昆虫の飼育に夢中になった少年時代から生き物と社会経済のつながりを見出す探求の道へ
埼玉県越谷市で育った堀は、幼少期から身近な自然の中で生き物を捕まえ、観察することに夢中になる少年でした。図鑑がボロボロになるまで読み込み、昆虫の飼育を通して成長過程を追う時間に心を躍らせていたと言います。
「実家周辺は草むらが多く、身近な昆虫を捕まえては自宅で大切に飼育していました。餌を食べる姿を見たり、幼虫からお世話をして脱皮を繰り返し、成長して鳴き始める変化を追ったりするのが楽しかったですね。
中高ではバドミントン部で汗を流す傍ら、生物部にも所属していました。生物部の合宿で三宅島を訪れた際は、溶岩の流出や火山ガスの発生といった火山の噴火に伴う自然現象が、周囲の地形や植物、そこに棲む生き物にどのような影響を与えるのかを計測・調査。数年おきに同じ場所を訪れて環境の変化を可視化していく追跡調査は、きわめて知的好奇心を刺激される体験でした」
小さな頃から漠然と「昆虫博士」や科学者への憧れを抱いていた堀でしたが、生物部での探求や進路を真剣に考える過程で、自身の関心が単なる生物学にとどまらないことに気づきます。
「自分自身が本当に探求したいテーマは何だろうかと突き詰めた時、単に生き物の一分野を深く究めること以上に『人』や『社会』といった領域と生き物がどう関わっているのかに強い興味があると自覚しました。もともと食べることが好きだったこともあり、進学先を考える上では一般的な理学部の生命科学系よりも、もっと人間味があり、経済活動や産業と結びついている農学部がおもしろく映ったのです。
最後まで獣医学部と迷いましたが、大型動物に関わる畜産の分野に惹かれました。そして北海道の大学の農学部へ進学することを決意。高校時代に流行っていた漫画『銀の匙』に描かれていた、人と動物とお金が複雑に絡み合う世界観に感銘を受けたことや、農業とも関わりのある仕事をしていた父親からの話も大きな後押しになりました」
広大な北海道のフィールドで、牛や羊が歩く恵まれた環境で、堀は畜産に関する知識を基礎から体系的に深めていきました。
「大学では、家畜の誕生から飼育、加工、そして消費者の元に届くまでのプロセスを網羅的に学ぶことができました。人工授精や妊娠、出生のサイクルから、成長に応じた飼料や環境の管理、体内での消化のメカニズム、さらにはお肉やミルク、皮革製品としての利用方法に至るまで、畜産における生命のサイクルを総合的に学べたのは貴重な経験です。
その過程で気づいたのが、たとえば牛の放牧地を管理する上でも、牧草の栄養価や再生サイクルを計算しながら効率的に運用しなければ、すぐに食べ尽くされてしまいます。品種の改良や飼育環境の改善など、あらゆる取り組みの根底には『農家の方々がしっかりと利益を上げられるか』という経営的な視点が不可欠であることを知り、この気づきはその後の人生の財産となりました」
理系農学部から金融へ。考え抜いた末に見出した「地域金融」という答え
大学卒業後、一度は大学院進学を考えた堀でしたが、研究活動を進める中で一つのテーマを突き詰めるより異なる世界への興味を強くします。
「一つの研究で深く突き詰めるスタイルよりも、広く社会や人、経済の動きを見渡したいという自分の本心に気づきました。農学部出身者の進路としては、飼料メーカーや農協系団体、食品会社などが一般的ですが、私は『多様な人と長期に関わり、経済の仕組み全体にアプローチできる場所』に行きたいと考えました。
そこで浮かび上がってきたのが銀行という存在。銀行は個人のお客様の資産運用相談から法人の事業資金まで、多様な手法で社会を支えています。このシステムそのものがおもしろいと感じました」
とくに、大学で畜産を学ぶ中で実感した「農業と金融の特殊性」が、金融機関をめざす大きな動機となりました。
「農業経営は、資金の回収期間が長いという特徴があります。作物の栽培であれば種や肥料を買ってから収穫して売上になるまで数カ月から1年かかりますし、果樹なら苗木を植えて実がなるまで何年もかかります。畜産でも、子牛が生まれてから肉牛として出荷するまで約2~3年、乳牛がミルクを出し始めるのにも長い期間を要します。その間、天候や自然災害、病気といったリスクを抱えながらも、膨大な資金が必要になるのです。
さらに農業は、肥料屋や種苗屋、機械メーカー、運送会社、倉庫業者、卸売、小売店に至るまで、きわめて多くの事業者や人がバトンをつないで成立しています。このような生産現場を長期に支え、サプライチェーンの関係者と関わりを持てるのが金融であり、銀行の果たす役割の大きさに魅了されました」
就活の軸が定まる中で、堀が出身地である埼玉県と、地域に深く根差しビジネスを展開する武蔵野銀行を選択したのも自然な流れでした。
「生まれ故郷である埼玉に恩返しをしたいという気持ちが強くありました。埼玉は人流や物流、交通インフラが発達しており、東京とも隣接しているため、あらゆる産業やお金の流れが存在するパワフルな地域です。この地で地域金融機関として多様なビジネスを支えることにやりがいを感じました。
