変化に対応していくために。4つの価値観で描く、人材戦略の新時代
株式会社日清製粉グループ本社は2022年に新しい人材戦略を社内外に公表しました。戦略の柱として「人材力向上」「組織力向上」「ダイバーシティの推進」という3つを掲げています。
この戦略には、当社が求める人材像として4つの価値観「自律」「挑戦」「信頼」「協働」を設定しました。これらの価値観に基づき、採用や育成、定着、活用といった具体的な施策の方向性を打ち出すとともに、組織改革や働き方改革、時代に適合した人事賃金制度の見直しなども含めた包括的な戦略としています。
従来、当社では人材戦略や人事戦略を社外に公表してきませんでした。しかし、社員が誇りを持って会社とともに成長できる環境を作るためには、めざす方向性を社内外に明確に示してグループ全体として認識を揃えて取り組みを進めていく必要性を感じ、公表を始めました。
4つの価値観の設定には、深い意味が込められています。まず「信頼」は、当社の社是「信を万事の本と為す(しんをばんじのもととなす)」に基づく、もっとも大切にしている価値観です。何をするにも信頼がまず必要であり、当社では個々が信頼に足る人材になることが当然のこととして求められています。「協働」は、2001年の分社化の際に打ち出した「自立と連合」という考えから、組織間の連携だけでなく人としての協働も不可欠という観点で重視しています。
そして4つの中でも「自律」と「挑戦」は、これからの当社にとってとくに重要な価値観です。当社は長年、技術を磨いて安定的な成長をめざしてきましたが、時代の変化に対応するためには新たな「挑戦」も必要です。そして、これらの価値観を実現するためには、社員一人ひとりが自ら学び成長する「自律」が不可欠だと考えました。
「自律」と「挑戦」を育む新たな施策。一つひとつを着実に進め、変化を起こしていく
新しい人材戦略の実現に向けて、まず取り組んでいるのが社員の「自律」的な学びを支援する研修制度の刷新です。これまでは会社主導の研修が中心でしたが、受動的な研修では内容を忘れてしまうことも多く、効果が限定的でした。
そこで、現在は社員自らが手を挙げて参加できる研修を増やす方向にシフトしています。階層別研修は必要最低限に絞り、代わりに社員が求めるタイミングで必要な育成施策を受けられる仕組みへの移行を進めています。研修内容も、現在の業務に関連するものだけでなく、将来のキャリアを見据えた幅広いラインナップを拡充しているところです。また、今後については、社内に「学ぶ風土」を作っていきたいと考えており、それに向けた施策の検討を進めています。
そして、もう1つの重要な施策がグループ内公募の実施です。まずはトライアルから始めるべく検討を進めていますが、これは人材が必要と考える部署が募集を出し、社員が自ら手を挙げ、応募できる仕組みです。
日清製粉グループは幅広い事業領域を持っているため、現在の仕事とまったく異なる領域での活躍の機会が多くあります。転職して新しいキャリアを探すのではなく、グループ内で可能性を追求できる環境を整えたいと考えています。
また、人事部門としても大きな「挑戦」を進めています。その1つが、本年度から開始したグループ一括・職種別採用です。グループ一括採用については、グループ内の幅広い事業領域での活躍をイメージしてもらうことで、選択肢が広がり、それが魅力になると考えたために導入することとしました。
今後、現在検討しているグループ内公募そのほかの施策とも合わせ、入社後自律的に幅広いキャリアを形成する人材が増えてくれることを期待しています。
職種別採用については、営業コース、経理コースなど職種別のコースを設定することで、自身の適性やキャリアプランに合わせて応募しやすい仕組みが整えられると考えて導入することとしました。
もう1つの挑戦は、約20年ぶりとなる人事賃金制度の見直しです。管理職の制度の見直しから検討を進めており、現在資格・賃金・評価のそれぞれの制度について課題の整理と課題を解決するための施策の検討を行っています。
これらの施策一つひとつを着実に進めていくことで、会社の変化を感じ取り、ポジティブに受け止める社員が増えてくると信じています。
自ら学んだ知識と経験からの気づきを武器に、さらなる挑戦のため日清製粉グループへ
