楽しく働きたい。その想いで、後輩にも目の前の仕事にも、向き合っている
悩める後輩の話を聞き、相手の価値観を受け入れる。そして、そっと背中を押す。
彼女らしいスタンスで後輩育成に力を注ぐ高野。今でこそ自ら進むべき道をためらいなくひた走っていますが、かつて自身のキャリアの迷いを抱えていた時期がありました。
高野のキャリアは、1988年に入行し、預金業務を担当するところから始まります。その後は、融資、外為業務なども経験しました。
そのキャリアで最初の転機が訪れたのは、2004年のこと。当時の副支店長が「管理職登用に向けた社内育成プログラムに挑戦してみないか?」と、高野の背中を押したのです。これをきっかけに高野は管理職を目指す決意をしました。
次の転機となったのは、その翌年。みずほ銀行の丸の内仲通り支店(当時)に、融資外為業務の管理主任として着任したことがきっかけでした。
高野 「当時、直属の後輩が2人いて、課長や副支店長から『2人があまりに忙しく、休暇もなかなか取得できていない状況だから少しでも負荷を減らしてあげたいと思っている。手伝ってもらえないか』と頼まれました。
実際、その2人を見ていると本当に忙しく、余裕がない状態で働いていて。『こんな状況が続くのはよくないな。なんとかしなければ』と感じました」
実は、高野自身も入社2年目で同じようなことを経験していました。そのため、業務が大変そうな2人の状況を他人事とは思えず、働き方の整備に尽力したのです。ひたすら走り続けていた2人でしたが、少しずつ先が見通せるようになり精神的に楽になったことで、新しいことを覚えたりと仕事に前向きに取組むようになりました。
2011年7月以降、率いる後輩が増え、課長代理や課長へと昇進してからも、高野は「楽しく働きたい」という想いを何よりも大事にしてきました。
高野 「目標を達成できなければどうしようという重圧もありますし、問題が起きると損失が出るため、どんな仕事にも厳しさはあります。ただ、後輩に『会社に行きたくない』とは思ってほしくないですし、自分も思いたくない。楽しく仕事をしていたいという気持ちは常に持っています」
こうした想いが生まれたことは、高野の35年間のキャリアの中でも大きな転機です。しかし、高野を大きく変えた転換点にはもうひとつ、キャリアアドバイザーという仕事との出会いがありました。
50代で立ち止まってキャリアを見直し、新しい挑戦を決意
高野は、2021年にキャリアコンサルタントの国家資格を取得しています。その背景には、自身が直面したキャリアの迷いがありました。
高野 「後輩から『自分のやりたいことがわからない』と相談を受けながら、私も『長く課長職を続けているけれど、今後どうしたいのか』と自問自答していた時期がありました。そんなときに、たまたま社内のキャリアアドバイザーが、キャリア面談の希望者を募集しているというお知らせを見て、どんな仕事なのか興味をもちました。
その仕事内容について調べるうちに、『自分もこうした専門知識を身につけてキャリアの相談に乗ってあげられたら、後輩はもっと安心して話をしてくれるかもしれない』と思うように。この道で専門性を高める選択肢があることに気づきました」
資格を取得するため、高野は働きながら専門学校に入学。専門学校には年齢、職業などさまざまな人が集まり、高野にとって刺激的な環境でした。オンラインで、毎週土曜日に8時間もの講義を3カ月間受講したのち、筆記と面談形式での試験を受けました。
高野 「話を聞くときに意識を傾けるべき点や、気持ちよく話してもらうための気遣い、技術を学びながら、『次の面談では、これを意識してみよう』と実践に移してきました。たとえば、相手が話さないときに、口を出さずにしばらく待つことは、そのときの学びから意識的にできるようになったことです。
資格を取得したと社内の仲間に伝えたとき、忙しく働きながらいつの間に資格を取ったのかと驚かれましたが、課員はとても喜んでくれましたし、『自分も頑張ります』とも言ってくれました。私の挑戦が良い意味で後輩にとって刺激になったことが、とてもうれしかったです」
2023年2月現在は、浜松町法人第一部の渉外業務課課長として10名の課員を率いる高野。融資・外為管理全般を担う一方、業務の7~8割を占めているのは人材育成です。
高野 「実務を教える担当者は別にいるので、キャリア形成の支援が私の担当です。四半期に1回は個人面談を実施して、現状やキャリアビジョンを話し合いながら本人の自律的なキャリア形成をサポートします。
もちろん、会社から各課員への役割期待はありますが、人生100年時代を迎えた今、やりたいことがある人はどんどん挑戦すべきだと思っているので、『幅広く自分の未来を想像してほしい』と伝えています」
価値観は押し付けない。けれど、理想のチーム像と目標は共有する
同じ組織、同じチームの一員とはいえ、バックグラウンドも性格も仕事への向き合い方も当然ながらさまざま。後輩育成において、高野は決して自分の考えを押し付けることなく、チームとしてのまとまりを形成することを意識しています。
高野 「相手の価値観は変えられませんし、その価値観が相手の人生を形成しているので、たとえ自分と大きく違う考えの持ち主だとしても、否定せずにまずは理解するように心がけています。そして『私はあなたの考えを理解しました』と伝えます。
