20代での支店長に抜擢、関西への異動、そして本部長へ
勤続21年半の経歴を持つ山口は、新卒でランスタッド統合前の富士総合サービスに入社し、人材業界で経験値を積み重ねてきました。
「日雇い派遣『スポットジョブ』のコンサルタントとして栃木県の宇都宮でキャリアをスタートさせ、埼玉の熊谷と久喜に異動しました。5年目になるときに支店長を、2年後にエリアマネジャーを経験しました。まだ20代の若手社員にもかかわらず、月商1億円の支店を任されて『この会社大丈夫?』と思いました。『年商12億円の会社社長と同じじゃん!』って(笑)」
その後、本社の営業企画に配属となったころにランスタッドと統合。時短勤務中の社員をメインに構成した部署の立ち上げや関西のエリアマネージャーなどを経て、2021年にSPOT事業の本部長として東京の本社に戻ってきました。山口は今、「スポットジョブ」の認知拡大に全力を注いでいます。
「長期の仕事を紹介する事業は、人材会社でなくても行政がハローワークで行っています。しかし日本の雇用において、デイリーワーカーの紹介は、おそらく行政ができない事業。国にできないモデルを私たちが担っているというのが、この事業本部の誇りであり魅力です」
日雇い派遣事業に関しては、2021年の派遣法改正にともなって法令違反で廃業となった企業がありました。原則禁止とされた法改正以降、事業から撤退した企業が多くあります。
「ランスタッドではコンプライアンス重視でクリーンに続けています。また、日雇い派遣事業の分野で国内トップレベルの実績があります。介護などの事情で常勤では働けない方、世の中とつながっていたいアクティブシニア、少しでも家計の足しにという方など、さまざまな方が日雇い派遣で勤務されています」
法律では原則禁止とされた日雇い派遣。ランスタッドでは法律を遵守し、働きやすい環境をしっかりと整備した上で日雇い派遣事業に取り組んでいます。多様なニーズを満たすためにも世の中に必要とされている仕事だということを、もっと社内外で認知してもらいたいと山口は考えています。
人の人生に関わる、意義ある仕事
「日雇い派遣の事業はIT化が不可欠。ちょっと時間が空いたときにアプリで調べてすぐ仕事ができ、働いたら週払いですぐ報酬をもらえる。それができるシステムがあることがランスタッドの利点です。スタッフやクライアントにとっても、社員にとっても利便性が高まっています」
クライアントから翌日のスタッフ派遣を依頼されることもあるスポットジョブ。明日働けるスタッフを今日マッチングさせなければならない業務というのは、コーディネーターの社員にとってストレスを感じる状況です。
効率的・効果的なシステムの導入を常に検討し、当本部に関わっている社員にとって、また当社を選んで仕事をされている派遣スタッフやクライアントにとって利便性を向上できる仕組みをリリースしたいと考えています。
「優秀なコーディネーターが多く、チームを組んで対応しています。スポットジョブにおけるわれわれの役割は、選挙スタッフや検定試験の試験監督といった運営の要となる補佐。
選挙では国の行方が、大学入試や国家試験などは人の人生がかかっている。スポットジョブは社会にとってすごく意義のある仕事だからこそ、自分の想いや方針を社員に直接話しに行くようにしています。全員と1on1の機会を設けて一人ひとりの意見を聴くようにしています」
そんな熱い想いを込めたブランドとしての“プロミス”を、社外だけでなく社員に向けても広報し、ランスタッドファンを増やしていく活動に取り組んでいます。社員にファンが増えることでシナジーが生まれ、1+1が3にも5にもなると信じているのです。
「その想いを込めて、『スポットジョブ川柳大会』をやったんですよ。事業部のメンバーから196句の川柳が集まりました。みんなのコメントがポジティブで『5年後には“スポットジョブ”が流行語大賞になるように広めていきたい』とか、すごく嬉しくて。私も本気で1位を取りに行ったんですけど取れなくて悔しい想いをしました(笑)」
原則禁止でも求められるスポットジョブの価値
先日開催した「サンクスイベント」では、スポットジョブで働く全国の登録派遣スタッフ約500人がオンラインで集まりました。これは派遣スタッフへの日頃の感謝とプロミスを伝えるための企画。アンケートに回答した派遣スタッフには、社長名入りの手紙を添えたノベルティも配布しました。