1997年、私が最初に社会人としての基礎を築いたのは、乳業メーカーでした。今は人事・労務の分野でキャリアを積み上げていますが、初期配属は関西支店での営業のバックオフィス業務でした。この時、営業データの分析や提案書作成などを担当する中で、関数・マクロを含めたExcel、PowerPointなどの基本スキルを身につけることができました。これらのスキルは、その後のキャリアで大いに活かされました。
営業のバックオフィス業務を5年経験し、その後念願の営業外勤業務となりました。社内の営業コンクールで1位を取るなど順調に経験を積んでいたのですが、残念ながら外勤業務は1年間で終わりを告げます。
外勤業務を始めて8カ月が経過したある日、当時の人事部長が突然関西支店を訪れ、支店長を交えた飲み会が行われました。その場で、実は自分は大学時代に心理学を専攻しており、その知見を活かして「人を支える裏方の仕事がしたかった」という想いを人事部長に伝えたことがきっかけで、私の人事部門としてのキャリアが始まりました。
人事部門に異動してみると、これまでの自分の無知さに気づかされました。人事業務をするにあたり、労働についての基本的な知識をまったく持っていなかったんです。そこで法律を学ぶ必要性を強く感じました。
異動翌年に社会保険労務士の資格を取得したのですが、その後さらに法律への興味が深まり、ロースクールへの進学を考えました。妻も応援してくれ、勉強に専念する意味でも退職して進学をすることを会社に伝えましたが、会社が前例のない文系社員の国内留学を認めてくれたことで、会社を辞めることなく、留学という形でロースクールにて学ぶことができました。
ロースクール修了後は生産子会社の清算、会社合併そのほかの大きなプロジェクトに携わることになりますが、それまでに学んできた知見を存分に活かして中心的な役割を担い、問題なく着地させることができました。
その後、アイス卸の子会社で取締役管理本部長として労務問題への対応を経験することになるのですが、そこで新しい環境でも十分に活躍できるという確信が得られ、また、自身のさらなる成長のためには新たな挑戦が不可欠であると感じ、2018年、日清製粉グループ本社へ入社しました。
粘り強く果敢に挑戦していく──小さな一歩から始まる人事改革への挑戦
当社は長年の歴史と伝統を持つ企業です。私が入社した際、当時の人事部長から「長年続いている制度などは、時代の変化に合わせて変革を進めていく必要がある。あなたのプロフェッショナルな知見を活かして提案してほしい」と期待を込めて言われました。
その言葉を受け、入社後3カ月で人材戦略をまとめ、本部の部長陣に発表する場を与えられたものの、その戦略に基づく施策を進めようとするとさまざまな抵抗があり、「このままでは何も変えられないかもしれない」という危機感を抱きました。
しかし、私はこの会社に骨を埋める覚悟で転職してきてこともあり、「会社に貢献するために何ができるのか」を必死に考え、諦めることなく、粘り強く取り組みを続けてきました。現実的にはいきなり大規模な変革は難しいため、小さな施策から段階的に導入を進めてきました。
少し時間がかかりましたが、ようやくさまざまなことが徐々に実を結びつつあり、新たな採用戦略や両立支援施策の導入などが行われ、さらに人事賃金制度の見直しの検討も前に進んでいます。今後も、5年後、10年後といった将来も見据え、会社と社員双方にとってより良い取り組みを提案、推進していくつもりです。
めざす将来像は、「自律・挑戦・信頼・協働」の4つの価値観を全員が体現している状態です。
私たちと一緒に歩んでもらいたい方は、何よりも「信頼」「協働」を大切にし、その上で「自律」や「挑戦」に強い関心を持ち、自ら学んで問題意識を持って提案できる方を求めています。そして周囲の信頼を得ながら粘り強く諦めずに提案できる人が当社で活躍できると考えています。
私自身、現状に疑問を持ってより良くしていきたいという思いが強くあります。決められたことをそのまま実行するのでは満足できず、自ら課題を発見してチャレンジすることを重視しています。人生の時間の多くが仕事で占められている中で、仕事を通じて自分の存在意義を追求し続けたいという強い想いが、私の原動力です。
当社にはすばらしい人材がおり、すばらしい技術があると考えています。社員全員がそのすばらしさに誇りを持ち、会社の成長とともに自らも成長していける会社にしたいと考えています。
皆で力を合わせて、粘り強く挑戦し、新しい風を吹かせていきたいです。会社の変革は一人で進めることはできません。共感してくれる仲間の参加を待っています。
※ 記載内容は2024年11月時点のものです