とくに武蔵野銀行には、自治体と連携して地域産業や農業分野の成長を支援する『地域サポート部』などの先進的な取り組みがあり、自分の関心と合致していたのです。選考の際も、理系農学部出身という異色な私の経歴やエントリー時期に対し、採用担当の方は私の思考プロセスや探求心そのものが一貫していると、評価してくれて。ここなら自分の知識を活かして成長できると確信し、入行を決意しました」
一つひとつの手続きの意味と本質を追求。知識の体系化で広がる提案の幅
2025年に武蔵野銀行に入行した堀は南浦和支店に配属され、店頭窓口や融資事務などの基礎業務を経験しました。翌年からは営業課に所属し、先輩行員の訪問への帯同や店頭での資産運用案内などに挑戦しています。
「1年目は窓口業務を通じて、口座開設や入出金、振込といった基本的なお金の流れや接客を学びました。後半の融資事務では、お金を貸し出すための契約や担保設定などが、どのような法律や契約書面に基づいて成り立っているのか、その仕組みを実感できたと感じています。
2年目の営業課では、住宅ローンの受付手続きや企業の信用格付業務、信用保証協会への保証審査手続き、さらには自治体の制度融資の申請など、幅広い実務をOJTで学んでいます。さまざまな営業スタイルの先輩方がいて、寄り添い型からテンポよく明確に伝えるタイプまでアプローチ方法は多様で、多くの刺激を受けています」
日々の業務の中で堀が大きな達成感を得たエピソードとして、個人のお客様からの融資に関する相談対応が挙げられます。
「ある時、電話で『別荘の修繕や整備のために住宅ローンを使いたい』というお問い合わせをいただきました。住宅ローンやリフォームローンは、あくまでご自身が居住する住宅が対象となるため、そのままではお引き受けできません。
そこで資金使途が幅広く設定されている『多目的ローン』をご案内したところ、無事にお申し込みいただくことができたのです。多様な金融商品や融資制度が存在する中で、お客様の困りごとや希望を正しく聞き取り、最適な提案を結びつけられた時は、自分の知識が役に立ったという大きな喜びを感じました」
もともと体系的に知識を吸収することが好きな堀は、仕事でミスをした際や疑問を持った際も、「理由と本質」を徹底的に追求する姿勢を貫いています。
「ミスの原因だけでなく、『なぜその手続きが不可欠なのか』『怠るとどんなリスクが生じるのか』という背景まで必ず考えるようにしています。石橋を叩いて渡るような分析的な性格もありますが、先輩方に『この書類にはこうした法律的意味がある』と教えてもらうことで、単なる丸暗記ではなく仕組みとして頭に定着していく実感があって。そして理由を理解することで、別の新しい業務に出会った時にも応用が効くようになっています」
理系・異分野からの挑戦も強みに。知的好奇心を武器に描くスペシャリストへの道
行員として歩み始めた堀が重んじているポリシーは、お客様の希望を第一に捉え、期待に応えるための自己研鑽を怠らない姿勢です。
「われわれが提供できるサービスや商品にはさまざまな選択肢がありますが、最終的には『お客様の困りごとや希望にどう応えるか』がもっとも大切だと考えています。そのためには、自分自身が常に勉強を重ね、知識をアップデートし続けなければなりません。
私は昔から、何かを決断する前に徹底的に情報を集め、自分の中で試行錯誤を繰り返しながら納得して判断を下すタイプでした。銀行員としても、お客様に安心感を与えられるよう知識を蓄え、できる準備は整えておきたいと考えています」
育成期間を経て、今後一人の営業担当者として歩み出す堀ですが、その視線は営業店の枠を超え、自身の強みを活かしたスペシャリストとしてのキャリア展開にも向けられています。
「まずは営業店で一担当者としての実務をきわめることが前提ですが、将来的には自分ならではの専門性を持った人材になりたいという想いがあります。学生時代に学んだ農業金融の分野はもちろんですが、近年重要なテーマとなっているデジタル・システム分野や、組織全体の業務効率化・本部機能の強化といった領域にも関心を持っています。
武蔵野銀行には、若手の挑戦を後押しする自己啓発制度や多様なキャリアパスが用意されています。自ら手を挙げてチャレンジできる環境を活用し、常に新しい学びを得ながら領域を広げていくつもりです」
最後に、堀は自身と同じように進路に悩み、理系や異色の分野から金融業界への挑戦を考えている就活生に向けて、力強いメッセージを送ってくれました。
「現在、地域金融機関を取り巻く環境は、人口動態の変化やデジタル化の波を受け、複雑で変化の激しい局面を迎えています。こうした時代だからこそ、決まりきった発想ではなく、さまざまな背景や視点を持った人材の存在が必要不可欠だと感じています。私自身、北海道の農学部から銀行へ飛び込むという大きな方向転換をしましたが、『なぜ?』と問う知的好奇心は、今の金融実務においても強みになっています。
自分の興味や疑問に素直になり、悩み抜いて下した決断や蓄積した知識は、どのような道に進んだとしても決して無駄にはなりません。武蔵野銀行には、熱意を持って向き合えばフラットに評価し、成長を温かく見守ってくれる仲間と環境が揃っています。ぜひ自分の可能性や知的好奇心を信じて、恐れずに一歩を踏み出してみてください」
※ 記載内容は2026年9月時点のものです
