さまざまな機械の動力に欠かせない油圧シリンダ。専門性をもって設計に携わる
株式会社ネオックスは、油圧シリンダの設計・製造・販売を手がける新潟県の企業です。営業技術部で設計を担当する大口は、かにクレーンやクローラークレーン、特装車、リフターなどに使われる油圧シリンダの設計業務に携わっています。
「油圧シリンダとは、油圧装置で発生した流体エネルギーを直線運動に変換する機械部品です」
大口が手掛ける油圧シリンダは多岐にわたります。基本的な構造は共通しているものの、使用される機械の仕様や使用環境に合わせ、いろいろなタイプが存在します。
「油圧シリンダには、作動方式から伸び方向のみ力を発揮する単動形と伸び縮みの両方に力を発揮する複動形に分類されます。また、この分類ごとに構造の異なるさまざまなタイプがあります。
ストロークを伸ばすために、シリンダを2段や3段と重ねた多段式、ロッドの中にさらにロッドが組み込まれたテレスコピック式と呼ばれるものもあります。まるで望遠鏡のように、細いロッドが順番に飛び出してくる構造ですね。お客さまの要望に応じて、最適な仕様を選定するのも私たちの仕事です」
油圧シリンダの設計は、営業技術部の部長と係長を含めた3人体制で業務を進めています。わからないことがあれば遠慮なく聞ける環境があると大口は言います。
「入社6年目の私にとって、まだまだわからないことだらけなんです。そんな時は、必ず上司に相談するようにしています。親身になって話を聞いてくれますし、豊富な経験に基づいたアドバイスをいただけるので、本当に助かっています」
一人ひとりが持つ知見を共有し、議論を重ねながら製品の完成度を高めていく。大口はそうしたチームの力を実感する日々だと言います。
「設計という業務は、一人で完結するものではないですし、机上だけで仕事をしているわけではありません。現場の方々と密にコミュニケーションを取り、実際に製品を作る際の課題や要望を吸い上げることが重要です。私が所属する事務所は2階にあり、1階が製造現場になっているので、ちょっと下におりるだけで直接話ができる環境なんです」
こうした環境でプロセスを経て生み出される製品は、お客さまの期待に応えられるものになるはずです。
地元で出会えたネオックス。入社後にも技術の基礎から学べた環境に安心感
大口は大学卒業後の進路を考える中で、設計の仕事に就きたいと思うようになりました。
「就職先を探す際、設計の仕事がしたいと考えていました。学生時代は福井にいて、地元の新潟に戻ることも視野に入れていたところ、ネオックスが世界でも使われているような、かにクレーンの油圧シリンダを手がけていると知り、世界に通用する製品づくりに携わりたいと思いました」
じつは大口はネオックスが本社を置く新潟県中魚沼郡津南町の出身。就職を考える時期に帰省していたタイミングで、昔から近隣でお付き合いのあった方から、ネオックスで設計者をちょうど採用しようとしているという話を聞いたことがきっかけでした。
「子どものころは、自分の住む町にこういう企業があることをまったく知りませんでしたし、当時は油圧シリンダについてほとんど知識はありませんでした。けれども、会社が取り扱うものが世界と通じていることや、設計の仕事に就きたいという思いを叶えられる環境でもあり、まさにここで働きたいなと思い、ネオックスへの入社を決意しました」
上司や先輩社員たちの手厚いサポートもあり、着実に知識と経験を積んできた大口。
入社後の数カ月間は、加工、メッキ、組み立て、溶接など、4つの部門を半年かけて回る研修を受け、長い部門では1カ月半ほど実際に手を動かしながら学んだと言います。
「皆さん優しく丁寧に教えてくださったので、不安はすぐになくなりましたね。製品ができあがるまでの工程を知り、設計する際に気をつけるべきことを学ぶために、現場で作業しながら理解を深めていきました」
しかし、機械工学は大学で学んではいたものの、自身の設計に関する知識不足には不安があったため、入社後に通信教育であらためて勉強し、油圧講習会にも参加して基礎的な知識を付け直してきました。
「設計の仕事に就きたいという意志は学生時代からありましたが、学生時代にはかじった程度だったので、会社の中で設計者として働くために、この技量でやっていけるのかは心配でした。
そのため、製図の通信教育は3カ月ほどかけて取り組みました。勉強は主に家で行い、提出前に上司の方に確認してもらいながら進める形でできたのでありがたかったです。油圧講習会では、バルブの種類や構造などの基本的な知識を学びました」
設計者として責任を持ち素材や形状の選定にも携わって感じる、ものづくりの真髄
こうして着実にスキルを身につけていった大口でしたが、入社から3年目ぐらいのころ、初めて一つのシリンダを自分で裁量を持って設計したときは、かなり苦労したと言います。
