを社内で共有するプレゼンテーションの場にも立ちました。
「AIを用いた業務改善は、通常の仕事のように目に見える成果として残りにくい側面があります。その取り組みが、社内表彰という形で認められた。続けてきて良かったと素直に思いました」
誰もが最初の一歩を踏み出せるように。現場から生まれたAIツール
冨士がエントリーしたアイデアの中で、とくに社内で広く活用されたのが「カスタムGPTを作るためのカスタムGPT」です。開発のきっかけは、AIに関心を持つ人たちの声でした。
「社外のAIコミュニティや勉強会では、プロンプトの書き方がわからずスタートできないという声をよく耳にしていました。社内にも、使ってみたいという気持ちを持つメンバーはたくさんいます。その一歩を後押しできる仕組みを作りたいと考えたのです」
冨士が作ったのは、作りたいツールのテーマを入力すると、AIが必要な条件を順番に質問してくれる仕組みです。質問に答えていけば、最終的にカスタムGPTに設定するプロンプトや質問例が生成されます。
「AIに詳しくなくても、一定の品質までたどり着けるようにしたかったのです。10人いれば10通りのテーマがあります。どのテーマでも、誰が作っても品質に大きな差が出ない。その状態を狙いました」
コンテストに向けて冨士がエントリーしたアイデアは、約10個にも及びました。そこには、自身の日頃の課題から着想を得たツールも含まれていました。
「私自身、文章にこだわるあまり、メールの返信に時間が掛かることがありました。そこで、受信メールと伝えたい内容を入力すれば、返信文のたたき台ができるツールも作りました。一つひとつは些細でも、積み重なると時間を要する業務がある。そうしたものを短縮できる仕組みを、いくつも形にしていきました」
コンテストの期間中も、冨士は利用状況や他の応募作品を確認しながら改良を続けたと話します。
「自分のツールが多く使われていると知って、同じような課題を抱えている人が多いのだとわかったんです。他の作品から学べることがあれば取り入れて、より活用できるツールをめざして何度もアップデートしていきました」
まず触れて、自分で見極める。名前を伏せて品質で挑んだAIとの向き合い方
試行錯誤を重ねる中で、冨士が大切にしているのは、技術に対して柔軟であることです。その原点は、さとふるの初期にWeb制作を手掛けていた頃の経験にありました。
「当時は細部まで完璧にしようとするあまり、1つの方法にこだわって視野が狭くなることもありました。事業が大きくなる中で学んだのは、こだわるべき点を見極め、きちんと前へ進めることの大切さです。何かにこだわるなら、その前に選択肢を知っておきたいと考えるようになりました」
その姿勢は、AIと向き合う現在も変わりません。
「文章作成に限らず、動画や音声、ロボティクスに至るまで、ジャンルを問わずまずは先入観なしに試してみます。朝起きたら新しい技術のニュースをチェックし、就業後に実際に触ってみる。新しいAIが登場すれば自費で契約して、どこまで活用できるのかを確かめています。もう生活の一部ですね。
嫌いだからと切り捨ててしまえば、そこで終わってしまう。触ってみた上で、自分に必要かどうかを自ら判断する。そうしておけば、AIがどちらの方向へ進んでも対応できますから」
コンテストで冨士が提出したアイデアは、すべて匿名でのエントリーでした。
「名前を出すと、冨士が作ったツールだからという先入観が入り、機能そのものの評価にならないと考えました。途中、推進部署から名前を公表しないかと打診された際もお断りしています。良いと思ったから使ってもらう。その形で広がってこそ、本当に良いものだと言えると思ったのです」
匿名である以上、利用者の声が直接届くことはありませんでした。それでも冨士は、その選択を後悔していないと言います。
「フィードバックがあればもっと良くできたかもしれない、という気持ちはありました。ただ、それはコンテストが終わってからお聞きすればよい話だと考えていたのです。フラットに使っていただいた結果、上位に届いたのなら、日々学び続けてきたことが間違っていなかったのだと思えます」
AIは、働く時間を楽しくする相棒。集合知で広げる豊かな働き方
コンテストの期間中、社内には数百に及ぶカスタムGPTが並びました。そこから冨士に見えてきたものがあります。
「他の方が作られたものを見ていると、皆さんがどこに課題を感じ、どの業務にかかる時間を短縮したいのかが見えてきました。一人ひとりの工夫を集合知として磨いていけば、会社全体の力になります。品質の担保されたものを会社として整え、広く使っていただける形にしたいと考えるようになりました」
表彰をきっかけに、冨士の活動は部署の枠を越えて広がっています。
「部内だけでなく全社、さらにはグループ会社からも、AIについて相談される機会が増えました。私自身も皆さんの活用方法を知りたかったので、部署の許可を得て、自主的にハンズオン勉強会を開いています。AIは日々進化していて、以前は難しいとされていた集計や分析も、使い方や確認方法を工夫すれば補助してもらえる場面が増えてきました。
知っていればできることを、社内の誰もが選べる状態にしたい。そうして生まれた時間を、一人ひとりが本当に力を注ぎたい仕事に使ってほしいと思っています」
AIで仕事を効率化する一方で、冨士は自分自身を整える時間も大切にしています。
「ある経営者の方が、AIですべてが効率化されていくからこそ、人間が健康でいなければならないとおっしゃっていて、強く共感しています。食や運動、睡眠を整えつつ、業務はAIと協働していく。
私自身、ヨガの資格を取得して体を動かしたり、寄席文字を書いて集中する時間を設けるなど、意識的に切り替えるようにしてきました。これからのビジネスパーソンにとって、非常に大切なテーマだと感じています」
その先に冨士が見据えているのは、AIのおもしろさを多くの人に届けることです。
「AIは、とても楽しいものです。そのことを、これからも伝えていきたいと思っています。仕事は人生の中で長い時間を共にするものですから、少しでも良い時間を過ごしてもらいたい。AIを相棒にして業務の負担を減らし、誰もが楽しく働ける環境をこれからも作っていきたいですね」
最新技術をおもしろがり、自ら試行錯誤を重ねる冨士。その取り組みは表彰という形で社内に共有され、働く一人ひとりの時間をより豊かで楽しいものへと広げていきます。
※ 記載内容は2026年9月時点のものです
