異例のスタート。いきなりの海外法務も、多くの経験が積めることにワクワク
新卒でパナソニックグループに入社後、くらし空間の商材を扱う事業で海外法務グループに配属。当時は国内法務で基礎を学んでから海外法務へ配属されるケースが多い中での、異例のスタートだったと大久保は話す。
「国内法務では当時、コンプライアンスや契約などそれぞれで部署が分かれていましたが、海外法務はすべてを担当するため、幅広い知識を短期間で覚え込む必要があり大変でした。私にとっては、多くの経験を積むことができるワクワク感の方が大きかったですね」
その後、電子部品やモータを扱う事業、サプライチェーンや公共サービスなどに向けたソリューションを扱う事業と異動し、国内・海外の法務業務に従事。この頃には、ひとりで案件をこなすことができるようになり、大型プロジェクトの主担当を任されることも増えていったと言う。
海外M&Aに成功。学びを糧に社内留学制度で渡米し、ニューヨーク州司法試験に合格
「M&Aやアライアンスのような戦略案件では、厳しい交渉で心が折れそうなときもあります。それでも案件をリードする高揚感が大きく、人間的にも成長を実感することができ、とてもやりがいを感じています」
中でもベルギーにある大手物流ソリューション会社のM&Aは、自信を大きく成長させる仕事となったと振り返る。担当する事業部門が、パソコンや業務端末などハード中心から、ソフトなどを使った課題解決に軸足を移そうとしている時期。大久保が携わったのは、その先駆けとなる案件だった。
「事業部門の新しいチャレンジに強く共感し、ぜひ買収を実現したいと思いました。一方、買収額も数百億円単位にも上り、当社としては高額な案件でしたね。事業を守るガーディアンとしてリスクを慎重に見極め、契約などでリスクヘッジするように心がけました」
海外M&Aならではの難しさも味わったと大久保は言う。
「上場会社なので少数の株主の権利を守る現地の法律があり、その対応に苦労しました。現地の弁護士にアドバイスをもらって、現地の証券会社と連携してなんとか乗り切ることができました」
契約交渉はギリギリまで粘り、パナソニックにとってリスクの少ない条件で合意できた大久保。この仕事が多くの学びにつながったと話す。
「その国の法律の知識はもちろん、関連分野の税法やファイナンスなど幅広い知見、さらに交渉力、調整力、コミュニケーション力など、総合的なヒューマンスキルが求められることを知りました。また、買収後は、同じベクトルを持つ仲間としてやっていくわけですから、その国の文化や考え方を理解し、現地の社員と信頼関係を築くことの大切さにも気づくことができました」
大久保は、この仕事を終えると社内の派遣留学制度に応募し、シカゴにある米国ロースクールに留学。世界中から集まる優秀な人材と切磋琢磨しながら、法律専門家としてのスキル、国際コミュニケーション力、さらにはニューヨーク州の司法試験合格と、実に多くのものを手にして帰国した。
学術研究を経て、大学院で出合った企業法務。やりがいを感じ、進路を定める
大久保は、大学4年時に進路を変更している。
「司法試験の勉強をしているうちに、同じ法律でも学術研究の方向に関心が向いていったんです。大学院に進み、アメリカやフランス、ドイツなど先進国の法制度を研究することで、日本の立法政策について考えてみたいと思いました」
その後、大学院で研究を続けた大久保だが、転機となる出会いがあった。講座で学んだ「企業法務」だ。法律の専門知識を使ってビジネスを支える第3の道として、心惹かれたと言う。
「折しもパナソニックグループがインターンシップを募集しており、『モノは試し』と飛び込んだんです。参加してみると、まず工場の敷地の広さと、働いている人の多さに圧倒されまして……。ビジネス活動について、リスク対応も含め、限られた法律専門家が支えているんだなって。大きなやりがいがありそうだなと思えましたね」
紆余曲折の末、大久保の進路は定まる。今に至る道のりの始まりだった。
見えないところから、見違える世界に変えていく
大久保の趣味は海外旅行だ。異文化交流に関心を寄せ、スペインやモロッコなど、これまで25カ国を訪れた。サッカー観戦も好きで、週末の夜はテレビで欧州サッカーを楽しんでいる。最近では健康のために、大阪城公園を早足で歩くことを日課にしている。
入社14年目。法務一筋で歩んできた大久保には、野望がある。
「目標にしている先輩がいます。元上司で、法律のみならず実にさまざまな分野に精通されています。経営層が集まる会議でもよどみなく発言され、存在感を放っていました。そんな先輩に早く追いつけるよう、自分の専門性やスキルの幅を広げ、成長していきたいです。そしていつか、事業責任者を参謀役として支え、経営に直接的に貢献できるようになりたいと思っています」
目を輝かせる大久保は、飽くなき向上心を胸に今日も走り続ける。
※ 記載内容は2023年10月時点のものです