一方で、『組織や会社として、一緒にここを目指していきたい』ということもしっかりと伝えるようにしています。そこに到達するまでの行程は各自に任せますが、仲間を思いやる気持ちがあり、誰かが困っているときに助け合えるチームが私の理想。それを一緒に目指してほしいと話しています」
もちろん、理想のチームの形成は簡単なことではありません。昨年、組織体制の変更で業務量が多くチーム全体が疲弊していたときには、「なぜ、ここまでしなければいけないのか」という空気が漂っていた時期もあったと言います。そのとき、高野が心がけていたのが、自らが率先して行動することでした。
高野 「誰よりも先に課長である私が動いているうちに、そんな私を見てだんだんとメンバーも『自分も動かなければ』と能動的になり、『私がこの勉強会を担当します』『これについて私が調べてきます』と言ってくれるようになりました。
私が実際にやってみて、『これ、意外と簡単だよ』と伝えると、後輩も抵抗なく業務にチャレンジしてくれるようになったのです。半年から1年ほどかかりましたが、もう私がいなくてもチームが回ると思えたとき、大きな達成感があったのを覚えています」
じっくりと力強く、人や組織の変化を生み出してきた高野。そんな高野にとって、常に前に進み続けることができる原動力──それは、“人”です。
高野 「実は私には、入社7年目のころに大きなミスをした経験があります。そのとき、当時の支店長に言われたのが、この言葉。
『支店の仲間が支えてくれているから気にするな。けれど、同じことは二度としないように。そしてミスを繰り返さないためにも、後輩や周りの人にしっかり引き継ぎなさい』。
組織は同じ目標を持ったチームメンバーが支え合って成り立っている。あらためてそう実感した出来事でした。今ここに私がいるのも、失敗したときにリカバリーしてくれたり、支えてくれた仲間がいるおかげです。
そうした経験があるからこそ、今の私にあるのは、自分が動いて人の役立てるのなら、という気持ちです」
チャレンジするのに遅すぎることなんて、ない。失敗したとしても、自分は自分
〈みずほ〉で出会い、同じ目標を目指して仕事をしている仲間たちを何より大切にしたい。切にそう思う高野にとって、人と組織の成長は表裏一体です。
高野 「組織が人を育て、人が組織を育てると考えています。心理的安全性がある環境で、一人ひとりがやりがいをもって自分のやるべきことをしっかりやっていれば、組織は必ず育ちます。すると、次は組織が一生懸命頑張っている人に応えていく番。こうした循環ができれば、人は『この組織にいて良かった。これからも頑張ろう』と思うものです」
どんなに大きな組織も、人の集合体。だからこそ、高野には〈みずほ〉で働くメンバーに伝えたいことがあります。
高野 「『気づいていないかもしれないけれど、あなたたちが組織を支えているんだよ』と伝えたいですね。後輩から『やりたいことが見つからない』と相談されたときに、私は『それでもいいんじゃない?』と伝えているのです。
やりたいことが見つからないから悪いわけでもないし、焦って何かに飛びつく必要もない。そうやって繰り返し伝えていると、後輩たちも『今やるべきことを頑張ろう』『目の前のことを一生懸命頑張ったら、新しい何かが得られるかもしれない』と積極的な気持ちを取り戻していくのがわかります」
高野のこのスタンスを通じて、引っ込み思案だった後輩が、自分から「これをやってみたい」と声をあげるようになる変化も生まれ始めています。そうした各々が前向きに少しずつ変わっていく姿こそが、高野の大きなモチベーションにもつながっているのです。
キャリアコンサルタントの資格を取得し、専門性を磨いて、自分の道を切り拓いてきた高野。50代で大きな挑戦を経験した立場から、同世代の社員にもエールを贈ります。
高野 「長く働いていると、同年代で外部の会社へ出向された方の話や、新しいチャレンジを始めた方の話など聞こえてきて、自身のセカンドキャリアについて考える人生の節目がやってきます。そのときに、能動的ではなく『とりあえず任されたことをやってみよう』と選択するとしても、大きな決断であることに違いはありません。まずは、選んだ道で一生懸命頑張ってみることが大事だと思います。
そして、頑張ってみたけれどあとで違うとわかったり、別のやりたいことが見つかったりしたときは、機会を逃さず再挑戦してほしい。いつ何を始めようとも、その先で仮にうまくいかなかったとしても、自分は自分。いくつになっても、迷わず挑戦し続けてほしいと思います」
そっと背中を押す。それは、人が新たな一歩を踏み出すきっかけになります。
もちろん、背中を押されなくても1人で進んで行ける人はいるでしょう。でも、それが難しい人もいます。
自らの想いを受け止めてもらい、背中を押されて初めて、一歩を踏み出せる人は確実にいるのです。そんな人の背中を押せるのは、高野自身が、その安心を知っているから。その行動が、人が変わるきっかけになると信じているから。
高野はこれからも、その心で想いを受け止め、その両手で次世代の背中を押していくでしょう。押した背中がいつかまた、違う背中を押す姿を夢見ながら。自らをきっかけに変わった後輩たちがつくる、未来の輝く〈みずほ〉を想像しながら。