「それまでは、長さを変えるなど部分的な設計を担当していましたが、素材や形状の選定からすべてを一から行うのは本当に大変でした。わからないことだらけで、上司の方に何度も聞きながら、一つひとつ丁寧に教えてもらいました。あの時が、今までで一番努力した時期だと思います」
同じ工場内にいる技術者の先輩とは日々、すぐに話ができる環境であることも成長に寄与したと感じています。
「たとえば、製作上可能かどうか判断に迷うことがあっても、すぐに現場の方に相談できます。『この部分の溶接は可能ですか』『この加工方法だと問題ありませんか』と聞くと、豊富な経験に基づいたアドバイスをもらえるんです。おかげで、自分自身の設計の質を高めることができていると感じています」
大口が手掛けてきた案件の中で、とくに印象に残っているのが、あるレッカー車用のリフトシリンダだと言います。荷台の昇降を司る部品で、その部品の設計を担当した時のことでした。
「納期までの時間が限られていたので、設計に集中する日々が続きました。途中、どうしても解決できない問題が出てきて、納期に間に合わないのではと不安になったこともありました。それでも、上司や先輩方の知恵を借りながら、なんとか乗り越えることができたときは大きな達成感を得ました」
そして後日、大口は完成した油圧シリンダが搭載されているレッカー車を目の当たりにしました。
「実際に製品を見た時は、感慨深かったですね。これまでの苦労が一気に吹き飛ぶような、達成感と充実感でいっぱいでした。何より、自分の設計したものが形になり、世の中で役立てられるんだと実感できたことが嬉しかったです」
大口がめざすのは、世界中のあらゆる産業で活躍する油圧シリンダを設計すること。その実現に向けて、日々研鑽を重ねていると言います。
「まだまだ経験不足で、学ぶべきことも多いと感じています。それでも、お客さまに喜んでいただける製品を作ることが、設計者としての喜びであり、私自身の目標でもあるんです。就職活動中に聞いて目標となったかにクレーンのように、シリンダを通して、世界中の機械を動かす。そんな壮大な夢を抱きながら、これからも精進していきたいですね」
ものづくりへの情熱を胸に、地元企業から世界を動かす。若き技術者の夢
ネオックスで設計者としてのキャリアをスタートさせた大口。これからの目標について、次のように語ります。
「まだまだ駆け出しで、知識も経験も不足していると感じる毎日です。それでも、いつかは上司の方々のような複雑なシリンダの設計ができるようになりたいと思っています。油の流れや速度制御など、高度な技術が要求される案件にも挑戦し、自分の引き出しを増やしていきたいですね」
大口がめざすのは、ネオックスの油圧シリンダで世界にも通用する機械を動かすこと。その実現のために、今後身につけたいスキルについても話してくれました。
「2段や3段の複雑なシリンダを設計するには、さまざまな角度から検討する必要があります。油の流れ方やバルブの配置など、一つひとつのパーツが全体にどう影響するのかを考えながら、最適な形を追求していく。
そういった高度な設計ができるよう、日々学んでいきたいと思います。先輩方の仕事ぶりを間近で見られるのは、本当に恵まれた環境だと感じていますね」
大口は、ネオックスというものづくりの現場の魅力についても語ります。
「うちの職場には、加工・溶接・メッキ・組立などを専門とする、いわゆる『職人』気質の方が多くいらっしゃるんです。ものづくりへの情熱を肌で感じられるのは、技術者冥利に尽きるというか。そういった方々のこだわりは、私たち設計者も見習わないといけないと痛感しています。
現場の声に真摯に耳を傾け、それを製品に反映させる。現場と一体になって良いものを作る。そんな風土が、ネオックスの強みだと思いますね」
自身の成長が会社の発展にも寄与する、そんな存在になりたいと考えている大口。
「日々、与えられた仕事をこなすだけでなく、新しいことにどんどん挑戦していきたいです。失敗を恐れずにトライし、そこから学んだことを次に活かす。そうやって一人ひとりが成長していけば、会社全体の力にもなるはずです。私たちの油圧シリンダを、世界中のお客さまに選んでいただけるよう、技術力の向上に貢献できたらと思います。
ネオックスは、新潟という地域に根差した会社であると同時に、世界を舞台に活躍する企業でもあります。地元という『足場』を大切にしながら、グローバルな視野を持って仕事ができるところが魅力。ものづくりが好き、地元で腰を据えて働きたい、海外にも通用する技術で勝負したい、そんな思いを持つ学生の皆さんとご一緒できる日を、心待ちにしています」
大口の言葉は、ネオックスで働く喜びと、若き技術者の覚悟を感じさせるものでした。志高く、地に足をつけて。世界を動かすシリンダを生み出すために、大口は歩みを進めています。
※ 記載内容は2024年5月時点のものです
