農林中央金庫や系統組織のシステムリスクを評価し、最適な対応を提案
加藤と廿楽が所属するのはIT統括部のシステムリスク管理班。システム導入の際のリスク評価やセキュリティの相談窓口などを担っています。
廿楽:農林中央金庫や系統組織で導入されているシステムに関して、リスクや問題がないか評価するのがシステムリスク管理班の主なミッションです。また、システムやセキュリティに関して各部門から寄せられる相談にも対応しています。
加藤:最近はシステム部門だけでなく、営業部門などからの問い合わせも増えてきました。クラウドの流行にともなって高まりつつある情報漏洩などのリスクにどう対応すべきかといった内容の相談が多い印象です。
システムリスク管理班は、農中情報システム株式会社から出向している職員も含め6名体制。全員がシステムリスク評価に携わりますが、農林中央金庫とグループ会社、それぞれのシステム担当に分かれて業務に当たっています。
加藤:農林中央金庫のリスク管理支援を4名、グループ会社のリスク管理支援をそれぞれ2名で担当していて、廿楽さんは農林中央金庫を、私はグループ会社を担当しています。農林中央金庫と比べると、グループ会社にはITに関する人材やリソースが不足しています。そのため、システムリスク管理班が各社をサポートしているかたちです。
廿楽:農林中央金庫側の担当者間では、チームメンバー間の業務範囲に明確な線引きはしていません。たとえば、最初の問い合わせの窓口を私が務め、その後の案件管理を別のメンバーが対応するという具合です。
金庫内やグループ会社から実にさまざまな相談が寄せられるシステムリスク管理班。農林中央金庫やグループ会社の組織・業務運営を支えるITインフラを運営する立場として、大切にしていることがあります。
加藤:近年のホットなトピックとなっているサイバーセキュリティを中心に、対応方針等の相談が寄せられます。方針の助言にあたっては、当金庫やグループ会社を取り巻くリスク環境や、対策にかかるコストと削減されるリスクのバランス、また、対応に必要なリソースの制約を総合的に考え合わせた上で、各グループ会社の実情に合った最適な解を見出すことを意識しています。
廿楽:システムリスク管理と言うと、セキュリティに関してダメ出しする部署のようにも受け止められがちですが、リスクについての正しい理解を促すことが私たちの役目。システムが抱えるリスクを認識していただくために、相手のITリテラシーに合わせた説明を意識しています。また、具体的な対策について、こちらから一方的に提案するのではなく、それぞれの部署の方と相談しながら、最適と思える解決策を導き出すことを心がけています。
あらゆるリスクに対応するため、システムリスク管理班では、部署内のナレッジを更新・蓄積するための取り組みにも力を入れてきました。
加藤:外部のコンサルタントから最新技術やサイバー攻撃の事例などに関する情報を定期的に報告してもらっていて、私がそれを取りまとめた上で金庫内関係部署へ共有しています。
廿楽:IT統括部内での活動も活発です。たとえば、過去のシステム開発事例を共有するなど、ITリテラシーの向上をめざし、IT統括部の外にも開かれたかたちでさまざまな研修や勉強会を企画する班もあります。
農林水産業に貢献したいと農林中央金庫へ。入庫の背景にあったそれぞれの想い
大学では経済学を専攻していた廿楽。金融業界を志す中、農林中央金庫が掲げる理念と人の魅力に惹かれ、2015年に入庫しました。
廿楽:農林中央金庫には、「日本の農林水産業の発展に寄与するとともに、国民経済の発展に資する」という明確な使命があります。銀行の業務は多岐にわたりますから、仮に想定外の業務を担当することになっても、理念に共感さえできていれば、それが働き続けるモチベーションになると考えていました。
また、社風や風土に自分がマッチしていると感じたことも入庫を決めた理由のひとつです。選考の過程でさまざまな方と会う機会がありましたが、等身大の自分のまま話せた感覚があって。意見が対立したとしても、互いに妥協点を探り合っていけるような方が多い印象を受け、入庫を決めました。