「派遣スタッフからは『日頃お世話になっているのに感謝まで伝えてもらえるなんて』『逆に私たちがお礼を言える場を作ってほしい』『短期の仕事でサンクスイベントをやっていただける会社なんてない』とコメントをもらいました。派遣スタッフの生の声を聞き、スポットジョブのニーズを改めて実感する有意義なイベントになったと思っています」
日雇い派遣が社会問題になったころ、マスコミに取り上げられたイメージと実際のスポットジョブは大きく乖離していたと山口は言います。法律で原則禁止とされていても、たくさんの人に必要とされている就業の形なのです。
「学生がスポットジョブをきっかけに『この仕事が楽しい』とその業界に就職し、クライアントとして依頼をされたことがあります。スポットジョブで半年間働いてお金を貯め、海外でコーヒーの勉強をして来てコーヒーショップを開いた方もいます。オープン初日に『ぜひ来てほしい』と連絡をもらい、会いに行ったら『山口さんのお陰でこうやってお店を持てました』と言ってもらえました」
日雇いという特性ゆえ、保証がないという部分ばかりがクローズアップされてしまった部分もあります。しかし日雇いだからこそ、誰かの人生にとって重要な役割を果たしていることは、まだあまり知られていません。それでも山口は、このスポットジョブのビジネスを1,000億円規模まで拡大させたいと考えています。
「無記名で社員の満足度を測るアンケートではさまざまな意見をもらいます。そして、全社平均に比べるとまだ低いですが、満足度の点数が上がってきています。それから『他の人に勧めたい』という“推奨者”も5人から41人にまで増えました。これを100人まで増やしたい。社員のエンゲージメントと成長は事業の成功に欠かせません」
転職はステップアップ。それでも留まる理由は人とのつながり
長年勤めたランスタッドの本部長として使命感を燃やす山口ですが、キャリア形成をする上で転職市場を常に意識していると話します。自分の視野を広げるためにも、広く世の中を見る必要があると考えているのです。
「今はどうやって自分のキャリアを積むのかを自分で探していく時代。以前は一社で忍耐強く働いてきたことが評価されたかもしれないけど、今の転職市場でそれは『柔軟性がない』と判断されリスクになるかもしれません」
自分の市場価値はどれくらいあるのか。転職するとしたら、どう評価されるのか。そうやって自身を外から冷静に見つめる目を持っている山口。
「部下の転職にもネガティブではありません。もちろん社員に辞められるのは痛いですよ。でもやりたいことを見つけて転職していく人はみんなポジティブだし、ステップアップとして応援したい。だから市場を広く見て、その上でランスタッドの良い点・悪い点を見るようにと、エリアマネージャや支店長によく話しています」
山口自身、これまで仕事を辞めたいと思ったことが何度もあったと言います。とくに関西への異動が決まったときは、本当に辞めようと考えました。
「首都圏の本部長にもチャレンジしたかったし、関西でのキャリアなんて考えていませんでしたから。でもエリアマネジャークラスの社員に対して、当時の上司であった常務や、現在のCOOが忙しい中時間を作ってくれて、話を聞いてくれたんですよね。『行ってみると良い経験ができるよ』と。今になって思うとすごくありがたいことでした」
そうやって背中を押された山口は今、関西に行って良かったと本気で思っています。貴重な経験を積み、社内外の人脈が大幅に増えたという関西赴任期間。それを得られたのも、支えてくれた人がいるからだと感じています。
「こういう人たちがいるから、苦しいことがあってもこの会社に残ってきたんだろうと思っています。やっぱり人とのつながり。根本に人を大事にしようという想いがあるんですよ、みんな。“どこでやるか”じゃなくて“誰とやるか”ということ。今でも悩みながらですけどね。
私の最終目標は『日本の人事部になる』ということ。人材紹介も長期派遣もできるし、優位性・独自性のある日雇いのスポットジョブもある。人とのつながりを大切にし、すべてのメニューを持っているランスタッドなら、それができます」
人を大事にする会社で、人を大事にしながら、スポットジョブ分野のトップランナーをめざす。山口の新たな挑戦ははじまったばかりです。
※ 記載内容は2023年6月時点のものです
