自然エネルギーへの可能性を追求し、全国各地で「風」の観測
「風」を資源としてとらえ、風力エネルギー資源の発掘から、風力発電所の建設や運営まで総合的に取り組む日本風力開発。2019年に入社したO氏は、開発本部調査部風況解析課に所属し、風の観測やそのデータを解析する業務に携わっています。
「全国各地にある風力発電所の計画地で実際に風の観測を行い、データを解析することが主な業務です。そのデータは風力発電所の建設計画や発電量の予測に不可欠な情報となります」
風の観測には約60メートルの観測塔と呼ばれる鉄塔を建て、そこに風速計や風向計を取り付ける方法と、ライダーと呼ばれる観測機器を用いる方法があります。これらのデータは毎日リモートで東京本社に送られ、風速や風向、気温、湿度、気圧などの情報が集められています。
「観測期間は最低でも1年間必要ですが、借りる用地の期限などで、場所によって異なります。とくにライダーについては、メンテナンスや次の候補地への移動のため、1年以上同じ場所に置いておくことは難しいです。まずは予定通りに観測が行えるように進めることが最初の一歩として重要です」
風力発電所の計画地は全国に約20〜30カ所あり、地域によってその数は異なります。
「私が実際に現場に行って観測塔やライダーの設置に関わったのは10カ所に満たないくらいですが、毎年さまざまな場所で設置されているので、案件に携わったという意味では、それ以上に多いと思います」
現地での調査は、計画地の具体的な風況を把握するために不可欠とO氏は説明します。
「最初は国が公開している過去の風のデータを集計し、強い風が予測される場所を見つけ出します。でも実際は、現地調査を行って初めて、計画が実現できるかどうかが見えてきます。
現地に行って、山の高さや木の形状を見て、風が通りやすいか、観測機器を置いた上空に遮蔽物がないか確認します。計画が成り立つかどうかは現地の状況次第で大きく変わってきます。話し合いを重ねた上で、本当に実現できるのか可能性を探ります」
風況解析課に所属するのは10名ほど。O氏は入社以来、同課に在籍しています。
「風況解析課はベテランだけでなく若手メンバーも多いです。どちらかというと男性が多いのですが、席が隣の環境アセスメント課には女性も多く所属していますね。仕事で一緒になることはあまりないのですが、交流は盛んですし、他の部署の方とのやりとりも。社内は話しやすい雰囲気です」
幼いころから雲を眺めるのが好き。気象現象への好奇心が仕事にもつながった
O氏がこの道を選んだきっかけは、学生時代に遡ります。
「小学4、5年生のころ、『雲っていろんな形があっておもしろいな』と興味を持ったのが原体験ですね。自由研究で、雲のメカニズムを調べたり、台風について調べてまとめたりしていました」
その好奇心は、気象学へと発展し、就職にもつながりました。
「大学時代は気象学を専攻していました。日本の春の気温に興味があり、世界のエルニーニョやラニーニャのような気象現象と日本の春の気温の関係を、国が公開している気象データを使って解析していました。将来は何か気象に関わる仕事に就くことが就職活動をする上で一番の目標でした。
そんな時、求人サイトで当社の『風を解析する仕事』『風力発電に関する仕事』という募集を見つけました。もともと再生可能エネルギーや環境というキーワードに関心があったことから、自分の興味と合致しました。
実は当時、CO2の排出抑制のための施策など、さまざまな情報が入ってくる中で、『私個人が地球温暖化防止のためにできることって、実際は少ないのかも』と感じていたんです。けれども、再生可能エネルギーに携わる仕事ができるならば、少しでも社会に貢献できるのではないか、という想いがありました」
当時、新卒の採用枠はなかったものの、社会人経験がなくても応募が可能だったことが、大きな後押しになりました。O氏は当時をこう振り返ります。
「面接では、上司から実際の業務内容や、一緒に働くことになるチームメンバーについて丁寧に教えていただき、働くイメージがつかめました。