一方の加藤が入庫したのは2018年。廿楽と同様、入庫の背景にあったのは、農林水産業に携わる方々を支えたいという想いでした。
加藤:大学で農学の研究をするうちに、農林水産業に貢献したいという気持ちが芽生えていました。関連省庁に勤めることを考えていたのですが、就活する中で気づいたのが何をするにも資金的な問題がついて回るということ。金融面から農林水産業の発展に貢献できるところに魅力を感じて入庫を決めました。
IT統括部に特定職で入庫している加藤。入庫の翌年と4年目の2度にわたり、海外支店トレーニー制度を利用して海外支店での業務を経験しています。
加藤:IT統括部には、若手職員が海外支店での勤務を通じて語学力や国際感覚、海外ITインフラの知識を身につけられるトレーニー制度があります。もともと海外勤務に興味があり、若いうちから海外に行くチャンスを使わない理由はないと手を挙げました。
2019年に3カ月の短期枠でロンドン支店に行きましたが、短い期間で知識を吸収しきれないまま帰任したため、2021年にもう一度、今度は1年の長期枠でシンガポール支店へ。支店ITインフラの高度化、当局規制対応などに携わりました。
加藤が担当するグループ会社の中には、オランダやオーストラリアなど海外拠点も含まれます。トレーニー制度で培った経験がいまに生きていると言います。
加藤:海外拠点にはそれぞれの国の特有の文化のようなものがありますし、各国ごとに規制の内容も異なります。また、ITインフラ面も国内とは大きく異なり、本店側に詳細を理解している人材が不足しているため、それが本店と海外拠点の意思相通の障壁のひとつとなっていました。
そういった海外拠点の事情を理解できているので、システム導入支援等で適切なアドバイスをスムーズに連携できるなど、コミュニケーションはとてもしやすいと感じています。
営業部門を経て、知識のないままIT統括部へ。自由闊達な雰囲気の職場で成長
廿楽が入庫後に配属されたのは本店業務部。ITとは無縁のキャリアながら、当時身につけたことが財産になっていると言います。
廿楽:入庫して3年目までは、いわゆる営業部門に在籍していました。最初の1年ほど貸出・預金などの銀行事務を担当した後、紙パルプ・印刷業界の法人のお客様担当となり、融資やビジネスマッチング提案などに携わっています。
業務内容はいまとまったく異なりますが、お客様への提案のプロセスや人の巻き込み方など、営業部時代に培ったコミュニケーションのスキルが、IT統括部でさまざまな部門とやりとりする際の下地になっていると感じます。
入庫4年目に廿楽はIT統括部へ。自ら希望した異動先でした。
廿楽:営業部門でさまざまなお客様を担当し、企業の中のことが理解できるようになっていく中で、自分が所属する農林中央金庫の経営や内部について知りたいと思うようになっていったんです。中でもIT統括部を希望したのは、システム面から農林中金全体を見ることができると考えたからでした。
ITの素養がまったくなかった廿楽。当初は苦労が多かったものの、周囲に支えられながら一つひとつ仕事を覚えてきました。
廿楽:最初に配属されたのが、系統組織のサイバーセキュリティ対応を担うCSIRT班。各所から照会が押し寄せる中、業務をひとつこなすのに長い時間がかかるなど、混乱状態が続いていました。
ただ、班のナレッジがきれいに整理して蓄積されていたほか、経験の長いベテラン職員も多かったため、上司やほかのメンバーにわからないことを聞いて覚えてを繰り返し、少しずつ自分にできることを増やしていきました。
資格取得のための奨励制度も活用しながら無理なく勉強できる環境があったので、まったく畑違いであった割には案外スムーズに業務習得ができたと思っています。
トレーニー期間を挟んで一貫してIT統括部を内側から見てきた加藤と、他部署での勤務経験のある廿楽。同部には風通しの良さがあると口を揃えます。
