調整力と関係構築が大きな武器──人との連携で、信頼を築く日々
日本生産事業本部 戦略企画部 生産計画グループに所属する船津。栃木工場にて、入社2年目ながら重要な部品の生産管理を任されています。
「生産管理には生産計画、部品管理、部品手配という3つの職種があり、その中の生産計画を担当しています。生産計画は車両の生産計画とパワートレインの生産計画とに大きく分かれており、私が担当しているのは『ファイナルドライブ』というパワートレイン部品の生産計画です。
ファイナルドライブは、後輪駆動や四輪駆動の自動車において重要な役割を果たしています。エンジンからの動力を駆動輪に伝達する部品であり、また自動車が曲がる際に外側のタイヤと内側のタイヤの回転数に差が生じるのですが、その調整をするための部品なのです」
生産計画は年度、月次、週次の3つの期間で立案されます。
「年度計画では予算取りや人員調整を検討し、月次では3カ月分のより精度の高い生産計画を立てています。
生産計画では、生産数に対して現場の生産能力が対応できているかを確認します。ラインの1時間あたりの生産能力をもとに、必要な勤務時間や勤務体制を検討。また、休日出勤の必要性なども判断していきます」
船津のチームでは、4人の担当者がそれぞれ異なる生産ラインを受け持ち、車種ごとに計画を立てています。
「各ラインで対応する車種が異なるため、それぞれの担当者が独自に生産スケジュールを検討しています。ラインごとに設備も異なり、造れる能力も違います。
私はまだ2年目の若手なので、計画を立てる際に必要な設備の知識を身につけるため、よく現場に足を運んで勉強させてもらっています」
船津は、仕事をする上で人とのコミュニケーションを最も重視していると話します。
「私たちの仕事は1人では完結せず、製造や技術、保全、品質保証、物流などさまざまな部署との連携が必要です。日々の調整事が多く、出荷先とのトラブル対応や不具合発生時の調整なども担当するため、各部署との信頼関係を築くことが、問題解決を迅速に行うための鍵になると考えています」
父の背中と海外の街中で見た光景が、自動車業界を志す原点に
船津が自動車業界に強い関心を持つようになったのは、幼少期の経験にさかのぼります。
「父が自動車会社で働いており、小学校高学年から中学生の頃まで5年間アメリカで単身赴任をしていました。その期間中に、アメリカに初めて遊びに行った時のことは今でも鮮明に覚えています。
当時のアメリカの街中では、7〜8割が日本車だったのではないでしょうか。その光景を目にして『日本車はすごい』と感じました」
その経験は、船津の価値観に大きな影響を与えました。大学3年生の時には、1年間の休学を決意してカナダへの留学も経験します。
「カナダ留学中も街中を走る自動車をよく観察していました。ただ、幼少の頃に比べると日本車の数は少なくなっていて、現地メーカーや韓国メーカーの自動車も多く見られました。それでも半分程度は日本車が走っていて、自動車に限らず日本の電気電子機器メーカーなど日本のモノづくりの素晴らしさを海外で実感することができました。
これらの経験を通して、社会人になったら自動車業界という想いが自然と芽生えていました。そのため、就職活動の時も自動車業界一本に絞って活動を進めました」
就職活動では、完成車メーカーとしてお客さまに近い立場で仕事ができる点に魅力を感じ、日産自動車への入社を決めます。
「文系出身ですが、モノづくりに最も近い立場で仕事がしたいと考え、それに関する情報を集めていきました。自動車メーカーの採用サイトにはさまざまな職種が掲載されていますが、文系の職種はある程度限られています。
その中で、人事や営業以外にも生産管理という職種があり、文系でモノづくりに最も近い立場で働ける職種であることに気づきました」
希望通り生産管理職として入社した船津。実際の業務で、想像と異なる部分もあったと振り返ります。
「生産計画の仕事を期待していましたが、実際は生産計画を立てる業務が2割程度で、8割は調整の仕事でした。最初はそのギャップに戸惑いましたが、他部署から感謝される中でしだいに調整役として貢献できている実感が持て、入社して半年ほど経った頃にはやりがいを感じられるようになっていました」
勤務体制の大きな改革。挑戦によって得られたものとは
船津が最近取り組んでいるのが、車両増産に伴い担当ラインの勤務体制を2班2交替制から3班2交替制へ変更するという大きなプロジェクトです。
