心理学との出会いからデータ分析の道へ――JCOMを選んだ理由
大学時代、私は心理学を専攻していました。数ある心理学の分野の中でも、特に興味を持ったのが行動心理学です。ゼミでも行動心理学を選択し、その中でも「消費者行動の心理」というテーマに強く惹かれていきました。
行動心理学に本格的に興味を持つようになったきっかけは、ある授業で学んだ「ジャムの法則」です。選択肢が多すぎるとかえって人は決断を避けるようになる、という「選択回避の法則」を知ったとき、私の中で価値観が大きく変わりました。選択肢は多ければ多いほど良い、という何となく持っていたイメージが、見事に覆されたのです。
人間の心理は、自分が思っていた常識とはまったく異なる法則で動いている。そのことに気づき、心理学を学ぶ面白さに一気に引き込まれました。この体験は、卒業論文のテーマ選びにも大きな影響を与え、消費者心理について深く研究するきっかけとなりました。
学生生活では、研究だけでなくアルバイトにも力を入れていました。飲食店で働いていたのですが、この経験は今振り返っても非常に貴重だったと感じています。特に印象に残っているのは、お客さまから直接「ありがとう」と声をかけていただけたことです。自分の行動が誰かの役に立ち、その結果が言葉として返ってくる。そのやりがいは、その後の私のキャリア観にも大きな影響を与えました。
研究室でデータと向き合う時間と、アルバイトでお客さまと接する時間。この二つの経験が重なり合い、データだけでなく「人」を意識して物事を考える姿勢が、自然と身についていったように思います。
就職活動を始めたとき、私の中には明確な軸がありました。それは、データ分析の仕事に携わりたいということです。大学で研究を進める中で、データ分析の難しさを痛感する場面も多くありましたが、その一方で、データから意味を見出せたときの楽しさや達成感にも強く惹かれていました。 簡単に答えが出ないからこそ面白い。試行錯誤の末に答えにたどり着けたときの喜びがある。そんなデータ分析の魅力に惹かれ、「これを仕事にしたい」と考えるようになりました。
そんな中で出会ったのが、J:COMです。J:COMに対する第一印象は、「挑戦し続けている企業」でした。ケーブルテレビ事業という確かな基盤を持ちながらも、新しい事業領域に積極的に挑戦し続けている。その姿勢に強く惹かれました。
また、事業領域が幅広いということは、それだけ多様なデータが集まるということでもあります。さまざまな角度から、多面的な分析ができる環境があるのではないかと考えました。データ分析の仕事をする上で、これほど魅力的なフィールドはないと感じたのです。
入社を決めた理由は、とても明確でした。一つは、自分が希望していたデータ分析の仕事に携われること。もう一つは、安定した基盤を持ちながらも挑戦を続ける企業文化があることです。
選考の中で特に印象に残っているのは、卒業論文について深く質問されたことです。どのような仮説を立て、どのような分析手法を用い、そこから何を導き出したのか。一つひとつ丁寧に聞いていただきました。この経験を通じて、J:COMは応募者が何に興味を持ち、どんなことに情熱を注いできたのかを大切にしている会社なのだと感じました。
表面的なスキルだけではなく、その人の内面や関心の方向性を見ようとしている。その姿勢に触れ、この会社でなら自分らしく働けるのではないかという確信を持ち、入社を決意しました。
集合研修とOJTで学んだ、基礎から実務への段階的な成長過程
入社後は、まず集合研修からスタートし、基本的なビジネススキルを学びました。学生時代は知識をインプットすることが中心でしたが、社会人になると、それをアウトプットする力が求められるのだと実感したのが、この研修期間でした。
特に印象に残っているのが、グループに分かれてJ:COMの新規事業を考え、プレゼンテーションを行うグループワークです。想像以上に難しく、かなり苦戦したことを今でも覚えています。自分で考え、それを形にして提案することの難しさを痛感すると同時に、社会人としての第一歩を踏み出したという実感を得られた、非常に貴重な経験でした。
集合研修が終わると、私はデータソリューション推進部に配属されました。面接や内定後の説明会で伺っていた業務内容に以前から興味を持っていたこともあり、入社前に描いていたイメージと実際の業務との間に、大きなギャップを感じることはありませんでした。面接で「おもしろそうだ」と感じていた仕事に、実際に携われていることに、大きなやりがいを感じています。
配属後は、OJTとして同じチームの先輩に指導していただきながら、実務をスタートしました。最初は先輩の業務を一部引き継ぐところから始まり、少しずつ自分で対応できる業務を増やしていく流れでした。このOJTで特に印象に残っているのは、担当の先輩から「15分、自分なりに調べてみて、それでも分からなかったら何でも質問していいよ」と声をかけていただいたことです。この言葉のおかげで、質問しやすい環境が整い、安心して業務に取り組むことができました。 まずは自分で調べて考えてみること、そして分からないことは素直に質問すること。その両方を身につけられた点は、今でも大きな財産になっています。
並行して、業務で使用するツールや統計の勉強も進めていきました。最初に扱ったのは、SPSSやTableauといった分析ツールです。しかし、ここで予想外の難しさに直面しました。これらのツールは直感的に操作できるため、基礎知識が十分でなくても、それらしく見える分析結果やグラフを作ることができてしまいます。
その一方で、「自分が何をしているのかを説明できない」「きちんと理解できていない」という状態に陥っていることに気づきました。この経験から、ツールの操作方法だけでなく、統計の基礎知識や背景にある考え方をしっかり理解することの重要性を強く実感しました。ツールを本当に使いこなすためには、理論や仕組みを理解することが欠かせないのだと学びました。