加藤:年次の近い職員が集まっていて、困ったことがあればすぐに相談できる雰囲気があるのが特徴です。管理職のメンバーともフランクに話せる環境があって、ほとんどストレスフリーで仕事ができています。
廿楽:私も同じ印象を持っています。誰かに相談したいことがあれば、チャットツールで気軽に投げられるなど、気負うことなく誰とでもコミュニケーションを取れるので、とても働きやすいと感じています。
組織の変革と事業の成長をシステムの面から牽引。大きな責任が充実感に
農林中央金庫だけでなく系統組織信用部門向けのITインフラの構築・運営も手がけるIT統括部。大きな責任がともなう反面、仕事のやりがいも大きいと言います。
廿楽:私たちが決定したことが、全国のJAさんに向けて提供されることになります。巨大な組織のシステムに対してどんな施策を打っていくべきか、セキュリティ面でどんな対応が必要かなど、きわめて影響範囲が大きい仕事に携われるのは、農林中央金庫ならではの醍醐味です。
以前、CSIRT班でJAさん向けにサイバーセキュリティ対策向上のための施策を立ち上げた際、当初は「JAの業務とはあまり関係ないよ」という声もありましたが、数年にわたるプロジェクトの中で脅威や脆弱性について注意喚起を続けた結果、サイバーセキュリティ対策の実施率が大幅に上昇しました。現地で説明会を開催すると、その場で良い反応が返ってきたことも。確かな手ごたえを感じながら取り組むことができたのを覚えています。
加藤:私の場合、農林中央金庫全体に関わる大きなプロジェクトに携わることが何度かあり、それがやりがいになっています。
たとえば、2018年に金庫初のクラウド本格導入プロジェクトを担当したのですが、当時クラウドに詳しい職員があまりいない中、手探り状態ながら約1年の歳月をかけて無事に遂行することができました。
その他にも、アムステルダム新拠点の設立サポートや、新グループウェアの全社導入など、組織が大きいだけに、大がかりなシステム刷新の機会が多いのですが、比較的若いうちからそうした大きなプロジェクトに参加できるのも農林中央金庫だからこそだと考えています。
今後もIT統括部で専門性を高めていきたいと話す廿楽と加藤。それぞれ将来をこう展望します。
廿楽:IT統括部の業務内容は管理と開発企画とに大きく分けられます。これまで担当することが多かったセキュリティやリスク面の知見も引き続き深めながら、いずれはシステムの開発企画にも携わってみたいと考えています。
加藤:管理と開発企画のいずれかに特化した知識があっても、最適解を出すことはできません。両方に精通する俯瞰的な視点を持った存在をめざしたいと思っています。
また、IT統括部内に海外拠点のITインフラにかかる知識が蓄積されるようになったのは最近のことで、海外拠点に対するITサポートがまだまだ行き届いていないのが現状です。海外ITインフラの向上に継続的に関わっていきたいですね。
サイバー攻撃はこれまでにないほど身近なリスクとなりつつあり、セキュリティ対策の重要性は増すばかりです。未来の仲間に向けて、ふたりはこう呼びかけます。
加藤:ひと口にITと言っても、農林中央金庫には金庫プロパーシステム、系統組織向けシステム、そして海外拠点インフラなど、実にさまざまな経験ができる機会があります。正直に言って、IT統括部での仕事は、直接的に「農林水産業に貢献できている」と感じられる機会は少ないかもしれません。
一方で、どの部署のどの職員も、必ず一日の仕事の中で何らかのシステムを利用するため、金庫の組織・業務運営を支える各システムの安定的で安全な提供、そしてユーザビリティの向上は、すべての職員の「農林水産業へ貢献する」ことの土台となっています。この点に、ITの仕事の魅力があると思っています。
廿楽:IT統括部には、学生時代からITを専門にしている人の方が少ないです。周囲のサポートも充実していますし、資格の奨励制度もあります。未経験だからとあきらめるのではなく、安心して来ていただけたらと思います。
※ 記載内容は2023年10月時点のものです