「私の担当ラインは現在、昼勤と夜勤の2班で平日5日間の稼働をしているのですが、最近は北米市場向け車両増産に伴い担当部品の生産要求が高くなってきたことで今の勤務体制では追従できない状況になりました。そこで、3班2交替制へ移行すれば7日間稼働が可能となり、増産対応できることによってお客さまへの納車が早まります。
しかしながら、3班体制への移行は新しくライン人員を1.5倍に増やす必要があり、作業者の採用と教育が必要で、その分コストもかかります。
また、コスト面だけでなく、7日間稼働となることから、作業者の生活に大きく影響することや、肉体的な負担も大きくなります。要求が下がった時に『いらなかったのでは』という判断にならないよう、生産管理の立場として確信を持って提案できるまで営業や海外拠点などから情報を集めました」
このプロジェクトで最も難しいのは、周囲への説明と信頼獲得だったと言います。
「若手の私がどのように説明すれば信用していただけるのか。本当にこの判断で良いのか。関係部署への説明会までの1〜2カ月の期間は、初めての試みであることからプレッシャーと不安を抱えながらも、会社に貢献できることを誇りに思いました。
周囲のサポートも手厚く、1人で抱え込むことはありませんでした。上司や先輩に相談した上で自らの裁量で進めていく。そうして、説明を受ける現場の方々が納得できるような情報を集めて懸念点が出てきたら、それを問題点として集約して解決策を考えていきました」
経験を通じて、調整力が磨かれたと実感しています。
「3班化はとても大きな判断だったので、今までの調整とは比べものにならないほどの懸念点が出てきました。部署間のコミュニケーションを取りながら調整するスキルは、今まで以上に磨かれたと感じています」
生産計画の仕事ならではの特徴について、船津は以下のように語ります。
「生産計画の仕事は、年度計画や月次計画、週次の計画検討に加えてさまざまな調整業務が同時進行します。パニックになってしまうと何も手がつけられなくなってしまうので、優先順位をつけて冷静に対応することが重要です」
そして、着実に課題を解決していく先に大きな達成感があると言います。
「街中で自分たちが作ったクルマを見かけると、とてもやりがいを感じます。私が担当しているファイナルドライブは一つの部品ではありますが、それがクルマの中に入っていると思うと、社会の役に立っているという実感が湧いてきます」
想像とのギャップを超えて。現場の知見が息づく職場で、プロフェッショナルをめざす
生産・SCM部門には、特徴的な組織文化があると船津は言います。
「私が所属するパワートレイン担当の生産管理部門では、現場からキャリアシフトした社員が多くいます。現場から来られた方々の知見をいただきながら一緒に仕事ができるのがとても魅力的です。
また、業務面でも働きやすい環境が整っています。1カ月の中で業務量に山と谷があるのですが、忙しい週と比較的落ち着いている週が事前に把握できます。そのため、年休の取得計画が立てやすく、オンとオフの切り替えがしやすい環境だと思います」
入社2年目ながら、今後のキャリアプランも明確です。
「生産管理のプロフェッショナルになるためには、さまざまな分野を経験する必要があります。工場の生産管理や本社の機能軸と呼ばれる生産管理など、いろいろな経験を積んでいきたいです。
現在担当しているパワートレイン工場の生産計画だけでなく、車両工場の生産計画や、本社でグローバルの生産を統括する役割を経験することで、幅広い知識を身につけ、日産の生産管理のエキスパートになることが今の私の大きな目標です」
最後に、就職活動中の学生に向けて自身の経験を踏まえたアドバイスを送ります。
「入社後、想像していた仕事と実際の業務にギャップが生じることは多々あります。ですが、これはどの企業やどの部署にでも起こり得ることだと思います。
重要なのは、具体的な職種や業務内容だけでなく、自分が何を目的とし、どこにやりがいを見出したいのかという点に焦点を当てて就職活動を行うことです。私の場合、文系出身でもモノづくりに最も近い立場でお客さまにクルマを届けるという目標があったからこそ、生産計画という職種と出会え、その仕事にやりがいを見出すことができました」
父のように自分も自動車業界で輝き続けるため──船津は今日も周囲と連携し、生産管理のエキスパートをめざして取り組み続けています。
※ 記載内容は2025年7月時点のものです