入社してからは、学生時代に培ったExcelを用いたデータ解析法やPowerPointを使った発表方法などが、仕事に活きていると感じます」
新しいソフトウェアやデータを使えるよう推進し、技術の向上に貢献
念願だった気象に関わる業務に携わり、風況調査や解析業務に励むO氏。入社1年目の終わりごろ、新しいデータ活用のアプローチを試みました。
「入社当初は、発電量のデータを出すために使うソフトウェアが決まっていました。一方で、別のソフトウェアを使いたい、発電量を試算するために役立つ新しいデータを探したい、という意見を部内で聞くこともあったんです。そこで、空いている時間を使って別の方法を探したり、外部のコンサルタントさんにやり方を質問しに行ったりしました」
新しいソフトウェアやさまざまなデータを活用できるようにしたことで、より精緻に発電量を求められるようになったと言います。
「実際に観測したデータをもとに発電量を求めるのですが、試算には1年間の風況データを使用します。そうすると、その1年間の風速が過去数年間と比較して誤差が大きい可能性があります。気象庁が公開している長期データと比較して誤差を小さく補正を行いますが、使用できるデータには限りがあります。
そこで、国内だけではなく、海外の気象データなどの長期データも活用できるようにしました。結果的に、この方法が風況解析科に浸透して技術の一つとなったことがとても嬉しかったですし、そのプロセス自体も自分の成長につながったと思います」
自ら課題を見つけ、改善に向けて取り組んできたO氏。成果に結びつけられた背景には、周囲の肯定的な雰囲気がありました。
「上司や先輩に話したり、提案したりすると、今後につなげられるような回答をもらえることがほとんどです。もちろん提案する際には、考えを練ってから行くのですが、そもそも話を聞いてくれないとか、そんなものはダメだ、とシャットアウトされることは絶対にありませんし、話しやすい雰囲気を作ってくれています」
データの精度を高め、風力発電所の計画に貢献。自分の仕事に責任を持つ、という覚悟
日々、データ解析という業務に向き合うO氏。働く上で大切にしている想いがありました。
「やはり、責任感を持つことですね。発電量の予測は、すべて過去のデータをもとにしているので、どうしても未来予測をすること自体が難しいんです。
でも、やらなければ発電所の計画ができませんし、私たちの手元にある現状のデータをいかに精度のいい状態にしていくかが重要です。私たちの報告一つで風力発電所の計画を続けるか、揺らいでしまう可能性もあるので、責任を持って取り組んでいます」
自身のキャリアを築くことに留まらず、社会全体の持続可能性に寄与したいという熱意は、同じ志を持つ若手にとっても刺激になるはずです。O氏は自部門の魅力について、こう続けます。
「気象学を学んでいる方で、気候変動や地球温暖化に興味がある方は多いと思うのですが、気象コンサルタントの仕事というのはそもそも少ないです。そんな中で、ぜひとも『再生可能エネルギーに関わる仕事もあるんだ』と、視野を広げてもらえるとうれしいですね。
風況解析課で気象学のバックグラウンドを持つ人は、私を含めて2名ほどしかいませんし、実際はさまざまな業界からメンバーが集まっています。専門外の方でもExcelや数字のデータを扱うことに抵抗のない方や、システムエンジニアの方などでいろいろなデータを見ていくことに興味を持てる方には、ぜひおすすめしたいです」
再生可能エネルギー源としての風力発電に対する期待が高まる中、O氏の仕事はますます重要性を増しています。今後、どんなビジョンを描いているのでしょうか。
「先ほど責任を持つという話をしましたが、解析精度向上のために、新しい知見や技術をどんどん風況解析科に取り入れていきたいなと思っています。今年からはインフロニア・ホールディングスの一員として、さらにさまざまなアプローチができますし、これまでの活動をさらに広げ、解析技術を向上させていきたいです。
また風況解析のこれまでの知見が、建設現場など他の場所でも役立てることがあるのではと思っているので、アンテナを伸ばして、新しいことも始めていきたいですね」
※ 記載内容は2024年4月時点のものです
