入院時の担当医と薬局実習の薬剤師──尊敬する2人との出会いで医療の道を志す
学生時代、私が最も力を入れたのはテニススクールのコーチのアルバイトでした。大学2年生から4年生まで続けたこのアルバイトでは、お客さま一人ひとりに合わせたレッスンを提供することを意識していました。
生徒さんがスクールに通う理由はさまざまで、「上達したい」という方もいれば「楽しみたい」「友達をつくりたい」という方もいます。前者であれば技術的な指導を重視するなど、個々のニーズに合わせた指導を心がけていました。アルバイトで培ったコミュニケーション能力と、相手に合わせて対応するスキルは、今の薬剤師という仕事にも活きていると思います。
そもそも私が医療業界に興味を持ったきっかけは、高校2年生の時の入院経験でした。痛みで精神的に辛かった時、担当の医師は共通の趣味の会話などを通して自然と心を開かせてくれた上で、私の不安まで丁寧に聞いてくれました。常に前向きな言葉で励ましてくれて、「この先生に任せれば絶対治してくれるだろうな」と感じさせる方だったんです。その姿に憧れ、最初は医学部をめざしていました。
しかし目標には届かず、薬学部に入学したものの、正直に言えば途中までは「絶対に薬剤師になる」という強い想いは持っていませんでした。そんな私の転機となったのが、5年生の時の薬局実習です。そこで出会った薬剤師の先生が本当に素晴らしい方で、「私もこんな薬剤師になりたい」と決意したんです。
先生のどこに惹かれたのかと言えば、「見返りを求めない姿勢」です。たとえば先生は、薬局業務や実習生の指導をしながら、聴覚障がいの方向けの勉強会を何カ月もかけて企画・準備していました。
そして勉強会当日、参加者からの質問に的確に答え、大盛況だったにもかかわらず、先生は謝礼金を受け取るのを断ったんです。人が喜ぶことを見返りなしで、しかも高いレベルでやってのける姿が本当にかっこよくて、「この人と同じ仕事がしたい」と改めて本気で薬剤師を志すようになりました。
面接での誠実な対応が決め手に。大手調剤薬局の中から、クオールを選んだ理由とは?
就職活動では、大手調剤薬局の上位4社にエントリーし、すべてから内定をいただきました。その中でクオールを選んだ決め手は、選考中に感じた「誠実さ」に尽きます。
たとえば、クオールの採用担当者は自社をPRする際、決して他社を批判しませんでした。また、企業研究を進めるうちにクオールには資金借入があると知り、それを面接で思い切って質問してみた時のこと。採用担当者は「きちんと調べてから回答します」と言ってくれて、後日財務担当者から丁寧な説明があったんです。その場でごまかしたりせず、誠意と透明性のある対応をしてくれたことで、すごくいい会社だなと感じました。
入社後も、その誠実な印象は変わりません。たとえば薬局では、お薬をお渡しする際に調剤報酬を加算することがありますが、クオールの研修では加算後の金額を患者さまにしっかりと事前に説明するように教えられました。実際の業務でも誠実さを大事にしているのだと感じ、この会社を選んでよかったと思っています。
調剤の手技や患者さまからの思わぬ質問に苦労しながらも、薬剤師として一歩ずつ成長
入社後は、まず5日間の新入社員全体研修があり、その後配属店舗で3カ月間の研修がありました。店舗研修では、年齢の近い先輩社員がFL(フレッシュマンリーダー)としてマンツーマンで指導してくれます。
また、私の配属先は総合病院の目の前の薬局で、365日朝~夜遅くまで営業する大型店舗。パート薬剤師も含めて大勢のスタッフがいるので、わからないことがあればFL以外にもすぐに質問できる心強い環境でした。
店舗研修は複数のタームに分かれていて、各ターム終了時に筆記テストと実技テスト(スキルチェックテスト)があるのですが、このテストにはかなり苦労しました。とくに私は、軟膏を混ぜるなどの手先を使う作業が苦手で、テストの時は制限時間がある、かつ薬局長が見ているというプレッシャーがかかる状況でその作業を行うのにとても苦戦しましたね。
不合格になってしまったテストは、再テストまでの間に実際の調剤業務でも時間を意識したり、先輩や薬局長にアドバイスをもらったりして対策し、無事合格できました。
薬剤師として働き始めてもうひとつ苦労しているのは、患者さまからの質問にまだ一人でうまく答えられないことです。たとえば、薬の飲み合わせについて聞かれてすぐに答えられないと自分の知識不足を感じますし、「処方された薬を飲みたくないんだけど、医者には言わないでほしい」など思いもよらない相談をされて戸惑うことも。
でも、私が自信なさそうに対応すると、患者さまにも店舗にも迷惑をかけてしまいます。どんな質問にも先輩たちのようにスパッと答えられるように、周りにアドバイスをもらったり、後でメモを見返して復習したりすることを徹底しています。
店舗に配属された当初は、みんな忙しいなか自分の育成にかける時間をつくってくれるのだろうか……と心配になりました。しかし実際は、薬局長がシフトをずらしてまで自分と向き合う環境を整えてくれましたし、テストのフィードバックでは毎回丁寧なコメントをくれました。
窓口に立ち始めたばかりでうまくいかない時は、周りの先輩たちが、「ここよかったね。次はこう聞いてみるといいんじゃない?」と見守ってくれていて。自分のどんな質問にも真摯に答え、手厚くサポートしてもらえたことは、いい意味でのギャップでしたね。
憧れのかかりつけ薬剤師への第一歩。将来は周りを明るくする現薬局長のような存在に
薬剤師になってからとくに印象に残っているのは、ある患者さまから「かかりつけ薬剤師をお願いしたい」と言っていただいたことです。
じつはこの仕事を始めた当初から、かかりつけ薬剤師に憧れがあって、患者さまにこの言葉をかけてもらうことがひとつの目標だったんです。すでにかかりつけ薬剤師として活躍する先輩の助言を参考にしながら、患者さまとフランクに話しつつも、薬の飲み合わせなどはしっかりと調べて対応するよう心がけてきました。
その結果、ついにある患者さまがかかりつけ薬剤師に興味を示し、私にお願いしたいと言ってくれたんです。実際に正式なかかりつけ薬剤師としてアドバイスできるのは入社4年目以降にはなりますが、少しは信頼される薬剤師になれたのかなと、自分自身の成長を実感しました。
私は、仕事をするからには上をめざしたいと考えているので、キャリアの目標は薬局長や管理薬剤師になることです。そして、今の店舗の薬局長のように、周りを明るくできる薬剤師をめざしたいと考えています。
薬局長は話が上手でみんなとフランクに話しながらも、部下のためになる情報をさりげなく提供できる人です。患者さまとの対応を見ていると、単なる業務としてではなく、人と人との関係性を大切にしながら接しているのがわかります。そのため、笑顔で帰られる患者さまが多いんです。相手が笑顔になる会話ができるのは、それだけ相手のことをよく見て、理解しようと努めているからこそだと感じます。
一緒にいると明るい気持ちになり、「この人のためなら頑張れる」と思える人なので、私の中では薬剤師としての理想像ですね。私も日々の業務の中で患者さまの表情や言葉に注意を払い、一人ひとりのニーズに合わせたサポートを提供し、信頼される薬剤師になれるように努力していきたいと思います。
※ 記載内容は2024年8月時点のものです