こうして入社後の数カ月間は、研修、OJT、そして実務と基礎学習を並行しながら、段階的に成長していく日々でした。最初は戸惑うことも多くありましたが、先輩方の手厚いサポートと、自ら学ぶ姿勢を大切にすることで、少しずつデータサイエンティストとしての基礎を固めていくことができたと感じています。
生成AIで現場を変える──プロンプト調整と可視化で実現したカスタマーセンター改革
現在、私はデータソリューション推進部の自然言語処理チームに所属しています。私たちの部署のミッションは、社内のさまざまな部署から寄せられる課題を、データを活用して解決することです。データサイエンスという専門性を活かしながら、事業部門が抱える悩みや課題に日々向き合っています。
私が携わっている業務の一つに、生成AIを活用した、J:COMのカスタマーセンターにおけるオペレーターの応対品質向上を目的とした発話内容の可視化があります。J:COMでは、カスタマーセンターの通話内容を文章に書き起こし、ログとして保存しています。これまでは、管理者が一部の通話をモニタリングすることで、オペレーターの応対品質を評価していました。
しかし、この方法では管理者の負担が大きく、また評価に個人の感覚が入りやすいという課題がありました。そこで私たちは、通話ログを生成AIで分析し、オペレーターが伝えるべき内容をきちんとお客さまに伝えられているか、不適切な対応がないかを、全件チェックできる仕組みを構築しました。
生成AIは、適切な指示文、いわゆるプロンプトを設定しなければ、期待どおりの結果を出してくれません。そのため、依頼部署と何度も相談を重ねながら、発話内容をできるだけ正確に捉えられるよう、プロンプトの調整を繰り返しました。さらに、その分析結果を直感的に理解できるよう、Tableauを使って可視化を行いました。
現在は、生成AIの分析結果をまとめたTableauのダッシュボードを週次で作成し、カスタマーセンターの管理者に提供しています。これにより、管理業務の負担軽減だけでなく、オペレーターの応対品質向上にもつながっています。
この業務で特にやりがいを感じたのは、分析結果を依頼部署に共有した際の反応でした。「どの部分を改善すべきかが明確になった」「管理者の感覚的な判断と結果を比較することで、管理者自身の成長にもつながっている」といった声をいただけたときは、本当に嬉しかったです。
一方で、「より詳細な評価を行うには、まだ人の目によるモニタリングが必要」といった厳しい意見をいただくこともありました。ただ、それは期待していただいているからこその声だと前向きに受け止め、改善に取り組む原動力になりました。
そこで私は、どの項目に課題を感じているのかを丁寧にヒアリングし、人による評価結果と生成AIの判定ができるだけ一致するよう、プロンプトのチューニングを重ねました。その結果、現在では有人評価と生成AIの判定一致率は8割を超えるまでに向上しています。今後も生成AIモデルの進化に合わせて試行錯誤を続け、さらなる精度向上を目指していきたいと考えています。
学生時代と比べて成長したと感じる点は、学んだ知識を「知っているだけ」で終わらせず、実務の中で使える形に落とし込めるようになったことです。学生時代は、学んだ内容をそのままにしてしまうことも多かったのですが、現在は業務に直結する学びが多く、知識をより実践的に活用できていると実感しています。 技術を現場の課題解決につなげること──それこそが、今の私の仕事の醍醐味です。
オペレーター支援の高度化と、データで会社を変える未来へ
今後の短期的な目標として、まず取り組みたいと考えているのは、生成AIによるオペレーターへのフィードバックにかかる時間を短縮することです。現在は、通話ログのデータ連携や生成AIへの投入に時間がかかり、最短でもフィードバックまでに約2日を要しています。この時間の遅れが、実は大きな課題になっています。
フィードバックまでに時間が空いてしまうと、オペレーター自身が通話内容を忘れてしまうことがあり、せっかくのアドバイスも改善につながりにくくなってしまいます。より効果的な改善を実現するためには、できるだけ早く、記憶が新しいうちにフィードバックを届けることが重要だと考えています。
現在は、音声データをそのまま生成AIに投入できる技術も登場しており、こうした新しい技術を活用することで、さらなる効率化が可能になると感じています。AI分野の技術は日々進化しているため、常に最新の動向をキャッチアップし続けることが欠かせません。新しい技術を柔軟に取り入れることで、オペレーター自身がより「自分事」として受け止められる、即時性の高いフィードバックを実現していきたいと考えています。そうすることで、オペレーターの成長スピードも大きく向上するはずです。
中長期的には、さらに視野を広げた取り組みに挑戦していきたいと考えています。現在は各部署が抱える課題解決が中心ですが、将来的には全社的なデータ連携を推進し、経営判断の高度化や新たなビジネス機会の発見に貢献できる存在を目指しています。単なる分析担当者にとどまらず、データ活用を会社全体の文化として根付かせていく役割を担いたいと考えています。
J:COMは、ケーブルテレビやインターネット、電話、電気、ガスといった幅広いサービスを展開しているだけでなく、新しいビジネスや技術にも積極的に挑戦している会社です。自分のスキルを活かしながら、成長の幅を広げられる環境があることが、大きな魅力だと感じています。また、自分のやりたいことやアイデアを積極的に発信することで、新たな仕事のチャンスを任せてもらえる柔軟な風土もあります。資格取得に対する支援金や報奨金制度など、学び続けたい人を後押しする制度が整っている点も特徴です。
この仕事で活躍できるのは、常に学び続ける姿勢を持ち、疑問をそのままにしない人だと思います。技術の進化が速い分野だからこそ、勉強を続ける姿勢が何より重要です。そして、目の前の課題から逃げずに、どうすれば解決できるのかを粘り強く考え抜ける人と、一緒に働きたいと感じています。データ分析を通じて会社を変えていく――そんな挑戦を、ともに楽しめる仲間をお待ちしています。

